姫騎士(肉食)共から貞操を守りつつ、僕の騎士道がハードモードすぎる 作:お庭屋さん
息抜き程度に書いてくので更新遅いと思います。
第1話 初手捕虜ってマジすか。
「エヴァン・クロード・マドゥワスくん。いやはや……これまでの奉仕、ご苦労であった。」
「…………ありがたきお言葉。」
絢爛豪華な執務室といった風情の部屋で、偉そうに座る見目麗しい女性から労いの言葉。
長く艶やかな金髪を弄びつつ、ニタニタと舐め回すようにこちらを見る彼女こそ、
「これで貴殿の労役は果たされた訳だが、今後はどうするつもりかね?余としては、このまま我が国に残り、騎士として仕えてくれれば嬉しいのだが。」
「ありがとうございます。ですが、祖国に戻り領地の再整理を始めます。母上の処遇についても未だ不明な現状では領地を纏める者が居なくては立行きません。」
ここはグラディウス帝国の帝都グラディティア、その宮廷の一室。
大帝アウレリア・フォン・グラディウスの治めるこの国は、広大なエテルニア大陸の北側に位置し、肥沃な大地と先進的な魔術工業力により発展した大帝国である。
そして目の前でふんぞり返る爆美女こそ、その大帝様の実の娘、アンドレア・フォン・グラディウス殿下であった。
「そうか……。今の貴殿は自由の身。引き留める権利は余には無いが……まぁ上手くやりたまえよ。」
「はい。殿下には色々とお世話になりました。」
「何を言う!世話になったのは余の方だとも。」
この人の虜囚となって丸一年。
殿下の気まぐれから、ちょっとした荒事、引いては蛮族の討伐まであちらこちらと馬車馬の如くこき使われたけれど、なんだかんだで重用して貰えたのだからありがたい。
決してエロい方の御奉仕では無いことを強調しておこう。
一般的に虜囚ともなれば、例え貴族であったとしても軟禁くらいは平気でするだろう。
平民だったら間違いなく奴隷として売り払われたに違いない。
まぁ、僕の場合は
なにせこの世界では男卑女尊が当たり前であり、性別による役割もそのようになっているのが普通なのである。
女は外で仕事をし、男が家と子を守る。
戦場ともなれば剣を持ち、勇ましく戦うのもまた女性なのである。
理由は簡単で、男性の出生率が異様に低いからだ。
人口の内ざっと5分の1程度が男性であり、残りは女性だ。それも
多種多様な種族が跋扈するこの世界において、男性が産まれるのはヒュム族のみ。
エルフもドラゴニュートも、オークですら皆女性しか産まれないのだから、生態系としては終わっていると思う。
そんな男にとってこの上なく生きづらい世界で、僕が売られずに済んだのはひとえに貴族であるからだ。
母上は女爵(いわゆる男爵)の爵位を持ち、小さいながらも立派に領地を治める世襲貴族なのだ。
爵位としては1番下になるが、一代限りの準貴族とは扱われ方も違う。その子息であるが故、未だ僕の貞操は無事なままであった。
「色々と無茶を言ったと思うがね?」
「……主人ですので。たとえ困難であろうとも遂行するのが我が責務でありました。」
「ふぅむ。やはり惜しいな。何とか手元に置いておきたいが……しかしなぁ。」
上から下まで舐め回す様に見つめられる僕。
もはや視姦とも言えるが、大帝国の皇太子殿下に抗議するほどの胆力は持ち合わせがない。
黙って恥辱に耐えるのみ………………という訳でもない。
肝がないのは同じだけれど、別にねっとりとした視線に嫌悪感があるかと言われればそれはNOなのだ。
男卑女尊の世界に置いて、紳士たるもの慎ましくいるべきなのだろうけれど、生憎と僕は真逆の性格であった。
幼い頃からお人形遊びより木剣を振り回す方が楽しかったし、同年代の少年たちと遊ぶより、我が家に仕えてくれる騎士達とワイワイしてる方が合うのだ。
しばらくその理由は分からなかったけれど、成人たる15歳の誕生日を迎えた日に思い出したのが、前世の記憶であった。
前世の僕は、日本で剣道の道場を営む家に産まれ、生涯その道1本で過ごしてきた。
生涯と言っても、20歳そこそこで呆気なく死んでしまったのだから短い人生であったけれど。
つまるところ、僕の価値観はこの世界の真逆なのだ。
女性にいやらしい視線を向けられても拒絶するどころかむしろご褒美である。
悲しいかな、貴族であるが故に婚姻まで貞操を守り続けなければ『淫乱』の烙印を押され、ご先祖の皆々様に申し訳が立たぬ。
よって、僕は未だ童貞のままである。
騎士といえば聞こえは言いけれど、貴族というより軍人としての側面が強い彼女たちは、言葉を濁さず言うなら下品である。暴言、下ネタなんてのは序の口だし荒々しいことこの上ない。
