HUNTER of HEROES   作:心ここにあらず

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第六話

あの戦闘から2時間後――医務室。

 

消毒液の匂いと、機械の低い電子音が静かに鳴り響き

白い天井が、ぼんやりと視界に滲んでいた

 

「……ここは…どこだ」

 

喉が焼けるように痛む。

声は掠れ、まともに音にならない。

 

「起きたかい?…調子はどうだい?」

 

聞き慣れた、だが今はどこか柔らかい声。

視線を横に動かすと、ベッド脇の椅子にオールマイトが座っていた。

 

いつものマント姿ではない。

上着を脱ぎ、右腕と肩に包帯が巻かれている。

それでも――立っているだけで圧を感じる存在感は変わらない。

 

「…親父…そうか…負けたのか…俺は」

 

「…なにを言うんだ!その年齢で仮にもこのNo.1ヒーローと競ることが出来たのだから十分に凄いさ」

 

「…ありがとな…でも…負けは負けさ」

 

キルアは苦笑する。

身体は鉛の塊のように重く、指一本動かすのにも全神経を使う必要があった

 

「医師にはもう一度あの雷撃を受けたならタダでは済まないとまで言われたよ。あの雷撃が神経の深部まで届いていた。あれは……本気で死を覚悟した一撃だった。」

 

 

キルアは目を閉じる。

 

(……届いてた、か)

 

完全に負けた。

それでも、何かが“届いた”感触だけは残っている。

 

「キルア」

 

オールマイトの声が、少しだけ低くなる。

 

「君は今、全身の神経と筋繊維がズタズタだ。神速はしばらく使用禁止。下手をすれば、後遺症が残ってもおかしくない」

 

「……だろうな」

 

自分の身体だ。

一番よく分かっている。

 

「それでもだ」

 

オールマイトは立ち上がり、ベッドの横に立つ。

その影が、キルアを覆った。

 

「君は“No.1ヒーロー”を、真正面から本気にさせた。しかも個性がなく、経験も、身体も劣る状態でだ」

 

拳を握る音がした。

 

「私が本気で殺さないように力を抑え続けた相手は、今まで数えるほどしかいない」

 

「……」

 

「誇れ。君は強い」

 

キルアは、ゆっくりと目を開ける。

視界の端がまだ揺れている。

 

どこかむず痒いような空気感になったことで照れ隠しのようにキルアは話の内容を変えた

 

 

「あ、あのさ他の奴らはどうなったんだ?」

 

「あぁ〜今ようやく全員が終わったところさ。というか隣見てみな」

 

 

そう言われ俺が隣を覗くとそこには

 

え……これ死んで無いよな?なんでオールマイトと戦った俺以上に重症を負った患者がいんだよ

緑谷…だっけか…親父の弟子のくせして誰にやられたんだよ全く…

 

そしてどうやら俺が寝ている間に全ての対人戦闘訓練が終了していたらしい。少し映像を見させてもらうと

 

緑谷&麗日 vs 爆豪&飯田は… 爆豪は開始と同時に爆炎を轟かせ、緑谷を叩き潰しにかかる。

緑谷は力で勝てないと悟り、知恵で時間を稼ぐ道を選んだ。そういや…初日から揉めてたな…なぜかやたらに緑谷に突っかかるな爆豪のやつ

その間に麗日は必死に核へ向かい、最後は震える手で装置に触れる。

――ヒーロー側の勝利は、勇気と判断の勝利だった

 

 

他にも色々あったが焦凍の奴は昨日の体力テストを挽回するかのように圧倒的な勝利を手にしていた。…あの氷の広範囲殲滅攻撃を喰らって尚且つ勝てる奴なんて今のA組には俺しかいないだろうな。後であったら褒めてやろうかな。…怒りそうだからやめとこ…

 

そう言うわけで俺が全ての試合を見終わった頃…

 

 

「あ!やっぱり起きてた!お〜いみんな!?キルアくん起きてたよ!」

 

「え!マジで!あ、オールマイトもいんじゃん!」「なんでオールマイトと戦ってそんだけの怪我しかしてないんだよ…」「さすがですわ八木さん」

 

 

どうやら俺と緑谷の心配をしてくれたものもいるらしいく数人が病室に見舞いに来てくれたのだった。いや〜まさか雄英に入って1番先に怪我するのがまさか俺とはな…世の中何が起こるか分からねぇもんだな。

 

って言うかそこのクソ親父!微笑ましそうな顔でこっち見んじゃねぇ!写真とんじゃねぇ!…すぐアルカに送ろうとすんじゃねぇぇぇぇ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして対人戦闘訓練が終わり次の日の教室…親父が雄英高校に教師として赴任したことから朝から大勢のマスコミに囲まれてた雄英高校は俺を含め多数のマスメディアに囲まれた。まぁほとんど無視したけど中にはそのまま答えてたやつもいたなぁ。

