翌日、雄英高校ヒーロー科A組の午前中のヒーロー基礎学の授業はレスキュー訓練をするらしくなんでも高校のグラウンドでははなくどんな災害においても迅速で的確な救助活動を行えるヒーローを養うための訓練場に移動するらしい。
俺たちはクラス全員でバスに乗り込み移動することになった。
その道中…
「私思ってたことなんでも言っちゃうの…緑谷ちゃん」
「なぁっ!はい!蛙吹さん!」
「梅雨ちゃんと呼んで…貴方の個性オールマイトに似てる」
「え!?へ!あ、そうかな!いやでも…」
あのバカ!そんな狼狽えたらもう答え言ってるようなもんだろ!まぁでも他のやつもそこまで考えてる奴はいないらしく親父とは違い毎度大怪我をしてる緑谷とは違う個性と認識してくれたらしい。…本当にコイツで良かったのか親父…
とその次に切島が切り出す
「しっかし増強型のシンプルな個性はいいよな!派手で出来ることが多い!俺の硬化は対人戦はつえぇけどいかんせん地味なんだよな!まぁ派手で強ぇつったらやっぱ轟と爆豪…それに八木だよな!」
あ、こっちね…皆がこちらを振り向く中焦凍は興味すらないのか窓の外を見つめていた。
「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気でなそ」
「んだとコラ!出すわ!」
親世代には人気出なそうだよな。子供に悪影響与えそうで…
「その点!八木はいいよな!オールマイトの息子だし!強ぇしイケメンだし!」
褒めてくれるけど…俺ぶっちゃけヒーローになるかどうかもわかんねぇんだよな。…いやだってヒーローって千差万別すべての国民を守ろうとする役割の事だろ?…それに比べて俺は自分の周りの大切な人だけを守れればそれでいい。…最悪アルカと親父を守れるなら他のことなんて知ったこっちゃない
そんなことを思ってる奴がヒーローになんてなれる訳ないからな…
――そして、数十分後。
バスが大きく減速し、低いエアブレーキの音を響かせて停車した。
窓の外に広がるのは、見慣れた校舎やグラウンドとはまるで違う景色だった。
「おお……でっけぇ……!」
切島が思わず声を漏らす。
クラスのあちこちからも、感嘆と緊張が入り混じったざわめきが広がった。
そしてここを案内してくれるのが
プロヒーローであり教員免許を取得している13号先生だ。
宇宙服を思わせる装備、ヘルメット越しの柔らかな声。
だが、その個性は――ブラックホール。
――ここが、災害対応専門の訓練施設。
火災、地震、豪雨、土砂崩れ、海難事故……
あらゆる“想定外”を再現するために作られた場所。
俺はバスを降りながら、無意識に拳を握っていた。
あ、ちなみに親父も来てるらしいんだがなんでも体調が悪いらしく少ししてから来るそうだ。…何やってんだか
(レスキュー、か……)
戦うだけなら、正直言って楽だ。
敵がいれば叩き潰せばいい。
でも――守る、救う、判断する。
一瞬の遅れが命を分ける現場で、
俺は迷わず動けるのか。
そんな考えが頭をよぎった、その時。
「今日はこのUSJで、レスキューの基礎を学んでもらいます。
戦闘は想定していません。あくまで“救助”が目的ですからね」
その言葉に、緑谷が真剣な表情で頷く。
切島は腕を組み、爆豪はつまらなさそうに舌打ち。
焦凍は相変わらず無言だ。
俺は――
(戦闘想定してない、ね)
胸の奥に、嫌な予感がわずかに引っかかっていた。
その時。
――ズゥン……。
地面が、微かに揺れた。
「……?」
誰かが声を漏らすより早く、
ドーム内に設置された大型スクリーンが一斉にノイズを走らせる。
次の瞬間。
黒い霧が、空間を歪めるように出現した。
「な……っ!?」
空気が一気に凍りつく。
霧の中心から現れたのは、
首に手のような装置を巻き付けた、虚ろな目の男。
その背後には――異形の集団。
「プロヒーローの卵ども……」
低く、湿った声が響く。
「ようこそ。
――“本物の災害”へヒーローの卵たち…」
瞬間、俺の背筋に電流が走った。
「これ入試の時みたいにまた始まってるぞパターンのやつ?」
切島は勘違いをしているのかこれが授業の一環だと思ってるらしい。…とその時
「動くな!…あれはヴィランだ!」
「「「んな!」」」
相澤先生は気づいていたのか一歩前へ進み俺たちを庇うように背を向ける
そして霧の中からはざっと数百対以上のヴィラン…やべぇな…俺はともかくここには本物のヴィランとの戦闘すら初めてのやつも何人もいる。現状…役に立てるのは俺を除いて…焦凍…爆豪くらいか
「手伝うぜ先生…流石のアンタもこの人数は厳しいだろ」
「…八木…いやだめだ!生徒にそんなことはさせられない」
「んなこといっ!」
その瞬間俺の背後に現れたヴィランが
「君がボスが言っていたオールマイトのご子息か…」
「テメェっ!」
◆
俺が何かをする前に霧の中に引き摺り込まれる。そして世界が裏返る感覚。視界が黒に染まった次の瞬間――
ドンッ!!
