隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録   作:sakigake2004

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5皿目

「『進化論』!」

「『化物』!」

 

宣言は同時…じゃない、一手遅れた!

巨大化した腕が私を押し潰そうとしてくるところを背後に跳んで回避。

さっきまでよりも攻撃が早くなってないか?何だかギミックがわかってきた気がするぞ。

 

「私の隠秘(オカルト)は『進化論』!個人レベルの淘汰圧で細胞変異を起こし、個体としての自己進化を可能とする生命歪曲の解釈!」

 

宣言?一部の魔術師(マジシャン)は隠秘アプリの機能を説明することによって観測を確かにすることがあると聞くが…

 

「それを律儀に聞くと思うか!?」

 

「NO!(いいえ)」

 

私は鋼鉄化させたスクリーンを投擲したが、ネフィリムはそれを軽く弾き飛ばした。重量を再現できてないのは流石にバレてるか。いやそうだとしても弾き飛ばされたスクリーンが鋼鉄のままひしゃげてるとか冗談みたいなパワーだ。

 

さて、さっきは力んで鋼鉄の拘束を破ってたわけだが、今の一連の流れに力みは無かった。

『進化論』が可能にするのは自己進化、読んで字のごとく自ら進化する事…生物学における進化は世代を重ねるごとに適応できなかった種族が滅びることで結果的に変化が見える事…いや、そうじゃないパターンもあるな。だがネフィリムは淘汰圧という言葉を使った、それに歪曲の解釈という口ぶりからもこれがこいつの認知に依存した使用法なのは明確。

 

「時間をかければ不利になるのは私って事か。」

 

「そーゆーこと、この隠秘のおかげで私が望むままに私の体はどんどん強くなっていく!わかったらさっさと月の石諦めてよ、ねっ!」

 

ネフィリムが踏み込む、跳ぶ、殴る、それを私が紙一重で防御する。

さっきまでと何も変わらないやりとりの繰り返し、というわけでもなく。

 

私の方は少しずつ、現状を考察する余裕ができている。

それはネフィリムが息切れしているからじゃない、むしろ戦闘は加速し続けている。

単純に瞑想の効果だ。私は過去の私が思っていたよりも強くなる余地があったらしい。

 

さて、こいつが説明していないことが一つある

あの逆理契約(フェアトラーク・パラドクス)はなんだ?

何を契約しているのか、把握できてない分だけ気味が悪い。

あの契約がキーだ、進化に関連する何か…そうだ、こいつは進化するのに必要なエネルギーや時間について宣言していない。あの流れに続けて宣言してもよかったのにあそこで宣言を打ち切った。

巨大化した腕を構成するのに必要なエネルギーはどこからきた?

細胞分裂のために必要な時間は?

エネルギーか時間、あるいは両方を契約でちょろまかしてるはず、やつが払った代償が何であるかさえわかればそこに糸口がある!

 

「コンフュージョン投光器、起動!」

 

「!」

 

私は、これまで隠しておいたとっておきを繰り出す。

 

薄暗い地下道が完全な暗闇となり、私の手元の炎だけが頼りとなる。

 

コンフュージョン投光器は『化物』を使うために私が携帯しているツール。

デウス・エクス・マキナ媒質…神性を演出するための構造によって都合の良い幻想を増幅して周囲に投射する特別製観測ツール。戦闘開始時点で起動自体はしてたけど、宣言することでネフィリムの意識をそこに向ける。

注意を引く炎、催眠術の条件付け、さまざまな要素を兼ねたこれで放つ私の必殺技…!

 

「『簡略・百鬼夜行』!」

 

スクリーンを纏い巨大な妖狐を映す。

今は私だけだが、やってやる!

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