隠秘実存フルコース:二十二世紀オカルトパンク・アポカリプスの生存記録 作:sakigake2004
それから私たちはコーヒーとオレンジジュースだけで3時間は喋った
「だから!吸血鬼の行き着く先は血が全てを賄う新時代なんだよ!」
「いいや!吸血鬼の行き着く先は血で血を洗う戦場なんだ!」
最終的には熱中しすぎてカフェから追い出されちゃったけど…
「楽しかったあ…」
「僕もだ、サークル仲間以外とここまで熱中できたのは久しぶりだね。」
「…でもまだ話し足りないかも、ねえフレデリック、あそこでもうちょい喋らない?」
そう言って私が指差すのは…ホテル、それもとびっきりエッチなやつ。
「…一応聞くが君って何歳だい?」
「19だよ。」
「これで僕がついていって最終的に金品を要求する、あるいは通報する?」
「まっさかあ!私はそんなことしないよ、私のパパと私の弁護士に誓ったっていい。」
通報なんてしたら私の方が捕まっちゃうからね。
「まあいいか、時間にはまだ余裕があるし、たまの火遊びも悪くはないだろう。」
「ものわかりよくて助かるー、じゃあ早速行こっか!」
そして私たちは簡単な手続きを済ましてホテルの部屋に入る。
「ふふふ、部屋広いしベッドも大きいね。」
そう言って私はベッドに仰向けで転がる。
「なんせ一番広いところを選んでたからね、まさか全額君が払うとは思わなかったが。」
「こんなの私が小学生の頃のお小遣いの範疇だよ?」
「はっ、笑えるね…もしや君っていいとこのお嬢様だったり?」
「そうかも?でもそんなのどうでもいいじゃん」
私はベッドから立ち上がり…
「これから起きることに比べれば…
ねっ!」
右手の袖に隠してたナイフをフレデリックの左肩目掛けて振り下ろす!
フレデリックは咄嗟に避けようとするけど、私は彼のスーツを引っ張って態勢を崩して転ばせる
「ぐっ」
そしてそのまま彼の肺を目掛けてナイフを突き立てる!
ぐさっ
そんな音が聞こえたかと思えば、彼の胸から血が吹き出す
「あれ?ミスった?ここなら出血はもうちょい少ないはずなんだけど…まいっか、じゃあもっと
「そこまで。」え?」
ふと見れば、フレデリックが何くわぬ顔で私の腕を掴んでいた、ナイフがここまで深く刺さってるのに意識を保ってるなんて初めてみた…
「何か企んでるのはわかってたが、シリアルキラーとはね…予め観測函を起動していて正解だった。」
「あー、フレデリックって戦闘系の
こうなるともうだめだ、私は暴力が好きなのであって戦いは好きじゃない、通報されるかこのまま反撃されるか、まあどっちでも…
「それで、次はどうするんだい?」
「へ?」
「僕を殺さないのかい?」
ナイフを胸から抜いて、フレデリックは立ち上がった、出血がもう治ってる?何のアプリ使ってるんだろう。
「いや別に、私殺すのは好きじゃないんだよね、苦しんでる顔見たりとか、あとは単純に殴るのと刺すのが好きなだけなんだ。」
「ふむ、また質問なんだが…いつもこんなことやってるのかい?」
「通りすがりに刺したりとかはいつもやってるけど、わざわざ誘い込んだのは初めてかな。」
「ならどうして僕をここまで連れ込んだりしたんだ?」
「それは…」
それはたぶん…
「…顔が好みなのと、話が面白かったから、どうせ刺すなら邪魔されないところであなたの苦しむ顔を見たかったんだよ。」
う、こんな話パパにもしたことないのに、めちゃくちゃ恥ずかしい。
「ふむ…」
「もーいいでしょ!さっさと通報するなり殺すなりしなよ!」
「一つ勘違いをしているようだが。」
「?」
「僕は君に怒ったりはしていない、むしろとても興奮している。」
「え、なに?ドMなの?」
「違う、君の精神性に僕は興奮しているんだ。」
「???」
「僕という人間を刺しておきながら苦痛というものが君には何一つ見受けられない。失敗したという事実に対する後悔はあれどそこに何一つ反省が無い。極めつけは僕を刺した理由で君は恥ずかしさを感じていた、まるで恋する乙女みたいな雰囲気を出してだ!」
「?????」
「わからないかい?君の人間性のチグハグさはまさしく『怪物』のそれだ、僕の理想の怪物に相応しい…そうだな、こうしよう。」
フレデリックは徐にスーツを脱ぎ始める。
「え、なに?」
「僕だけ面白いのもバランスが取れないだろう?君の趣味に付き合ってあげようと思ってね。」
つまり、それって
「…いいの?」
「もちろん、刺し放題の殴り放題さ!」
「やった!やった!ありがとうフレデリック!」
「ただし、条件がある。」
「何々!私なんでもするよ、なんでも!貴方の綺麗な肉をナイフで刺せるならなんでもする!」
「…それは僕専属の女優になることだ、僕の映画にでて、怪物役…いやもう怪物そのものになってほしい。」
「映画…」
「そうか、そういえば言ってなかったね。」
彼がスーツの中から観測函を取り出し、操作すると
どこからともなく現れた狼の毛皮が彼の顔を覆った
「僕はフレデリック、『