抵抗しなかった結果、1号車の一室に放り込まれた。
「ニースさん!」
「貴方がたは…、何でここにいるんですか?」
「私にはよく…。ミシェルは何かやりたい事があるみたいなんですけど…。」
黒服が居る中、堂々と二人は話す。そこに案の定、黒服が割って入り会話は中断された。
だが、この黒服にとって運のなかったことは、ミシェルに背を向けたということだろう。
ミシェルは自身を縛っていたロープを地面に投げ捨てると背中を向けた黒服の頭に踵落としをした。
「っぐが…!」
みっともない声を出し、男は倒れる。
だが、見張りは一人ではなく二人だ。二人目の見張りの男はミシェルに組み付き、拘束する。
「内側に潜ってから壊す…。ソレも楽しいのかもしれないね!」
シャーリーはロープを隠し持っていたナイフで切り、拘束を取る。
そのナイフをニースの足元に捨て、ミシェルに組み付いておる男に回し蹴りをする。
だが、それでも飽き足らないのか、不意の回し蹴りによって成す術無く飛ばされた男の腹に向って蹴りを入れる。
「がはっ…―!」
腹を蹴られたことにより、中の胃液が飛び出し、そこらに飛び散る。
「―……うわ、汚い。」
シャーリーがやったからだと言うのに理不尽な話だ。
ニースたちはミシェルたちを驚愕した顔で見つめ、動かない。
「シャーリー、ニース達の縄を解いてやれ。」
ミシェルはそう言うと、部屋から出て他の部屋へと入る。
その時は運良く、誰にも見つからず済んだが、中にはいるとそうは行かなかった。
「誰だ貴様ぁ!」
ベリアル妻子の他に、一人の見張り、その見張りにばれてしまい、ミシェルは舌打ちをする。
「道に迷ってしまいまして、ここは何処なんですか?」
銃を向けられているため、両手を上げながら男に近付く。
「道に迷っただぁ!?ここは入れないはずだ。そんなことあり得ん。」
見張りはミシェルのついた嘘をサラリと見透かし、彼に疑いの目を向ける。
「……ああ、面倒臭い。」
ミシェルはそう呟くと、いつもの隠し場所から銃を取り出し見張りの男に発泡する。
運良く、頭に当たったため、見張りは即死だった。
「さて、ナタリー・ベリアル。ここは危険だ。多分、銃撃戦になる可能性もある。だが、俺から離れるともっと危険だ。多少の怪我は我慢して、俺から離れないで頂きたいのだが、よろしいか?」
ミシェルはベリアル妻子の縄を解きながら問い掛ける。
「あの、そうしたら、生きて帰れるでしょうか。」
「ああ、後々報酬をくれると約束してくれるというのならば確実にお守りしましょう。…まぁ、たまに俺の助手が守るということもあるかもしれないが。」
「わかりました。報酬は支払います。ですから、メリーだけでも助けてください。ミッチェルさん…。」
「いや、二人だ。二人共ちゃんと助ける。」
そうして、話していると、扉が勢い良く開いた。
そこにはシャーリーとニースたちがいた。
「ミシェル!無事?」
「ああ、無事だ。それより、敵は?」
「今のところは無事…。それより、早く!」
「いや、俺には別件がある。お前はベリアル妻子を守れ。多少の怪我は問題ない。だが、絶対に撃たれるなよ?」
「わかった!」
シャーリーが頷くと、ミシェルは窓に手をかける。窓を開けると風がミシェルの顔に当たった。だが、そんなことお構いなしに、彼は窓から外に出て、屋根上に登った。