隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録 作:sakigake2004
……
「いやーこの徳島ラーメン美味しいねえ。」
…
「支社長の買ってきたお土産より美味いな、なかなか目利きのセンスあるんじゃないか?」
こいつら…!
「ねえ、ラーメン食べてるところ悪いけど二人とも私の話聞いてる!?」
「聞いてる聞いてる、それでどうしたんだっけ?家に帰ったんだっけ?」
「違うわ、一旦事務所に戻って、私が学校を卒業して正式に所長になるまではコニーさんが臨時所長をやってそれをおばさまが監督するって決まったでしょ!」
「そーだったそーだった、それでしばらくは平穏だったんだよね。」
なんで当事者のルシールが忘れてんのよ、というか
「平穏?お互いの成績が危険な領域に突入したり、あんたの巻き添えでめちゃくちゃ学校中のミニトラブルに巻き込まれたのが平穏?」
「まあ学生の範疇に収まるなら平穏だろ、俺なんてこの前は世界の危機と戦って全身を骨折したぞ。」
「…この前の話からちらほら思ってたけどオライン営業二課ってそんなところなの?」
「時と場合による、先日はそうだったというだけさ。」
この数日で理解した、
「しかし牙羽探偵事務所との決闘に勝ったのかそのコニーって人は、初めて聞くが相当な実力だな。」
「ライトは知ってるんだ、ねえねえ牙羽ってどういうところなの?調べようがなくて放置してたんだけど。」
「シンプルに言うとオーディンの異常コスプレ集団。あそこの戦闘職は四人いて全員情報処理とサバイバルに長けてて面倒くさい、俺が使ってる『フギンとムニン』の設定関連で一度会ったことがあるが、はっきり言ってあれにサバイバルで勝てるのは強者の部類だろう。」
「へー、あれ以来書類仕事ばっかりで全然アプリ見せてくれないんだよね。」
「まあ戦闘手段を秘匿するのも珍しくはないさ、そんで『カインの印』か…聞いたことがないアプリだな、検索しても出てこない。」
「おばさま曰く『拾い物』らしいわ、詳細はまだ知るべきじゃないとかなんとか…」
未来の所長って決まったのに私達の扱いが雑じゃないかしら。
「その言い種だと今は持ってない感じだな?まあ由来不明のアプリとかトラブルの元でしかないし持ってこられても困るが…しかしイギリス営業一課とのコネ、単純に親戚だからなのか?」
「そうじゃないって言いたいけど、まあほとんどそうなるんじゃないかな。」
「…そもそもどうしてアメリカからイギリスに移った?」
「ええ、これ言わなきゃダメ…?」
「言え、言わなきゃオークションへの参加はなしだ」
そういえば私もどうして転校したのか知らないな。
「…私さあ、アメリカの学校でいじめられてたんだよね、それが最終的に暴力沙汰になっちゃって、それを見かねたエレノアが連れ出してくれて、イギリスでの家まで用意してくれたんだ。」
「そうだったの…」
「…???君たち仲良さそうなのにお互いのこと何も知らないんだな。」
「「何も知らなくても困らないし」」
うわ
「被った。」
「被っちゃったね、息ぴったりって感じ!」
「はあ…まあこれ以上特筆すべきところは無いと思うけど。」
「…俺が感じた疑問とかこっちで調べた君たちの経歴とかを書類にまとめるから後で確認してくれると助かる、次の仕事は大仕事だからな。」
「お、ということはついに説明してくれるんだね!?」
「まあな、カタシロ呪術事務所は合格、オークションへ参加してもらう。」
「それでそれで!なんでアメリカのお宝が日本にあるわけ?人って何?どんな人?」
ルシールがラーメンを急いで食べながら、質問をぶちまける。
「落ち着きなさいよ、こぼすわよ…」
「そうだな…アメリカのお宝が自分から日本にやってきた、と言って君たちは信じるか?」
…?
「「意味不明」」
「だろ?まあうちも全体像を把握してるわけじゃないが…これから言うことは覚悟して聞けよ。」
そう言って、ライトは一枚の写真を机においた
そこには
「オークションに出るのは月面開拓計画の中枢『宇宙という冥界の神』として製造された人造人間『C・イルカルラ』の完成個体、そしてセットで用意された観測対象である月の石とそれを使用するアプリ『ルナティック・ルール』のデータ、それら全てだ。」
これから売られる予定の、黒髪の少女が写っていた。
次章、実質かぐや姫。