背中から地面に叩きつけられ、肺の空気が一気に吐き出される。
「……っ」
即座に受け身を取り、転がって立ち上がる。
周囲を見渡した瞬間、理解するのだった。
周りには俺1人――完全に、散り散りだ。
人工構造物。崩れたビル群。水路。
USJの一角、崩壊市街ゾーン。
周りに味方の気配はない。
その代わりに――
「いたぞォ!!」
「ガキ一人だ!!囲め!!」
前方、背後、左右。すべてに
黒い影が蠢く。
総勢100体以上の多数のヴィラン
武器はナイフ、鉄パイプ、チェーンソーもどき。異形の姿のヴィランもいる
統率はなさそうだが、数だけは――
(……100体以上はいるな。…最優先は仲間の生存…)
呼吸が、自然と静まる。いち早く皆の元へ… その瞬間迷いは完全に消えた
――バチッ
耳鳴りのような音と共に、全身を稲妻が走る。
『……神速(カンムル)』
筋肉が限界を超えて収縮し、神経伝達が加速する。
世界が――遅くなる
◆
最初の一体が、振り下ろした鉄パイプ。
だが俺の姿が目の前から消えた。
次の瞬間、男の喉が潰れ、
肋骨が内側から砕ける音がした。
「が――」
声が響き渡る前に、
ドンッ!!
背後の三体が同時に吹き飛ぶ。
首、顎、鳩尾。
必要最低限、しかしどれもが一撃必殺の領域に達するほどの動けなるほどな致命傷…
ヴィランの体が、雨のように舞う。
「な、なんだコイツ――」
ヴィランが言い終わる前に、
視界が反転し、地面に叩きつけられる。
骨が折れる音。体が吹き飛びどこかに激突する音。ありとあらゆる血生苦しい音が響き渡る。
一秒に、三体。
視界に入った瞬間、即座に脳に戦闘方法が伝達させられる。
(遅ぇ……)
俺の思考だけが、冷たく回る。
一体のヴィランのナイフが俺の腹を掠めようとする
だが、気づけばもうそのヴィランの腕は肘から下が存在しない。
悲鳴は、途中で途切れる。
十体。
二十体。
五十体。
足元は、血で滑る。
空気は鉄の匂いで満ちる。
「ひ、ひぃ……!」
逃げ出すヴィラン。
だが――逃がさない。
バチバチバチッ!!
稲妻が弾け、
背中を踏み砕き、脊椎を断つ。
そして…最後の一体。
震えながら、武器を落とし、膝をつく。
「た、助け――」
ヴィランと視線が合う。
俺は、感情を込めずに放った。
「……ダメだ」
次の瞬間、
後頭部が壁に叩きつけられ、そのまま動かなくなった。
"次世代の象徴"と目された青年はここ崩壊市街ゾーンに放たれたおよそ100体のヴィランを転移後僅か58秒で
『"殲滅"』
◆
――静寂。
稲妻が消え、世界が元の速度に戻る。
「…ふぅ…」
肩で息をしながら、
俺は周囲を見渡す。
「…一応生かしてるけど多分…もう動けねぇだろ。早く先生のとこ戻んねぇとな」
◆
キルアが霧に飲み込まれ、姿を消した直後。
「八木!!」
相澤の声が、無機質なドームに響いた。
だが返事はない。
「……っ!」
歯噛みする暇もない。
霧の向こうから、次々と現れるヴィランの群れ。
数、数、数。
質より量――だが、この場にいるのはまだ“生徒”だ。
「13号!生徒を下がらせろ!」
「は、はい!」
ブラックホールが唸りを上げ、ヴィラン数体を吸い込む。
だが――それすら、焼け石に水。
相澤は一歩前に出る。
ゴーグルを引き下げ、視線を鋭く細めた。
バッ!!
宙を裂く布。
二体、三体と首元を絡め取られ、地面に叩きつけられる。
「爆豪!轟!前に出るな!」
「うるせぇ!」
爆豪が叫び、爆風で道を切り開く。
轟は即座に氷壁を展開し、生徒たちの前に“盾”を作る。
だが――
「先生!後ろ!!」
緑谷の声。
遅い。
異形のヴィランが、相澤の背後に迫る。
四本腕。黒色の皮膚。背丈や外見から見ても分かるその圧倒的な筋量…明らかにその辺いるヴィランのような“量産型”とは違う。
「チッ!」
相澤は即座に振り返り、視線を合わせる。
――個性、抹消。
だが。
「……個性じゃないのか!?」
異形は止まらない。
元々が身体能力特化――個性に頼らない“怪物”。
拳が振り下ろされる。
ドンッ!!