それが僕にとっては男子校のようで心地よかったのだけれど。
前世の価値観、術は違えど剣に生きた人生。
そのふたつが合わさって、この世界で
「……見目麗しい男騎士。しかも有能ときている。アァ、手元に置いておきたい……。」
「あの……殿下?」
「ムゥゥゥ。いや、すまないな。こちらの話だ。」
「さ、左様で……。」
男性は軽視される世界において、殿下は僕を1人の貴族として扱ってくれた。
できる限り尽くすのが礼儀であるのだけれど、そうもいかない理由がある。
僕が本来仕えるべき国はべレイン王国であるからだ。
当然、領地もそちらにあるし、母上が剣を捧げるのはマリア・べレイン女王である。
ゆくゆくは僕もべレイン女王陛下へ忠誠を誓う身なので、このまま帝国に残ることは出来ない。
前述の通り、虜囚として帝国に連れてこられているのだから、労役が終われば即座に祖国へ帰るのは普通の事である。
ちなみに、僕が囚われの身となったのは我が祖国がこの大帝国に敗戦したからである。
母上はべレイン女王の『王の懐刀』として重用される武官であり、当然、先の戦いにも参戦している。
国力差から勝てる訳の無い戦であったけれど、華々しく戦った我が母上。
一騎当千の活躍をしたと聞かされていたけれど、例え千の兵力に値したとしても、万の軍勢には勝てはしない。
べレイン・グラディウス戦役の最終戦、ドムカリオ要塞の戦いで敗れた母上は捕えられ捕虜となったのだった。
べレイン王国の敗北が確定的になり、終戦の手続きが始まったのがちょうど一年ほど前になる。
終戦条約の締結にあたり、女王の右腕たる母上の身柄と引替えに、人質として差し出されたのが他ならぬ僕であった。
こうして帝国へとドナドナされたというのがここまでの経緯だった。
いやぁ、人質なのだから、結構辛辣な扱いを覚悟していたのだけど、現実はより厳しかった。
帝国側において、終戦の手続きの全権を握ったのがこのアンドレア殿下だったからだ。
人質でェーす。と投げ渡されたかと思えばアレコレとこき使われた。
僕もムキになって
貴族というのはメンツ商売だ。
「舐められたら殺せ。」というのが母上の……というか我がマドゥワス家の家訓であり、他の貴族も大体そういうものだろう。
男である前に1人の騎士であり、領地、領民を守る貴族なのだ。
言われたまま「はぁ、そうですか。なんかすんません。」とヘコヘコする訳にはいかなかった。
「貴殿程の騎士であれば領地改革も容易であろう。ゆるりと勤しむが良い。」
「はい。」
「今後も
「大変ありがたいお申し出であります。しかし、我が剣を捧げるはべレイン女王陛下でありますれば。」
「つれないねェ。」
酷くつまらなさそつにボヤく殿下。
敵国の皇太子の命令であるというのに、せっせと働く僕をちゃんと評価してくれたのはありがたいが、流石に忠誠を捧げる訳にも行かない。
終戦の手続き中とはいえ、敵国の皇太子を頼る等裏切り者と揶揄されても仕方ないからね。
「まぁいいさ。貴殿の部下達にも労いの言葉をかけてやってくれ。下がってよい。」
「承知致しました。ではこれにて。」
「あぁ。帰国までの旅路、無事を祈っているよ。」
やたらと煌びやかな扉が侍男によって開かれ、僕は殿下の執務室を後にするのだった。
宮廷付きのメイドが男なのは未だに解せぬ…………。
☆
「エヴ様!?ご無事で!?」
「おぉ、ルイーズか。無事も何も殿下に挨拶しに行っただけなんだけど。」
「それが一番の危険だとなぜ分からないのです!?」
「…………?」
日も落ちかけた頃。
宮廷を後にした僕は、城下町の古ぼけた宿屋へと向かった。
このボロ宿こそ、僕が1年間生活してきた拠点だからだ。到着してそうそうに飛び出してきたのは僕のお抱え騎士団の副団長、ルイーズ・ロンズデールである。
騎士団といっても、故郷の幼馴染が10人ほど集まっただけの小さな組織である。
皆々騎士階級であるので、それぞれ従者を従えているものの、地方の田舎騎士に養える従卒なんて2人か3人がやっとだ。
「あのメスの元に行かれたのですよね!?」
「メスって言い方辞めようよ……。」
「あんの色ボケ……殿下はエヴ様の貞操を狙っているのですよ!?」
「んなわけあるか。お淑やかな紳士ならともかく、僕のような無骨な男は趣味じゃないと思うよ。」
「なーーーんも分かってない!エヴ様はなーーーんも分かってない!!!」
なにか分かってたまるか。
こちとら前世と合わせて30年以上童貞を貫いとんじゃ。そろそろ魔法使いなんじゃぞ???