 

朝礼が始まると相澤先生から昨日の反省を活かした言葉と一定の生徒に対する叱責が飛び交った。特に緑谷と爆豪ね…目をつけられてんじゃん

 

 

「…急で悪いが今日は君らに…学級委員長を決めてもらう!」

 

 

「「「「学校っぽいのきたぁぁぁ!!!」」」」

 

 

「委員長やりたいです!それ俺!」「俺も!」「うちも!」

 

 

相澤先生の言葉に反応し口々に挙手しながら立候補する生徒が現れる

 

 

「おい焦凍。お前は立候補しなくていいのか?」

 

「…俺にそんな暇はねぇ…1日でも早くお前に追いつくぞ?」

 

「…だよなぁ〜」

 

 

ま、もちろん俺と焦凍にそんな立候補なんてする気概もなく適当に流していたところ

 

「静粛にしたまえ!他を牽引する重大な仕事だぞ!やりたいものがやれるものでは無いだろう。周囲からの信頼あってこそ務まる政務…民主主義に乗っ取り真のリーダーをみんなで決めるというのならこれは投票で決めるべき議案!」

 

と良い感じのことを言いつつも

 

 

「「「「腕聳え立ってんじゃねぇか!!!」」」」

 

 

そもそも信頼って昨日あったばっかじゃねぇか。んなもんあるわけねぇだろ。…まぁ焦凍くらいか。んでもこいつ絶対嫌がりそうだからな

 

んでこの投票の結果…

 

最多票を獲得したのは…

 

 

緑谷出久:3票

 

八百万百:3票

 

 

そしてさらにその上には

 

 

八木キルア:5票

 

 

なんでそうなるんだよぉぉぉぉぉ!!!

 

 

「誰だよ俺に入れたやつ!」

 

 

思わず立ち上がった俺に手を挙げるものがチラホラ…

 

 

まずは俺の隣…

 

「俺はお前なら俺の上に立っても良いと思ってるからな。1番つえぇお前がやるべきだ」

 

焦凍お前!委員長を軍隊の隊長かなんかと勘違いしてるだろ!

 

「ぼ、僕は八木くんがいいと思うなオールマイトの息子さんだし…」

 

黙れインキャ緑!

 

「私も八木さんに投票しましたわ。…同じ推薦入学者…それにあの実力…まさに今このクラスで一段階抜けていると言っても過言ではないですわ!」

 

マジなトーンで言うんじゃねぇよ!こっちが悪者に映るわ!

 

「私もキルアくんに入れたよ!だって強いもん!」

 

今度は反対から透明天然女かよ!

ラスト1票は誰だ!…周りを見渡せど見当たらない中足元から俺の裾を引く人物が…

 

「ふふふ…オイラだぜ?…これで貸し1だよな…妹をオイラに紹介してくれよ…聞いたぜ…アルカちゃんって言うんだろ?」

 

「…」

 

俺はあの時エンデヴァーに放った時以上にドス黒い…そうまさにあの時のネフェルピトーのような円を俺とこのクソチビの周りに展開する

 

俺の凝でしか見えない"それ"は例えるなら黒色のオーラを纏っており一瞬にしてクソチビを包み込み…その影響でクソチビはガタガタと歯を震わせながら尻餅をついたのだった。

 

 

「…あ、あ、あ、…」

 

「どうしたの峰田くん?」

 

「本当それな?顔色悪いな医務室行くか?俺が連れててってやるよ?」

 

 

顔を震わせこちらを見ながら首をフリフリと横に振るクソチビを無視し俺は相澤先生に許可を取って保健室に連れていった。

 

ついた頃には気絶してた峰田を保健室の先生に預けとりあえず相澤先生には自律神経の乱れによる頭痛で体調が悪化したって適当に伝えておいた。ま、なんとかなんだろ

 

 

 

俺は委員長に選ばれてしまった憂鬱な気分のまま焦凍と一緒に昼の学食に向かうのだった。…こいつ呑気に蕎麦なんて啜りやがって…むかついたのでセットの海老天一個取ってやったぜ

 

今日はいつもと違うことが起きた。食堂で飯食ってる時どこからか非常ベルが鳴り出したのだ。混乱する生徒たちが多く現れ会場はあわや大パニックになるかと思われたその時…メガネくん…ゴホン…いやいや飯田が立ち上がりパニックに陥る生徒たちを宥めたのだった。

 

…良いこと思いついたのは俺だけか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

教室に戻った俺はすぐに教壇に立ち演説を始めた。まず俺に対して投票してくれたことへの感謝と俺自身にそもそも初めからやる気がなかったこと。…さらにもっと向いている人物を発見したこととその推奨…以上の点から委員長を無事飯田に押し付けることに成功したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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