もしもグランドツアーの3人がキヴォトスに来たら2 作:ガチタン雷電
クルセイダー計画
――リチャード・ハモンド、戦車を持って異世界へ行く――
Ⅰ.博物館の奥、忘れ去られた鋼鉄
イギリス郊外、ひっそりとした戦車博物館の裏手。
展示ルートから外れた倉庫に、埃を被った一両の戦車が眠っていた。
「……これだ」
リチャード・ハモンドは、ヘルメットも被らずにクルセイダーの履帯に手を置いた。
第二次世界大戦期、北アフリカ戦線を駆け抜けた英国の快速戦車。
「速くて、薄くて、壊れやすい。つまり――完璧だ」
「どこがだ!!」
背後から即座に怒鳴り声が飛ぶ。
ジェレミー・クラークソンは、腕を組み、眉をひそめてクルセイダーを見上げていた。
「聞けハムスター。これは70年以上前の戦車だぞ? しかも当時ですら“信頼性が怪しい”って言われてたんだ」
「だから直すんだよ!」
ハモンドは即答する。
「しかもキヴォトスでは戦車は普通に使われてる。
アビドスでは砂漠で日常的に撃ち合ってる。
なら、こいつを近代化すればいい」
ジェレミーは一拍置き、ニヤリと笑った。
「……つまり“番組予算で戦車を魔改造する”と?」
「そう!」
「よし、やろう」
Ⅱ.エンジン問題、そしてスクラップ業者
問題は明白だった。
エンジンである。
クルセイダーのオリジナルは、リバティL-12。
バス由来の物であり、非力、過熱、そして整備性最悪。
数日後
「元のクルセイダーでキヴォトスで一日走ったら中の人は蒸発するよ……」
そう呟きながら、ハモンドはスクラップ業者のヤードを歩いていた。
錆びたトラック、バス、建設機械。
その中で彼の目が止まる。
「……あった」
事故により運転席側がひしゃげ、救助でカッターを使われたのかドアがなくなっていた。
カミンズ製ディーゼルエンジン搭載モデルの日産タイタン。
「これだよ。信頼性、部品供給、トルク。
カミンズは船にも車にも使われてる。しかもヨーロッパ中にある」
業者の老人が肩をすくめる。
「事故車だが、エンジンはまだ生きてるぞ?」
「戦車に積むんだ」
「……は?」
こうして、戦車の心臓は“安く”手に入った。
■Ⅲ.武装を巡る大喧嘩
工房に戻ると、ジェレミーが戦車の横で図面を広げていた。
「聞け。装甲を増す。砲塔を取り外してガントラクター(兵員輸送車)にしよう――」
「却下!!」
ハモンドは即座に遮る。
「6ポンド砲は残す。
キヴォトスでは砲弾が容易く手に入る。
しかもキヴォトスでは毎日のように戦闘があるんだ。主砲は必要不可欠!」
ジェレミーは不満そうに唸る。
「だが防御が――」
「防御は現実的にやる。
追加装甲、内張り、衝撃吸収。
10万ユーロ以内でだ。
それ以上は予算オーバーだ!」
沈黙。
やがてジェレミーは、ニヤリと笑った。
「……じゃあせめて空調だ」
「は?」
「アビドスにも行くんだろう?
砂漠は暑い。
それに、キヴォトスでは何を吸わされるか分からん。
サリンとかだったら困るだろ?」
ハモンド
「番組でサリンを想定するな!!」
ジェームズ(冷静)
「そもそも“使われたら”という前提がおかしい」
■改修案、完全にカオス化
画面が切り替わり、ジェレミーの“提案スライド”が現れる。
エアコン(室内用)
車内完全密閉
過圧システム(NBC対策っぽい何か)
「ついでに煙幕も欲しい」
ハモンド
「予算!!
