時が流れるのも早く…中学三年の春。
二年という時間は、確実に二人を変えていた。
まず言えるのは背が伸びた
キルアはいつの間にかクラスでも上位に入る高身長になり、細身ながら無駄のない筋肉がついた。顔もどこか大人びておりそのビジュアルから女子の視線が集まるのは自然な流れだった。
「ねぇ、キルアくんって彼女いるの?」
「いないらしいよ」
「意外と無愛想だよね、そこがいいけど」
本人は気づいているのかいないのか、興味なさそうに窓の外を見ている。
一方、轟焦凍。
二年の間に、顔つきが変わった。
幼さが抜け、整った輪郭が際立つ。
無口なのは相変わらずだが、その沈黙が“怖い”から“近寄りがたい”へと変わり、いつの間にか女子の間で名前が上がる存在になっていた。
「轟くんって、ほんとにかっこいいよね……」
「でも全然喋らない」
「そこがいいんじゃない?」
本人は、そんな声に一切反応しない。
二人が並んで歩いていると、自然と視線が集まった。
「焦凍って彼女作らねぇの?」
放課後、帰り道でキルアが言う。
「興味ねぇ」
轟は淡々と返す
「だろうな」
キルアも答えがわかっていたのか小さく笑いながらも返す
このやり取りが、今の二人だった。
この2年間で大きく変わったことといえばもう一つ…
俺たちが校門を出ようとするとそこには…
「お兄ちゃ〜ん!焦凍く〜ん!こっちこっち!」
大声でこちらを呼びかけるこの2年間で中学2年生となり成長したアルカの姿だった。
「デケェ声出すなよ恥ずかしい」
「むっ!わざわざ可愛い妹が迎えに来てあげたのにその態度はなに!」
「別に頼んでねぇよ」
「…というよりここから女子校遠いだろ?大丈夫なのか?」
焦凍が言った通り実はアルカは俺たちと同じ中学ではなく少し離れたところにある女子校に通っているのだ。…まぁ本人の意向というより親父の勧めで入学することになっちまったんだけどな。…ますます親バカが加速してやがる。
ま、アルカも黙ってれば俺に似て中々に面が良いからな。女子校のが何かと安全だろう
「んなことより態々俺たちのこと待たなくて良いって言ってるだろ!」
「むぅ〜お兄ちゃんが意地悪する〜焦凍く〜ん!」
「おい…そうなに言わなくたって良いだろ」
「テメェはどっちの味方だよ!」
「そんなこと言うんならお兄ちゃん今日晩御飯抜きだからね!」
「んな!テメェそれはずりぃぞ!ガキかよ!」
「ガキだもん!」
最近成長してきたら俺に対してだけやたら反抗期なこいつを尻目に
「………いいなぁ」
ほんの小さな呟きを発した焦凍の言葉を俺は見逃さなかった
「…どうした?焦凍」
「…いや…なんでもねぇ」
「…ふ〜ん。あ、てかそうだ!アルカ俺明日晩飯抜きな!」
「へ?なんで?」
「いやさ、焦凍んちにお呼ばれしちゃってさ。飯も用意してくれるらしいんだわ
。な?焦凍」
「おう…ねぇさんがどうしてもって言うからな。晩飯も用意してくれる」
「えぇ〜アルカもいきたい!」
「お前はまた今度だ。今回は俺が呼ばれてっから次から一緒に行けば良いだろ」
「むぅ〜しょうがないなぁ〜」
どうにか納得してもらってその場を収めた俺はその場で焦凍とは別れアルカと共に自宅に戻るのだった。
そしてその日の夕食の際
「ヘェ〜エンデヴァーのお家に招待されたのか。それはそれは…」
(これ…エンデヴァー本人知ってるよね?…まさか何も知らずになんてことになったらさらに嫌われちゃうよ!)
「どうしたんだ親父?」
「いや!…なんでもないさ!」
(子供には関係のない話さ!流石にエンデヴァーも子供同士の関係には割ってこないだろう…来ないよね?)
