①マリスビリーがオルガマリーに寄生したアンナマリーの詳細を把握。脳髄に冬木聖杯の欠片を植え付ける。が、オルガマリーによりアンナマリーの維持触媒へと変貌。マリスビリー歓喜。
②オルガマリーをレイシフト可能とするため、オルガマリーを第5次聖杯戦争に派遣し、カーミラ召喚。カーミラなのは他マスターからサーヴァント狙いをメインにしてもらうため。
③マリスビリーがオルガマリー(睡眠)を引き連れて第5次聖杯戦争にレイシフトを実施。ソロモンを召喚して優勝。聖杯を手に入れ、ロマニに魔力を融通してから令呪にて南米へ転移。
④聖杯を使用してアンナマリーを顕現。ORTを討伐する願いを実行。異聞帯が生成される。オルガマリーの治療のためにアンナマリーの機能が一部封印される。
⑤物理的に記憶が吹っ飛んだために何も知らないオルガマリー、カルデアに就任。
⑥レフボム発破。本編開始。
感想で気付いたけど前話分割したほうが良かったかもしれない…
オルガマリーは、ゲーティアにとって尋常ならざる敵だった。
ゲーティアはソロモンが創り出した人理補正式。ソロモンの死後、その内側に潜んで生き続けた召喚式がゲーティアであり、七十二柱の魔神の集合体である。生前の後悔が一つの個体として具現化した概念的存在。本来は召喚式として編まれた術式であり、肉体を必要としない高度の知性を持ち合わせる。
その知性故に、ゲーティアはソロモンが見過ごした人類の唾棄すべき負の感情に嫌悪した。『あらゆるものは消滅する』という結末を拒否するために、ゲーティアは自身の目的を再設定した。
46億年の過去に遡上し、天体が生まれるエネルギーを取り込んで自らが星となる。地球において唯一で最高の存在であることを不可侵な形で証明し、ソロモンにもなし得なかった極点へ到達すること。死の存在しない惑星へ変貌するためのリソースが人理焼却の真相だ。
『憐憫』の人類悪。人が人を哀れみ失望するという驕りが、ゲーティアの獣性だった。
そして、ゲーティアにはアンナマリーとオルガマリーの関係が虫唾が走るほと気に食わない。使い魔とは絶対的で決定的なモノ。無闇に暴走などせず、理性的で機能的に躾けて然るべき存在だ。
ゲーティアのネガスキルは召喚術を起点とするモノ。今を生きる人類には何も作用しない。藤丸が従えるだろうソロモンは敵ではなく、
そして、人間故に弱点も解析している。
マリスビリーは、オルガマリーを人外の肉体を持つ人間に仕立て上げた。
オルガマリーの肉体を解析すればその異様さがわかる。
おそらく、オルガマリーは自身の肉体が常人ならば即死するほどの魔力痛に襲われているのを理解していない。魂が崩壊してもおかしくない負担を耐えているのはマリスビリーの仕掛けか。おそらく、奴の脳髄の中に埋め込まれていたのは、ビーストの憑依により変貌した冬木式の聖杯の欠片だ。
詳細は読み取れなくとも、マリスビリーの目論見は理解できる。
つまり、オルガマリーは生きたビーストの顕現機。
友。部下。同胞。仲間。素晴らしく都合の良い耳に馴染む言葉。その実態は言葉で従う体のいい奴隷。オルガマリーの寿命を犠牲にした、神の力の執行権が、カルデアの切札だ。
ゲーティアの本拠地、『時間神殿ソロモン』にカルデアが到達する。生前におけるソロモン王の魔術回路を基盤にして作られたこの場所は固有結界故に異物を手に取るように理解できる。飛び込んだのはマシュを先頭に藤丸、オルガマリー、懐かしきソロモン王。全てが臨戦態勢であり、オルガマリーは切札を発動するために無防備だった。
信頼か、賭けか。どちらにせよ、ビースト霊基を膨張させるオルガマリーはゲーティアの予想通りの内容だった。
「ようこそ諸君。 早速だが死に給え。 無駄話は死後に行おう」
ゲーティアは油断しない。カルデアは正真正銘敵となった。カルデアの旅の終わりを決定させる。この星の人類史の終焉を以て我が大業成就の瞬間を示してみせる。
「第三宝具、展開。 誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの。─さぁ、芥のように燃え尽きよ!」
人間には対処不可能な0秒狙撃。力技の究極を、ゲーティアは迷いなく披露した。
「