既に2度目の成人を迎えても、一度も女性と交際した経験の無い僕に、女性の心など分かってたまるか。
いいのか?泣くぞ?
「わかった、わかったから。」
「なーーーんも分かってない!!!」
「その辺にしときなよ、ルイーズ。」
肩を揺さぶられてガックンガックンしている僕に助け舟を出してくれたのはネリーという騎士だった。
ルイーズは団長たる僕の補佐をする役割であり、実際に部下の騎士達の中心にいるのはネリーだった。
実質の現場責任者のようなものだ。
ルイーズはネリーにとっての上官に当たるが、彼女たちもまた幼馴染。
指揮系統や階級の遵守は大切だけれど、それはそれとして、彼女たちのやり取りには気心知れた相手への対応が見えて僕は好きだった。
「エヴ様が鈍感なのは今更でしょ。」
「それはそうだが、それでは困る!」
「それはそうなんだ……。」
指揮官である僕にもこの態度だけれど、特に気にした事はない。むしろ恭しくされる方がムズ痒いしね。
しかし、一度戦場となればしっかり騎士に殉じてくれるのだから頼もしい事この上ない。
王国きっての豪傑たる母上に直接扱かれた彼女たちはそこらの盗賊など瞬殺できるほどに強い。
加えて、魔術を扱える者も居るので、いい意味で人数に見合った戦力ではないのは確かだ。
「ルイーズも大概ですけど、エヴ様もですよ。いい加減、周りの目というものを少しは気にしてください。」
「えぇ……?」
この世界で持て囃されるのは小柄で華奢な男性だ。
決して筋骨隆々のムキムキ男なんぞではない。
幼馴染の彼女たちと共に、同じように鍛え抜かれた僕の体は凡そ褒められるような体型ではないのだから。
身長は180cmに届き、ボディビルダーも「ナイスバルク!」と親指を立てそうな程に逆三角形のボディライン。
短く切り揃えられた髪も浅黒く焼けた肌も、この世界の女性にとっては「野蛮」の一言で一蹴される事だろう。
おかげで、昔から怪訝な目で見られる事も往々にしてあったが、我が家の家訓に習って"分からせて"きたのだった。
そんな中で「周りの目を気にしろ。」と言われても、あっ!今、馬鹿にしましたね!?殺す!!!しか経験がなかったが故、殿下のネットリとしたどエロい視線も珍しい男騎士に興味を惹かれただけの事だろうと思っていた。男騎士なぞ、
「とにかく、さっさと身を固めて下さいな。でないと私達も結婚できません。」
「そう言われても相手が居なくては結婚も出来無いだろうに……。ネリーが貰ってくれるのか?」
「私に好き好んで渦中へ飛び込む勇気はありませんので。」
「ほらみたことか。」
お前の好みも分かっとるわい。
何年付き合ってきたと思うんだ。
ネリーだけではない。
騎士団の幼馴染、皆の性癖もバッチリ把握している。
母上は大事な息子になんて話をするんだ、とカンカンに怒ったけれど、僕としては悪友達と猥談で盛り上がる感覚でいたので寧ろ楽しかった。
「で、でででででは、わた、わっ、私と……。」
「んぇ。」
落胆する僕を尻目にルイーズが俯きつつボソボソ何かを言っているけれど、上手く聞き取れない。
聞き返そうかと思ったけれど、宿屋の女主人の「夕餉の準備が整いました。」という声にかき消されてしまった。
「おっ、ちょうど良かった。お腹空いてたんだよな。」
「あっ、お供いたしますよ。」
「エ!?アッ、ちょっと!」
既にお腹が空いていた僕はそそくさと宿へ入り、他の騎士達も呼びに行くことにした。
夕食の最中、ずっと落ち込んでいた様子のルイーズ。
多分、野菜がゴロゴロ入ったシチューが口に合わなかったんだろうな。肉好きだし。あとで干し肉あげよ。
明日からは帰国に向けた準備で忙しくなる。
一年ぶりの帰郷へ複雑な心境のまま、この日はゆっくり休むのだった。
メインキャラが増えてきたので....みんなの好きなキャラを教えてくれぇ!!!書くわよ〜!!!!
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ルイーズ・ロンズデール
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ネリー
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サーシャ、クロエ、ミリア他騎士団
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アンドレア殿下
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ガーベラ
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アグニ
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バルバラ
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