どこから出すんだよそれ!!」
ジェレミー
「番組だ!」
ハモンド
「万能すぎるだろその言葉!!」
■喧々囂々の中スタッフの一言(地獄の引き金)
ここで、後方から控えめな声。
プロデューサー 「……じゃあ、専門家を呼びます?」
三人、同時に振り向く。
ジェレミー
「誰を?」
プロデューサー
「ラインメタル社の人」
一瞬、沈黙。
ハモンド
「……ドイツの?」
プロデューサー
「はい」
ジェームズ
「一番呼んじゃいけない人たちでは」
■ラインメタル社
スーツ姿の技術者が倉庫に入ってくる。
背景に映るのは、近代装甲車や防御モジュールの映像。
ラインメタル技術者(淡々と)
「では、ご要望をまとめますと――
・第二次大戦期の戦車
・低予算
・砂漠対応
・撮影用
・武装は最低限
ですね?」
ジェレミー(満面の笑み)
「そう!簡単だろ?」
技術者
「……“簡単ではありません”」
■現実的提案(全員が静かになる)
技術者
「ですが、“やれなくはない”です」
三人、一斉に前のめり。
提案①:防御(低コスト)
外付けケージ装甲(スラット装甲)
RPGや成形炸薬への簡易対策
軽量・安価・溶接で対応可
装甲内側にスパールライナー(被弾時の破片防止)
重量増加が少ない
ハモンド(小声)
「意外と現実的だ……」
■提案②:エンジンと熱対策
既に手に入れたカミンズディーゼル
ヨーロッパで入手容易
トラック用で整備性良好
大型インタークーラー
エアコン(装甲車両用簡易モデル)
ジェレミー(ドヤ顔)
「ほら見ろ!
エアコンは正義だ!」
ハモンド
「たまたま意見が通っただけだろ!」
現実的な防御改修プラン(段階別)
【A】最低限・低コスト改修(番組向け・現実的)
1️⃣ スペースドアーマー(簡易増設装甲)
内容
車体外側に鋼板 or アルミ板を空間をあけて追加
いわゆる「間隔装甲」
効果
小火器・破片・簡易RPGの信管誤作動・貫通力低下
現実性
溶接不要、ボルト留め可
博物館車両にも比較的優しい
概算費用
鋼板・加工・取付:
£10,000~£25,000(約200~500万円)
2️⃣ 防弾ライナー(車内)
内容
アラミド繊維(ケブラー系)ライナーとゴムを内張り
効果
被弾時の装甲裏剥離(スポール)対策
乗員生存性が激増
戦車近代化では定番
概算費用
材料+施工:
£15,000~£30,000(約300~600万円)
3️⃣ 床・下面の簡易防御
内容
床面に高張力鋼+ゴムマット追加
効果
地雷・IEDへの限定的耐性
完全防御は不可だが「即死回避」には有効
概算費用
£5,000~£10,000(約100~200万円)
【B】中程度改修(ジェレミーが「これくらい欲しい」と言い出すライン)
4️⃣ モジュール式追加装甲(側面中心)
内容
工業用防弾鋼(Armox系)パネル
効果
7.62mm~12.7mm弾の耐性向上
注意
重量増 → サスペンション負荷
概算費用
£30,000~£60,000(約600~1200万円)
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5️⃣ NBC簡易防護(ジェレミー案件)
内容
工業用HEPA+活性炭フィルタ
効果
催涙ガス・粉塵・簡易化学剤対策
キヴォトス設定的にも非常に相性が良い
概算費用
£10,000~£20,000(約200~400万円)
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【C】やりすぎ(却下されるやつ)
複合装甲ブロック(高価・重すぎ)
ERA(爆発反応装甲)
APS(アクティブ防護)
ジェレミー「最高だ!」
ハモンド「予算オーバーだ!」
③ 改修後の実用的防御レベル(まとめ)
脅威 改修後
小火器(7.62mm) かなり安全
重機関銃(12.7mm) 正面限定で可能性あり
35mm機関砲 防御不能
RPG 側面は危険、間隔装甲で被害軽減
破片・IED 生存性大幅向上
「現代戦車にはならないが、乗員は守れる」
④ 総予算目安(現実ライン)
番組・物語的に一番リアルな構成
スペースドアーマー
防弾ライナー
簡易床防御
NBC簡易防護
合計
£40,000~£80,000
(約800万~1,600万円)
⑤ 物語的コメント(使いやすい台詞)
ハモンド
「これは戦車を強くする改修じゃない。“死なないため”の改修だ」
ジェレミー
「つまりだ、撃たれたら逃げろってことだな!」
ジェームズ
「それは元々クルセイダーの設計思想だよ」