「ふ〜ん」
「と言うかそんなに仲良かったんだねエンデヴァーのところの息子さんと」
「まぁね?席隣だしアイツも元々ぼっちだったからな」
「ヘェ〜じゃあキルアが友達1人目だ!友達は大事にしなさいよ〜お金で買えない物だからね」
「アルカも!アルカもお友達いっぱいいるよ!」
「そうかそうか!アルカは確かに多そうだ!」
「どういう意味だよ!」
「「あははははは!!」」
我が家は通常通り賑やかな晩の時間を過ごしていくのだった。そういや…変わったことと言えば最近やけに親父の体調が悪い時がある。…脇腹を抑えているところも見た。
一度俺の方からも聞いてみたことがあった。
『なぁ…どっか悪いのか?』
『!?…いやなに昨日ちょっと筋トレをやりすぎてね』
それが嘘なのは俺でも分かる。…そんなに言いたくねぇのか…息子の俺にも。
…そして翌日…俺は学校終わりに放課後焦凍と一緒に焦凍の家にいくことになったのだった。
俺ん家から少し離れたところにあるその和式に近い日本家屋の家は大きな木や小さい池などどこか落ち着く雰囲気を醸し出している屋敷だった。
流石No.2ヒーロー…中々良いところに住んでやがる。…ウチも中々デケェけどウチは洋式だしどっちかって言うとアメリカンな感じだからここまで落ち着いた雰囲気ではないからな
「良いところ住んでんじゃん」
「…そうか?普通だろ」
「お?ここが入り口か」
「おう。…ただいま」
俺たちが門の入り口を括り玄関とされる入り口の扉を開けると中から少し駆け足でこちらに向かって走ってくる女性の姿が見えた。
長めのストレートヘアで、色は淡い白に近い銀髪は焦凍の髪の片方と同じであり、優しく垂れ気味の目元。表情は柔らかく整った顔立ちをしている。
「おかえり〜!とそちらが焦凍のお友達さんね!初めまして!焦凍の姉の冬美です〜」
「初めまして!八木キルアです。今日はありがとうございます」
「…お前どうした?」
「うっせ。」
(昨日エンデヴァーのとこ行くって親父に伝えたら色々うるさかったんだよ)
「キルアくんね!ささ上がって上がって〜中で夏雄も待ってるのよ〜」
「夏兄もいんのかよ」
「夏雄?だれ?」
「兄貴だよ…」
なるほどな…ウチみたいに他にも兄弟がいるわけか。…流石にイルミやミルキみたいな兄弟なわけないよな?
「大丈夫か?洗脳とか鞭打ちとかされてないか?」
「??何言ってんだ?」
焦凍は本当に何を言ってるのか分からない顔をしている
「ささ!ここよ!」
扉を開けると
「うぉ!本当に友達連れてきた…んでクソイケメンだな」
中に居たのは明るめの白髪が無造作にセットされており切れ長の目で表情はきつめだが整っている顔の焦凍よりもガタイの良い男性がいた
「初めまして、焦凍と同じクラスの八木キルアです。」
「あ、ごめんな先言わせちゃって!俺は轟夏雄!焦凍の兄貴だ!今日はありがとな姉貴のために態々!」
「いえいえ!」
「本当に誰だお前…」
「ちょっと失礼よ焦凍」
「いやこいつ普段っ」
「何かな!焦凍くん!」
(テメェいらねぇこと抜かすんじゃねぇ!)
「いや…なんでもねぇ」
(お前こそ猫被ってんじゃねぇよ)
俺と焦凍は目線のみで口から出た言葉とは違う会話を繰り返す。ずっと一緒に居たからコイツが何言いたいのかは大体分かるようになってきた。
その後俺たちは夕食まで3人で学校のことや焦凍のことを色々と話していくうちに日が暮れてきたのがわかった。エンデヴァーが父親だと言うのは分かったが母親はどこにいるのかと聞いてみたところ2人ともが苦い顔をしながら黙り込み…すぐに俺は地雷を踏んだことに気づいて謝罪したが、その様子をみて夏雄さんが俺は悪気がないことに気づき笑いながら病院にいることを教えてくれた。
そしてそのタイミングで、台所から冬美さんがたくさんの料理をは混んできており俺たちはなんとも言えない空気感の中料理を平らげるのだったが、冬美さんの料理はすげぇ美味かった。ぶっちゃけこの世界に来て初めて親父と食べた日の飯と同じくらいの感動をしちまったぜ。
そうして良い感じにお開きにしようとしたその時
「焦凍ぉぉ!焦凍ぉぉ!どこにいる!?」
廊下の方から野太く威圧感のある声が響き渡る。俺は何事だと思い周りを見渡すと俺以外の皆んな顔が引き攣り冬美さんは下を向き、夏雄さんは唇を噛みながら握り拳を作り、焦凍は…
"今にも人を殺してしまいそうなほどの貌"を作っていた
「おいどうしっ」
俺が言葉を発するより先に障子が開かれそこには
非常に大柄で筋骨隆々…まさに親父のヒーロー姿のような出立ちと逆立った炎のような赤髪に彫りが深く、鋭い目つきに威圧感のある強面で、険しい表情をしている大男が立っていた
なるほど…コイツがNo.2ヒーロー…エンデヴァーか!
「…焦凍…なぜ夕刻の修行場に現れなかった…」
「…今日は友達と飯の約束をしてたんだ」
「友達だと!!そんなものがお前の修行より優先されると思っているのか!」
——その瞬間。
俺は、完全に理解した。コイツがこの状況を生み出しいる原因だと。コイツのせいで冬美さんや夏雄さんが苦しそうな表情をしているのだと…
「……ちょっと待てよ」
気づけば、俺は前に出ていた。
炎の圧が、正面からぶつかる。
普通の中学生なら、足がすくんで動けなくなる。
だが。
「ん?誰だ、貴様」
「八木キルア…焦凍の友達だよ…」
「貴様がっ!」
「うるせぇ!!…俺は確かにこの家のことには関係ねぇけど…焦凍は"友達"だ!普通の中学生のどこに友達と飯食ってたら怒られる要素があんだよ!」
「…口を慎め…焦凍は貴様のような凡人とは違うのだ。…友達と遊ぶなら他所でやれ…2度と焦凍に関わるな!!」
「っ!?」
焦凍の顔が引き攣り泣きそうになっているのが分かる。…あぁ…ようやく理解したぜ…お前がどんなことを焦凍にしてきたのかなぁ!!
