HUNTER of HEROES   作:心ここにあらず

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第九話

あれから俺が入院してる間に雄英高校襲撃とか色々あったらしい。プロ育成の高校が狙われたんだメディアもほっとくわけもなく連日ニュースが舞い込んでくる…俺がいない時を狙ったのか…それとも

 

 

 

 

 

 

 

雄英高校襲撃事件から2日後…俺たちはホームルームのためいつも通り教室にいた。教室でもそのことで持ちきりだった。

相澤先生は入院中だから…代わりに入ってくるのは誰かな…とか思ってたら入室してきたのは包帯だらけの相澤先生だった。

 

 

「大丈夫なのかよ!」「プロすぎるだろ!」「先生!無事だったのですね!」

 

「俺の安否はどうでもいい。何よりまだ戦いは終わったねぇ…」

 

その言葉を聞いた瞬間、教室内の空気が張り詰めるのがわかった。戦いは終わっていない…つまり前襲撃してきたヴィランどもとの決着はまだついていない…そう言うことか

 

 

「…雄英体育祭が迫ってる」

 

 

「「「「…っ…クソ学校っぽいのキタァァァァァ!!!」」」」

 

 

なんだよ…ちげぇのかよ…無駄に焦らせやがって

てか良いのかよ。ヴィランに校内侵入されたばっかなんだぞ

クラスメイトも同じことを思っていたらしく質問している。

 

そして学校側は逆に開催することで雄英の危機管理対策が盤石だと示すって考えらしい。まぁ実際警備も例年の5倍にするらしいしプロヒーローも何人も来るから大丈夫らしい。

 

 

「ウチの体育祭は日本のビックイベントの一つ…かつてはオリンピックがスポーツの祭典と呼ばれ全国が熱狂した。…今は知っての通り規模も人口も減少した。…そして日本において今、かつてのオリンピックに変わるのが雄英体育祭だ!」

 

 

力入れすぎだろ…流石名門。中学の時の運動会とはえれぇ違い。

 

何でもここで活躍すればすぐさまプロヒーローに推薦もらえてサイドキックから独立など夢の広がり方が段違いに広がるらしい。…だからみんなこんな必死なのか。

 

「当然名のある事務所に入った方が経験も話題性も高くなる。時間は有限プロに見込まれればその場で将来が開けるわけだ。年に一回計3回だけのチャンス。ヒーローを志すなら絶対外せないイベントだ。その気があるなら準備は怠るな!」

 

「「「はい!!」」」

 

 

「――以上だ。質問がある奴は今すぐ言え」

 

相澤先生はそう言って、包帯越しに鋭い視線を教室中へ走らせた。

怪我人とは思えない圧。むしろいつも以上に張りつめている気がする。

 

一瞬の沈黙。

そして――

「今回、体育祭は“ふるい”の意味合いが強い。

ヴィラン連合に目を付けられた今、上も余計な甘さは捨てた」

 

ざわ、と空気が揺れる。

 

「つまり、実力のない奴は――」

 

「容赦なく、置いていかれるってことかよ……」

 

誰かの呟きが教室に落ちた。

 

俺は腕を組み、天井を見上げる。

……なるほどな。

襲撃を受けたからこそ、より“選別”を進めるってわけか。

 

「勘違いするな」

相澤先生の声が、低く響く。

 

「これは学校側の都合だけじゃない。

――プロ側も、今まで以上に“本物”しか見ない」

 

黒板にもう一行、文字が追加される。

 

《今年は“個性の危険度”も評価対象》

 

「派手さだけのバカ騒ぎは評価されない。

制御、判断、状況把握……ヒーローとして生き残れるかどうか、そこを見られる」

 

 

包帯の巻かれた腕を、ぐっと握り締める。

 

「覚悟のない奴は、今からでも辞めろ。

――覚悟がある奴だけ、前に出ろ」

 

黒板を叩く。

 

「死ぬ気で準備しろ。体育祭は、もう始まってる」

 

チャイムが鳴り響く。

 

その音は、合図だった。

雄英体育祭――

俺たち1年A組の、本当の戦いの始まりを告げる音だった。

 

 

 

 

 

