隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録 作:sakigake2004
「しっかしマジで見つかんないねー、聞き込みしようにももう人通りも少ないし、今日はもうお開き?」
グダグダと雑談と聞き込みを繰り返しながらも全く手掛かりなく午前2時を迎えてしまった。
「そろそろ家に帰ることをお勧めしますね、いくら休みでも生活習慣が乱れると後が怖いですよ。」
「そう言われるとそうかも…どうする呪理チャン?」
ここで私に振るか、そうだな…
「おばさまはこの探し物に期限を設定しなかったし、今日は帰ってもいいんじゃないかしら。」
「流石にそうなっちゃうか〜…あっ、最後にちょっとだけ運試ししない?」
「運試しって、あんたのアプリ?」
「うん!もう使っても大丈夫なはずだし、ワンチャン地面から湧いて来たりして!」
「空から落ちてくるのと何も変わらないわよね、それ。」
「まあまあ、細かいことは気にしない!」
「人のアプリ解釈は勉強になりますし、私も付き合いましょう。」
「よっしゃ行くよ!フォークロア観測函、起動。『聖骸布』観測開始!」
…
…
…
「何も起きないじゃない、それともあんたの視点ではなんか見えてる?」
「いや、何にもない、こういう時もたまーにあるんだよね…」
「運試しは失敗みたいですね。」
「あーあ、まあ今日のところはお開き
にしよっか?…あれ???」
今の、何?何かがおかしかった
「コニーさん、何かが…コニーさんは?」
人がいない、どこにも
灯りが、車が、動きが何一つとして無い
道と建物だけが在って、それ以外の何もかもが不気味なぐらい静かで、何も感じられない
もしかして、いやもしかしなくても
「これって…霊界落下…」
「なんだっけそれ。」
「
「え、もう死んじゃったの?ここが辺獄?あるいは地獄ってこと?」
「煉獄や天国って選択肢はないのね…じゃなくて、私たちは事故って霊界に迷い込んだの、この例えが通じるかわからないけどなんの準備もなしに川に落ちたみたいなもんよ。」
「…つまり、ミスるとガチで死ぬ?」
ルシールの顔が青ざめていく。
「端的に言えばそうよ。」
「ヤダヤダ、まだ死にたくない!こういう時ってどうすりゃいいわけ!?」
「落ち着いて落ち着いて、こういう時のための通報先があるから!私の手を振るな!」
このこ本当に力つよ!気を抜いたら怪我するわよ本当に…!
「なんだ、まだ助かるんだ、よかったあ…」
「…今通報はしたけど、ここから救助が来るまでには時間がかかるわよ、その間は静かにしているのがセオリー。」
「何で?」
「霊界には、現世にいられなくなった怪物がいるとか、なんとか…私も落ちたのは初めてだからどういうのがいるかはわかんないけど。」
「そっか、じゃあ静かに
ずどん
ずどん
ずどん
ずどん!
何も聴こなかったはずの霊界で、嫌に重々しい音が聞こえた気がした。
「聞こえた?」
「うん」
私の背後をルシールが凝視している。もしかして、いや、そんな馬鹿な
「私の背後に何か見える?」
「うん」
馬鹿げた予想は当たったらしい。
「何が?」
「緑色のでかいやつ…」
うしろを振り向くと、そこには真緑色にうっすらと光る大きくて醜悪な人型が立っていた…
「逃げるわよ!」
「りょ!!!」
『グオオオオオ!』
走って大きな人型から逃げるが、相手も走って追いかけてくる!
「何あれ何あれ!?」
想定外も想定外!本当になんなのか検討もつかない!
「呪理チャンが知らないなら私も知らないね!」
「なんか、なんか、やばい!本当に怖い感じがするわ!」
心臓が気持ち悪い、バクバク言ってる!
「あっそうだアプリ、丑の刻参りだよ!アレ使えるんじゃないの!?」
「緑色のデカい鬼か妖怪かわからないものに似たものって何よ!?」
何も形代が無いのに使えるわけないじゃない!
「たしかにわかんないや!よししょうがない、ここは!」
ルシールが立ち止まり、翻って怪物の方へ向かって行く。
「『聖骸布』観測開始!私が足止めしとくから助け呼んどいて!」
「ちょっと!?」
ルシールは怪物に立ち向かって…立ち向かって…だめ、見てらんない!
私は目を閉じて…
あれ?
何もない?てっきりルシールが潰されてそれで…
「ちょっと!さっさと助け呼んできてよ!?」
ルシールは怪物の攻撃をすんでの所で避け続けていた。
攻撃を避ける方法が見えるとかそういう事?
いや、もう理屈とか今はいいわ!
「わかった、絶対死なないでよね!」
私はルシールと怪物に背を向けて、再び駆け出した