もしもグランドツアーの3人がキヴォトスに来たら2 作:ガチタン雷電
①:輸送完了
砂漠。
輸送トレーラーからクルセイダー戦車が降ろされる。
ハモンド
「よし……着いた。
頼むから誰か驚いてくれ。」
ジェームズ
「最低でも通報はされたい。」
ジェレミー
「俺は拍手を期待してる。」
―「世界で一番、驚かれなかった戦車」―
砂煙の向こうから、低いディーゼル音が響く。
近代化されたクルセイダー戦車が、堂々とキヴォトスの街道に現れる。
砲塔には赤外線・サーモカメラ。
6ポンド砲は威圧感たっぷり。
履帯が地面を噛み、重々しく停止する。
――カメラ、緊張感たっぷり。
ハモンド(小声)
「……さすがにこれは驚かれるだろ。」
ジェームズ
「“文化摩擦”異文化交流というやつだね。」
ジェレミー
「いや、分からんぞ。
ここは何でもありだ。」
②:最初の通行人
通学路。
制服の生徒が数人、戦車の前を横切る。
生徒A
「……あ、新型?」
生徒B
「いや、旧式じゃない?」
生徒C
「6ポンド砲かぁ。渋いね。」
三人、普通に立ち去る。
ハモンド
「……誰も止まらない。」
ジェームズ
「視線すら寄越さない。」
ジェレミー(嬉しそう)
「全然驚かれてないぞ…」
③:交通整理
交差点。
警備ドローンが近づく。
ドローン
「車の重量が規定を超えています。
この先の橋は大型車通行禁止なので、次の交差点は右折してください。」
ハモンド
「戦車に交通指導してる!!」
ジェームズ
「しかも丁寧だ。」
ジェレミー
「英国でも見習うべきだな。」
■ 先に気づいたのは、ホシノ
遠くから、のんびりした声。
ホシノ
「あ〜、来た来た〜。
思ったより順調〜。」
ハモンド
「え?」
シロコ
「ディーゼル音、安定してる。
古いけど整備は良い。」
ジェームズ
「評価が始まったぞ。」
ノノミ
「まぁ、戦車でしたらこのくらい普通ですね。
街中で使うには少し小さいですが。」
ハモンド
「“普通”!?」
セリカ
「でも燃費悪そう。
維持費どうするつもり?」
ハモンド
「そっち!?」
アヤネ
「弾は6ポンド砲ですよね?
弾種はAPとHE、どちらを?」
ジェレミー
「どっちもある。」
ジェームズ
「答えるな。」
ジェレミー(小声)
「ほら見ろ。
誰も問題にしてない。」
ハモンド
「問題にするポイントが違うだけだ!!」
■ “普通”の理由が明かされる
ホシノ
「キヴォトスだとね〜
装甲車とか自走砲とか、割とよくあるよ〜。」
シロコ
「銀行前に戦車が止まってても、
“あ、今日もか”ってなる。」
ジェームズ
「ロンドンでそれが起きたら国家非常事態だ。」
■ 6ポンド砲への反応
セリカ
「6ポンド砲かぁ。
ちょっと控えめじゃない?」
ジェレミー
「控えめだと!?」
シロコ
「でも精度が良ければ十分。」
アヤネ
「弾はこっちで用意できます。
保管庫、空いてますし。」
ハモンド
「話が早すぎる。」
■ハモンド、敗北を悟る
ハモンド
「……戦車を持ち込んだことで
一番動揺してるの、僕だけ?」
ジェームズ「そのようだね。」
ジェレミー「歓迎されてるじゃないか。」
ハモンド「“歓迎”の基準がおかしい!」
■ 締めの一言
ホシノ
「じゃあ、とりあえず――
置き場所決めよっか〜。」
シロコ
「射線は確保した方がいい。」
ノノミ
「日陰も必要ですわね。鉄板でホットケーキ焼けちゃいますから。」
ジェレミー
「完璧だ。」
ハモンド
「誰も“戦車を置く”ことに疑問を持ってない!!」
ジェームズ
「これが異文化交流というやつだな」
ナレーション
「こうして――
異世界に持ち込まれた第二次大戦期戦車は、
誰からも異物扱いされなかった。」
画面:
キヴォトスの街角に、自然に溶け込むクルセイダー戦車。
ナレーション
「問題はただ一つ。
この世界では、“普通”の基準が壊れている。」