キルアは代々由緒ある暗殺一家・ゾルディック家の出身だ。その生まれ故…生まれてすぐから電流を流されたり…毒への抵抗を余儀なくされたりなど拷問紛いなことを受けるのが当たり前だった。…しかしゴンやクラピカ…レオリオと出会うことでそれが"普通"とはかけ離れたことに漸く気づくことができた。
エンデヴァーの声が、低く唸る。
「ヒーローを目指す者が、
遊びを優先するなど——」
「遊び?」
俺は、思わず笑った。
「友達と飯食うのが、遊びか?」
「家族と笑うのが、甘えか?」
一歩、踏み出す。
「だったらアンタは、
ヒーローとしてはすげぇかもしれねぇけど——」
視線を逸らさない。
「父親としては、最低だな」
そう言い残した瞬間…エンデヴァーの全身から獄炎が噴き上がった。
怒気に呼応するように、炎が床を焼き、柱を焦がす。
視界が赤く染まり、熱が肺を刺す。
「——貴様ァッ!!」
一歩。
ただそれだけで、空間が圧殺された。
巨大な手が、俺の胸ぐらを掴もうと迫る。
人間の反応速度じゃ、到底避けきれない距離まで迫る
ーーだがーー
「……遅ぇ」
次の瞬間、俺の姿はそこになかった。
「なっ——」
エンデヴァーの指先が、空を掴んだ。
「貴さっ!」
そしてエンデヴァーがこちらを振り向こうとした瞬間
「…動くな…」
「ぐっ!?」
俺はエンデヴァーの背後から首元に指を固めて手のひらを刃物のように見立てる暗殺技術『手刀』を用いて突き立てる
冬美が息を呑み、夏雄が目を見開く。
焦凍の瞳が、初めて大きく揺れた。
「…ほんとはこんなことしたくなかったんだぜ?…一応アンタは俺の友達の父親だからな…それでも…俺の友達をこれ以上苦しめるって言うんなら……」
俺は出来る限りの殺意を込めた円を使いエンデヴァーの周りを覆う
『殺るぜ?』
「!?」
その瞬間…エンデヴァーの全身から汗が吹き出る…これが子供が放つ殺気だというのか…そもそも普通の一般市民が放って良いレベルを遥かに超越している。…エンデヴァー自身がここ数年でヴィランから浴びた殺気を遥かに凌駕するものを首にナイフを突きつけられた状態で浴びているのだ。
まさに自らの命の行く末はこの子供次第とでも言うかの如く…
「ぐっ…きさっ」
エンデヴァーが何かを発しようとしたその時
『やめて!!』
「「!?」」
冬美が大声で叫んだのだった
「…もうこんなことやめようよ…お父さんも…キルアくんも許してあげて…お願い」
「…」
「…冬美さんに感謝するんだな」
そう言い残し俺は手刀をエンデヴァーの首元から解いたのだった。
その後…なんとも言えない空気になったその空間の中…エンデヴァーは「興醒めだ」とか何とか言って部屋を後にした。…俺は目一杯の舌を出しながら挑発してやったぜ!ザマァ見ろってな!
…んでも冬美さんを悲しませたことは思いっきり後悔してる…前のやり方を思わず選択しちまったが気をつけなきゃこの世界では思いっきりアウトだろう。…とりあえずは
「すいませんでした!!」
「うぉ!?」「!?」「へ!?」
左から夏雄、焦凍、冬美の順番である。なぜこんな驚いているのかと言うと俺が渾身の土下座を、披露したからである
エンデヴァーはともかく…焦凍はもう俺のかけがいのない友達だ…その友達の姉弟を悲しませた罪は重い。精一杯の謝罪を見せたのである
「俺!飯も食わせてもらったのに!いきなりあんなことして怖かったですよね!?」
「あぁ〜そう言うこと…正直言うと…マジでビビったけど俺はスッキリしたぜ!あの野郎のビビった姿見れてよっ!だからそんな謝んなくていいぜ?」
「…俺もだ…元はと言えば俺の家の問題に付き合わせたのが悪いんだし」
「そうよ!もう暗い空気はここまでにしましょ!」
「…ありがとうございます」
俺の渾身の謝罪にて場の空気は元に戻り今日はこのままおいたますることになってしまった。
帰りに見送りに来てくれた焦凍に「お前やっぱ強かったんだな…あんとき見えなかった…俺にも教えてくれ」って言われた時は思わず過去の俺を殴りたいと思ってしまうほど後悔するほどだった。
て言うかこれバレたら絶対親父にドヤされるよな〜はぁ〜エンデヴァーに俺がオールマイトの息子ってことがバレないことを願うしかねぇか
こうしてキルアのこの世界に来て初めての友達の家に遊びに行くという出来ごとは終了したのだった
キルアのビジュアルは五条悟を少し小さくした感じと思って貰っていいです!一応キルアの身長を180センチジャストで設定するので!これから伸びますけど…