原罪のⅠ。人類終了を告げる光帯を解き放つ。圧倒的熱量を以て唯一の障害であるカルデアを燃やし尽くす。時間跳躍を行うための燃料を惜しげも無く放つ一撃はカルデアを警戒している故に。
「
着弾を防いだのは、マシュ・キリエライトの雪花の盾だった。初めからゲーティアの決死が来ると確信しての宝具展開。手傷を期待したゲーティアは舌打ちしたが、想定内だ。
「おおお!おおおお!!!」
オルガマリーが従わせるビーストの力は自身の崩壊を前提とした過剰な攻撃こそ真価を発揮する。ゲーティアとアンナマリーの格が同じならば、カルデアの羽虫どもが防御に専念するだけでゲーティアは競り負ける可能性が高い。
マシュをゲーティアは気に入っている。だが、オルガマリーに付き従う盾の英霊は致命的に邪魔だった。肉体が蒸発しながらもソロモンどもを無傷で守り抜く精神性は素晴らしく美しい。
「だからこそ、残念だ!」
マシュの肉体が崩壊し、肉体が消し飛ぶ寸前に、オルガマリーがマシュに抱きついた。オルガマリーの肉体が結晶として砕け散り、ロマニと藤丸に少なくないダメージを与える。だが、ゲーティアはそれに喜ぶことはできなかった。
「─馬鹿なッ…!?」
オルガマリーの肉体が霧散していた。文字通りに粉々と成り果てている。だが、ゲーティアの感覚器官はオルガマリーは死んでいないと示している。唯一無事だったオルガマリーの両手が何かを保護している。魂だと、ロマニはそれを理解した。マシュの崩壊する肉体から霧散する魂を、オルガマリーの手が保護していた。
「よくやり遂げたわ、マシュ」
バラバラに砕けたオルガマリーが、肉体を復元させてマシュの魂を捕獲して肉体を再生する。オルガマリーが首元に掲げている首飾りがカルデアの魂で染色される。安らかな表情で寝入るマシュをカルデア側に投げ渡しながら、オルガマリーは、いつもの自信に溢れた顔でアンナマリーを批判した。
「アンナマリー、悪いのは貴女よ。貴女がどれほど狂っても、貴女の罪は無くならない。無くしてあげない。私は貴女に同情しない。してやらない。貴女は世界を滅ぼす害ある存在。だからこそ、友達として死ぬまで貴女を止めて見せる─喩え、世界の敵になってでも」
「それが貴様の切り札か!」
「ええ、その通りよ」
ゲーティアは魔神柱を顕現させた。質で駄目ならば範囲にて。オルガマリーの切り札は間違いなくビースト体の完全操作。だが、人間の人格を保つためには魂を保護するための魔力が必要不可欠。
ゲーティアの思考が固まった。
まて。
何か、勘違いをしていないか。
「私の原初。私の理想─アニムスフィアとは違う、私だけの理想の魔術」
あのビーストはORTの同型機だ。薄っぺらい自己を貼り付けた、他者の魂を侵食する見せかけの願望機。たとえ聖杯で服従を誓わせたとしても、
そんなモノはありえない。不可能だ。絶対的に魔力が足りない。守護者として奴隷になろうとも不眠不休で術式を維持することになる。オルガマリーは徹頭徹尾人間だった。
オルガマリー・アニムスフィアは、
無尽蔵の魔力、侵食の対応、ビーストが決して敵わないと認めた奇跡、マリスビリーが驚嘆した理由。全てがひとつの願いだ。何を願えば、このような魔術の枠を超えた埒外を…!?
ゲーティアの葛藤は数瞬で済んだ。相対したオルガマリーの姿に答えがあった。オルガマリーの肉体が全てビーストで構成されている。テセウスどころの話ではない。文字通りの肉体の損失。侵食を鼻で笑う、完全なる肉体の置換。
「まさか…!?まさかまさかまさか!!そんなことが!!」
だが、眼差しは人間そのもので。ゲーティアはそれがオルガマリーであることを理解した。理解した故に、狼狽した。ビーストの膨大な霊基に侵食されない人間の魂など有り得ない。有り得ないからこそ、例外の極みを思い当たり、その結果を認識出来た。
「─魔法、だと…!?」
「ゲーティア。私は、かつてなく怒っているわ」
サーヴァントの奇跡は起こらない。カルデアとゲーティアはこの瞬間に互角となったから。
アンナマリー「(色々破綻した言い訳)」
オルガマリー「お前が悪い。判決死刑。死刑執行完了まで私の中に入ること」
アンナマリー「あっ尊みで死ぬっ」
オルガマリー「…なんか死なないなぁ。まあもう一周すっかあ」
アンナマリー「あっ尊みで死ぬっ」←今ココ