相澤の身体が、地面を転がった。
「相澤先生!!」
拘束布で牽制。
だが、別方向から別のヴィラン。
――ザシュッ。
血が、舞った。
相澤の脇腹。
傷は深い。
「……っ、くそ……」
それでも立つ。
生徒の前に、立ち続ける。
だが体力は確実に削られていた。
「先生……!」
恐怖が、生徒たちの顔に広がる。
その時。
――ズシン。
ドームが揺れる。
霧の奥から、ゆっくりと現れた影。
人型。
だが、明らかに“人ではない”。
別のもう一体の紫色の肌をした異形の怪物…通称"脳無"。
「…くそ…あのレベルの怪物が2体…」
(最悪だ……この状況で……)
拘束布を構える。
だが、足が――動かない。
疲労、出血。
限界が近い。
脳無が、腕を振り上げた。
「――避けろ!!」
だが、間に合わない。
巨大な腕が振り下ろされ、
相澤の身体が地面に叩き伏せられる。
ゴッ――!!
視界が白く弾ける。
「が……っ」
起き上がろうとする。
だが、身体が言うことを聞かない。
脳無が、ゆっくりと歩み寄る。
腕を、高く振り上げ――
トドメの一撃。
その瞬間。
――バチッ!!
空気が、裂けた。
雷鳴が轟く轟音。
「……?」
脳無の腕が、途中で止まる。
次の瞬間。
――ドンッ!!!
爆音。
脳無の身体が、真横から吹き飛び、
壁に叩きつけられた。
「……な……」
相澤の視界に映ったのは――
全身に稲妻を纏い、
血に濡れた少年。
制服は裂け、
腕や頬に血がこびりついている。
だが、その目は――
異様なほど、澄んでいた。
「……遅れて悪ぃ、先生」
「……八木……」
相澤が、かろうじて声を絞り出す。
「緑谷!先生を頼む!」
「へ!あ、うん!」
キルアは一歩前に出る。
倒れた相澤の前に、立つ。
「ここから先は――」
雷が、弾ける。
『神速(カンムル)』
「俺に任せてくれ」
キルアがそう宣言するより前…
「なんでアイツがもうこんなとこいんだよ!もう戻ってきたって言うのか!アイツに何人使ったと思ってるんだ!」
「落ち着いてください死柄木弔!」
ヴィランたちは想像より遥かに早く制圧し戻ってきたらキルアに驚きを隠せないでいた。
「そっちの目的がどうであれ、テメェらがムカつくっての十分分かった…」
ーービリビリーー
言い放つと同時に雷を纏ったキルアの身体が、ふっと数メートル宙に浮く。空中で身体をひねり、軸足を中心に回転する。
その動きに合わせて、神速の電流が足先から溢れ出す。
――バチバチ、と空気が裂ける音。
ーーシュルルルーー
キルアの足が円を描くたび、
青白い電光が、空中に境界線を刻んでいく
空間そのものに引かれた雷の円はキルアが空中から降りてくると同時に円そのものも同時に地面に着弾し半径数メートルの雄英生徒全員を囲い込んだ境界線を線引いた。
そして完成した瞬間、それは一目で分かる形になる
「この"円"の中に入ったら…」
『"殺す"』
凄まじい圧を放ち続けるキルアにヴィランたちは畏怖の念や戦慄の心境を浮かべるものすらいた。
「っ!…脳無共やれ!」
死柄木弔の指示により二体の怪物たちが飛び出す
「グギャァァァぁ!!」
「ピギャァァァァァア!!」
二体の脳無が、同時に地面を蹴った。
床が砕け、衝撃波が走る。
一体は正面から。
もう一体は大きく跳躍し、空中から――
(挟み撃ち、か)
キルアはまだ一切動かない。
ーーしかしーー
その雷の"ライン"を超えた瞬間
――バチッ
彼の足元から、雷が地面へと流れ落ちた。
、神速の電流だけを解き放つ。
次の瞬間。
――ドォンッ!!!!
円の内側を起点に、
稲妻が地面を這うように奔流となって広がった。
雷は枝分かれし、
二体の脳無の“足元”へと一瞬で到達する。
「ギ――ッ!?」
脳無の動きが、完全に止まる。
筋肉が痙攣し、
関節が逆方向に跳ね、神経を焼き切られた脳無たちは
巨大な身体が空中でバランスを失った
正面の脳無はそのまま雷撃により固まり、空中にいた脳無は神経を焼かれた結果そのまま下にいた脳無の頭上に落下するのだった
「「ピギャッ!!」」
そして回復する前にキルアは、その状態を“確認”し
――バチバチバチッ!!
キルアの身体を中心に、
稲妻が一気に収束し――
「……落ちろ」
『落雷(ナルカミ)!!』
――ズガァァァン!!!!
蒼白い神の雷撃が、上から叩き落とされた。まるで、天から裁きが下ったかのように。
二体の脳無の背中に、
青白い雷柱が直撃する。
「ギャァァァァァッ!!」
再生能力が追いつく前に、
筋肉が焼け、骨が炭化し、巨体が地面に叩き落とされる。
勝利を確信し次の標的に狙いを定めようとするキルア
ーーだがーー