もしもグランドツアーの3人がキヴォトスに来たら2   作:ガチタン雷電

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馬鹿が戦車でやってくる3

 

番組ガレージ・最終改修日

イギリスの朝は静かだった。

 クルセイダーの影が長く伸び、車体側面に並べられた防弾ユニットが、まだ冷たい空気を反射している。

アルミ多層ユニット――

すでに取り付けは終わっていた。

整然と、過不足なく。

生き残るための装甲としては、これで十分だった。

その横で、リチャード・ハモンドは鈍く光る薄板を見つめる。

「……必要な場所だけだ」

彼は独り言のように言い、板を持ち上げた。

5mmのタングステンシート。

重い。薄いのに、持った瞬間に“質量”が伝わる。

ジェームズ・メイが図面を覗き込む。

「全面じゃないんだね」

「全面はやらない」

ハモンドは即答した。

「これは“守る装甲”じゃない。壊す場所だから」

ジェレミーが腕を組み、車体を見回す。

「じゃあ、どこに貼る?」

ハモンドは、チョークで車体に小さな印を付けていく。

砲塔前面、射手の真正面

車長席の胸元と視線の延長線

操縦席のペダル上、膝の高さ

どれも、アルミ多層ユニットの外側。

そして、面積は最小限。

「ここれだけでいい」

作業は静かに進む。

タングステンは、アルミの防弾板で固定される。アルミ板の下にレールを挿しており下のアルミ板が粉々になっても次のアルミ板に受けれる用にしてある。

 このタングステンは主役ではない。

あくまで仕上げだ。

ジェームズがぽつりと呟く。

「……装甲というより、防具だね」

「そう」

ハモンドは頷く。

「全部を強くするんじゃない。

 強くする場所を選ぶ」

最後に、砲塔前面。

射手席の真正面に、掌ほどのタングステンが据えられる。

ジェレミーが笑った。

「派手じゃないな」

「派手に死ないために貼るんだよ」

 

ハモンドは工具を置き、車体を一度だけ見上げた。

 

最初のアルミ板が

→ 弾を潰す・形を崩すための「犠牲層」

アラミド

→ 破片とエネルギーを受け止める「捕縛層」

エラストマー

→ 衝撃を逃がす「減衰層」

二枚目のアルミ

→ 残った破片を止める「最終障壁」

最後のエラストマー

→ 車体・乗員へのショックを抑える「保護層」

それだけで十分だった。

あとは元々のクルセイダーの装甲に祈るしかない。

 

砂漠の風が、クルセイダーの側面をなぞる。

主張もしない。

ただ、そこにある。

「……よし」

ハモンドは小さく息を吐いた。

「これでいい。

 中の人が、生きて帰れる」

ジェレミーが肩をすくめる。

「珍しく、完璧だな」

ジェームズが頷く。

「うん。

 賢い改修だ」

カメラは引き、

重要な場所にだけ貼られた薄い板と、

その下で静かに役割を待つ多層装甲を映す。

――派手さはない。

だが、最も“番組らしい”選択だった。

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