チャイムの余韻が消えても、教室の空気は重いままだった。

誰もすぐには立ち上がらない。

さっきまでの騒がしさが嘘みたいに、全員が自分の内側と向き合っている。

 

「……死ぬ気で、か」

 

誰かが小さく呟く。

 

俺は机に肘をつき、指先で額を押さえた。

正直、体はまだ万全じゃない。

入院明けで鈍ってるのは自分でも分かる。

けど――

 

(俺は本当にここにいても良いんだろうか…みんなヒーローになる為に必死にもがいてる。焦凍だってそうだ。…なのに俺は別にヒーローを目指している訳でも無いのに存在している。…ゴン…俺は)

 

「…はあ…」

 

俺がため息を吐いて下を向いていると

 

「どうしたの!キルアくん!」

 

「ん?…あぁ…葉隠か」

 

「浮かない顔してるね。大丈夫?怪我痛い?」

 

「あぁ…大丈夫大丈夫!。ちょっと考え事をね…」

 

「考え事?大丈夫?相談乗ろっか?」

 

 

なんて良いやつなんだろう。俺にこんな言葉をかけてくれる奴なんてゴン以来だ。焦凍?知らん誰それ。

 

 

「いや、ほんと大丈夫!マジで!ありがとな!」

 

「う、うん」

(絶対大丈夫じゃないでしょ。…まだあたしにはそう簡単に教えてくれるほど親しく無いってことなのかな〜)

 

 

そんなこんなで俺たちの朝のホームルームは終了したのだった。

 

 

 

 

 

 

放課後

 

 

「なんだ?妙に騒がしいな。何か知ってるか焦凍」

 

「…いや…悪りぃ今日は先帰るわ」

 

「??…おう」

 

 

廊下に人集りが出来ており妙に騒がしい雰囲気を感じた俺は焦凍に聞いてみたんだけど何も知らないようだった。

…というかなんかいつもより不機嫌だったなあいつ。…またエンデヴァーになんかされてんのかな

 

と思っていたら

 

 

『な、な、何事だぁぁぁぁ!!』

 

 

廊下の方を振り返ると麗下が大声を出して驚いていた

 

 

「出れねぇじゃん!何しに来たんだよ!」

 

「敵情視察だろザコ。敵の襲撃を耐え抜いた連中だもんな。体育祭の前に見ておきてぇんだろ

まぁ…意味ねぇからどけ "モブ共"」

 

「知らない人の事をとりあえずモブって言うの辞めなよ!!」

 

 

また騒がしいことやってんな。ありゃあ爆豪か。あ、緑谷に委員長もいるな。

面倒いのは勘弁勘弁…と逆の出口から廊下を出て学校を出た。そして校門を出て帰ろうとしていたところ

 

 

「あ、待って待ってくださいまし!八木さん!」

 

 

後ろから俺の名前を呼ぶ声が聞こえる

 

 

「ん?あぁ八百万か」

 

「ふぅ〜」

 

「大丈夫かよ…んでどしたん?」

 

「八木さんが今日一日中上の空だったから気になって…どこか具合が宜しくないのでしょうか?…は!まさかあの時の傷が開いて!」

 

「え?違う違う!…ちょっと色々考え事があってな」

 

「考え…事…ですか?」

 

「ん?どうした?」

 

「いえ!八木さん程の方でも悩みがあるのですね!…少し以外でして」

 

「…まぁね…立ち話もなんだから近くのカフェでも入ろっか」

 

「へ!?」

 

 

そうして俺たちは学校を出て近くのカフェに席をつくことになった

 

 

「私こう言うところに来たのは初めてですわ!」

 

「こう言うってカフェのこと?」

 

「…ええ…私…と言うより私の家の事情によりこうしてご友人の方と放課後に何処かにお出かけすると言うこともありませんでした。…なので今少し緊張していますわ!」

 

「へぇ〜色々あんのな。うちはそう言うの結構緩いからなぁ〜」

 

「かのNo. 1ヒーローのご自宅…」

 

 

八百万はカップの縁を指でなぞりながら、少しだけ視線を落とした。

店内には落ち着いたジャズが流れ、窓際の席に差し込む夕陽が、彼女の横顔を柔らかく照らしている。

 

