ミシェルは屋根の上に登り、周りの様子を見る。
「…やっぱり風強いな…。……?あいつらは…。」
少しばかり遠い所にいるが、ミシェルが見つけたのはラッドとレイルトレーサー、そして黒いドレスを着た女性だった。
「…嫌な予感がするな。」
直感でそう思ったミシェルは、三人がいる場所に行こうと走る。
だが、目の前に黒服の男が現れた。
「邪魔だ。退けろ。」
舌打ちをし、銃を構え撃つ。弾丸は男の頭を抉る、即死だ。
向こうまで銃声が聞こえたのか、レイルトレーサーがミシェルの方を向いた気がした。
が、気のせいだろう。
ミシェルはそう考え、今度こそ、三人のいる方向へと向かう。
ミシェルがそこにつく頃には、ルーアが屋根に登ろうとし、ラッドが何やら叫んでいるところだった。
「ルーア、てめぇ、何しに!」
ラッドにはルーアのことしか見えていないようだ。ミシェルは眼中にない、そんなかんじだ。
ミシェルがいる方向からだとレイルトレーサーの表情も見えた。
ラッドがルーアがいることに驚いた時、ニヤリと、笑っていた。
「ルーア!早くそこから降りて逃げろ!」
「ダメッ!そいつと戦っちゃダメ!…逃げて!殺される!」
「っバカ!お前、休んでろって言っただろが!」
「戻って!ラッド!」
ラッドがルーアに気を取られているときに、レイルトレーサーは屋根から降りようとする。
だが、ミシェルは逃さない、そう言うかのように弾を放つ。
「分かっていた、レイルトレーサー。貴様がこの列車から消えないってことはな。
逃しはしない!」
「うわっ…とと。」
レイルトレーサーは銃弾を軽々しく避け、屋根から飛び降りる。
「っくそ!」
ラッドはルーアの方に、ミシェルはレイルトレーサーの方に駆けつける。
ミシェルが列車の足面を覗くと、レイルトレーサーがルーアに近づこうとしていた。
ミシェルが銃を構え。ラッドがルーアに駆けつけるが、一歩届かず。
レイルトレーサーがルーアを抱え、列車の上に飛び乗った。
「レイルトレーサー、そいつを離せ。さもなくば、撃つぞ。」
「撃てるのかい?君が。」
「っ………。」
レイルトレーサーはラッドの方を向き、自信満々に言う。
「お前をこの列車から飛び降りさせてやる。」
「何…?」
いつの間に持っていたのか、レイルトレーサーはロープを電柱のようなものに括りつける。
そして、ロープの輪っかになっている方をルーアの首にかける。
「この腐れ外道が!」
「ああ、もう迷ってる暇など無くなった。俺の前で関係無い奴に手を出すとはな。クレアッ!」
ミシェルはレイルトレーサー、いやロープに向けて撃つ。が、掠っただけで千切れはしない。
「おい、こら、ミシェル!ルーアに当てたら承知しねぇぞ!」
「当てるわけ無いだろ!」
「どうする?お前が殺すんじゃなかったのか?」
レイルトレーサーはそう言いながらルーアから離れる。
ルーアは覚悟を決めたように目を瞑る。
その時だ。ラッドがロープを掴む。
ラッドはルーアを抱き、そのまま列車から落ちていこうとする。
「ラッド!手を伸ばせ!ロープの事なんてどうでもいい!早くしろ!」
ミシェルは出来るところまでラッドに近付き、手を伸ばす。
「どうでも良くねぇだろ!」
「言いから早くしろ!」
「っ……くそがっ。」
ラッドは少し躊躇したが、手を伸ばす。
ミシェルは落ちそうになりながらも、ラッドの手を掴む。
「っ!?やばっ…。」
ラッドを掴んだものはいいが体制を崩し、落ちる。
咄嗟に運良く開いていた窓を掴むが、人二人分の体重に腕が軋む。
「っが…。ラッドの女、ルーアって言ったか、窓から、中に入れ…。」
「……わかった。」
ルーアはミシェルの言われたとおり、窓から中に入る。その時、ルーアを持ち上げる為に使ったせいか、手が引き千切られそうな痛みが来る。
「ルー、ア…済まない。少し、手を掴んでてくれ。流石にこいつを持ち上げるのは容易いことではない…。」
ルーアはコクリと頷き、ミシェルの手を掴む。
「ラッド、行けるか?」
「俺を誰だと思ってやがる。こんなもん楽勝だ!」
「出来る限り俺に負担を与えてくれるなよ。あと、できれば引き上げてくれると嬉しい限りだ。」
「しゃーねぇ、わーったよ!」
「サンキュー。じゃあ、登れ!」
ラッドは空いた片方の手で窓枠を掴む。そして、自身の腕力で列車内に入り、ミシェルを引き上げた。
「っはぁ…。これじゃあ、シャーリーに叱られるな…。」
「てめぇ、なんで俺を助けた?」
「ラッドを助けたつもりはない。俺が助けたのはルーアだ。
それに、お前、俺が助けなかったら、鉄骨に当たってたぞ。」
「あ?んなもん壊すに決まってっだろ。」
「馬鹿か。壊すって、そんなことしたら片腕無くなるだろうが。」
ミシェルは言いたいことだけ言い、立ち上がる。
「どこに行く。」
「俺にはまだやることがあるんでな。」
「その腕でか?」
ミシェルの腕は先程から、全くと言っていいほど動いてなかった。
「これぐらいなら問題ない。腕がなくなるよりかはマシだ。……ただ関節が外れただけだしな。」
じゃあな。ミシェルはラッドにそう言い残すと、またも、屋根の上に登っていった。
さて、祝!ラッド生還!いやー流石ラッドですね。
愛する人のために飛び込む精神、ミシェルも感心して助けてしまうほどですよ。
ラッドは憎めない奴ですよね。なんと言いますか、ちゃんと好きな人は助けるんですから。自分の腕を犠牲にして。
イケメンですよー。そんなイケメンは助かっていただきたいのです。
と、私は思うんですけど、多分ミシェルからしたら、あれでしょうね。貸しを作っておいて、後々使いっぱしりにする気なんでしょうね。
さて、次回もそう遠くない日に投稿することでしょう。
では、さようなら!