「八木さんは……本当に不思議な方ですわ」

 

「ん?どこが?」

 

「どこ、と言われると……全部ですわ」

 

ふふ、と小さく笑ってから、彼女は続けた。

 

「強さも、考え方も……それに、どこか“ここにはいない”ような目をされる時がある」

 

 

…驚いたな。

 

 

「そんな大層なもんじゃねぇよ」

 

俺はコーヒーを一口飲んでから、少し間を置いた。

 

「たださ……俺、本音を言うと…別にヒーローになりたいわけじゃねぇんだ」

 

八百万の動きが、一瞬止まる。

 

「……それは……本当、ですの?」

 

 

「あぁ」

 

肩をすくめる。

 

「別に嫌いじゃないし、守るのが嫌ってわけでもない。でも“目指してる”かって言われると……違う」

 

言葉にしてみると、やっぱり変だ。

ヒーロー科にいて、体育祭を控えて、命懸けで準備しろって言われて。

それでも俺は――

 

「ここにいる理由が、まだ自分でも分かってねぇ」

 

沈黙。

八百万はすぐには何も言わなかった。

その代わり、俺の顔をじっと見つめてくる。

 

「……ですが」

 

やがて、彼女はゆっくり口を開いた。

 

「八木さんは、戦いの場でも、訓練でも……“守る判断”をなさいます」

 

「……」

 

「冷静に思考を巡らせ、周囲を見て、状況を読む。

それは――ヒーローに最も必要な資質の一つですわ」

 

「…買いかぶりすぎだろ」

 

「いいえ」

 

きっぱりと言い切る。

 

「少なくとも、私はそう思っています」

 

その瞳は真剣で、揺らぎがなかった。

 

 

「それに……」

 

少しだけ声を落として、

 

 

「別にヒーロー科にいるからって全員がヒーローにならなければならないなんてルールはありませんもの…ヒーローを目指していてもいつか皆辞める時が来るかもしれない。生涯ヒーローを貫き通す人の方が少ないですわ。」

 

「…かもしれねぇな」

 

俺は目を逸らし、窓の外を見た。

 

「…俺はただ、後悔したくねぇだけなんだ」

 

「…??…後悔……」

 

「守れたのに守らなかった、とか。

止められたのに止めなかった、とか。

そういうのが、一番嫌なんだ」

 

八百万は、しばらく黙っていた。

そして、静かに微笑む。

 

「……私にはあまり知ったような口はきけませんが、それで十分だと思いますわ」

 

「?」

 

「理由が崇高でなくても、夢が明確でなくても」

彼女は胸元で手を組んだ。

「“後悔したくない”という覚悟がある方は、きっと前に進めます」

 

覚悟、か。

 

 

(やれやれ……)

本当に、面倒な場所に来ちまったもんだ。

 

「……ありがとな、八百万」

 

「いえ!」

少し慌てたように首を振る。

「その……私こそ、お話しできて嬉しかったですわ」

 

 

カフェを出る頃には、空はすっかり茜色に染まっていた。

 

校門の前で別れる直前、八百万が一歩だけこちらに近づく。

 

「八木さん」

 

「ん?」

 

「体育祭……」

 

一瞬だけ迷ってから、はっきりと言った。

 

 

「私は、八木さんがどんな選択をされても……その戦いぶりを、ちゃんと見ています」

 

 

……やれやれ。

本当に、良い奴ばっかりだな。

 

「そりゃ光栄だ」

 

俺は軽く手を振る。

 

「期待しすぎんなよ?」

 

「ふふ……努力いたしますわ」

 

そうして俺たちは別れた。

 

帰り道、一人で歩きながら空を見上げる。

体育祭は、もう始まっている。

選別も、覚悟も、迷いも――全部含めて。

 

(……ゴン)

 

心の中で呟く。

 

(俺は俺なりに、やってみるよ)

 

ヒーローになるかどうかは分からない。

でも――

後悔しない戦い方くらいは、選んでやる。

 

雄英体育祭。

俺にとっての“覚悟”を試される場所は、もう目の前だった。

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