姫騎士(肉食)共から貞操を守りつつ、僕の騎士道がハードモードすぎる 作:お庭屋さん
読みづらくてすみません。
よくわかんねぇやって思ったらお気軽に感想等で教えてください。
ダウンタウンの、陰鬱なのにどこか活気もある不思議な空間で買い出しを続けた僕達は、抱えきれなくなった荷物を激安のオンボロ手押し車に詰め込み、宿に戻るところであった。
胡散臭そうな店主に何とか値引いてもらい、人数分の羊皮は手に入ったし、中古品であろう縫い跡の多いギャンベゾンも幾らか手に入れた。
途中、「おいおい、オトコがほっつき歩いてらァ」と絡んできたゴロツキエルフのお姉様方を、お手伝い兼護衛の2人がボッコボコにするハプニングもあったけれど、それ以外は至って平和な買い出しであった。
武装した護衛がいるというのに絡んできたという事は余程の
エルフ特有の端正な顔立ちが、見るも無惨な程殴られているのは可哀想だったから、ついつい止めてしまったのは仕方の無いことであろう。
「はァ……ないないだねぇ〜。」
「エヴ様?何か?」
「いや、何でもないよ。」
この買い出しで、遂に僕の財布はほぼ素寒貧である。
手伝ってくれたお礼にと、2人へなにかご馳走したかったのだけれど、シナシナになった僕の財布がそれを許してくれないのだった。甲斐性なしですまん……。
「兎に角、必要なものは揃いましたね。あとは宿に戻るだけですが、最後まで油断なく行きましょう。」
「あぁ、帰り道もよろしく頼むよ。」
「「お任せ下さい。」」
先程の乱闘の返り血であろう、若干、血の滲んだ拳でサムズアップをする長身美女が2人。
なんとも頼もしい事である。
「おや?」
「どうかされましたか?」
「いやなに、見知った顔が居た気がしてね。」
「左様ですか。探しますか?」
「うぅん。いや、何か用があればあちらから言ってくるだろうし、大丈夫。」
ダウンタウンのメイン通りは昼夜問わず人通りが多い。
昼間は物売りが多いけれど、夜となればガラの悪いものが溢れ返る。
飽きさせない街ではあるけれど、身分ある者は少し面倒が起こる……かもしれない街である。
まだ日が落ちるには早い時間なので、輩の様な者は少ないが……。
そんな大衆の中に見覚えのある顔が見えた気がした。
見覚えというか、知り合いの少ないこの帝都でそこそこ仲良くしてもらった1人なので、見間違えということはあるまい。
……はて、何か言伝か?
奨んでダウンタウンに足を運ぶような人ではないので、わざわざここまで来るということは余程の用事なのだろう。
それに、一瞬目があった際に「いた!あっ!めんどくせぇのもいる!」という表情を浮かべていたので十中八九、僕に用があるとみた。
恐らく、
「んん?」
「エヴ様?」
「アッ!」
「「エヴ様!?」」
人混みからその顔見知りを探すため、少し足を止めた瞬間に、ヌッと現れた可愛らしい小さな手が僕の右腕を掴んで、そのまま奥へ奥へと引っ張っていく。
この小さなお手手には覚えがあるので、特段慌てるようなことも無い。
人通りが多いというのに凄まじいスピードで引かれていく僕。
焦りが目に見えるほどの鬼気迫る表情の2人。
「アレ〜〜〜〜!」
「「エヴさまぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」」
うーん、ナイスリアクション。愉快愉快。
あ、でもこれ普通に誘拐では?
☆
ダウンタウンのさらに奥地、ほぼスラム街の様な場所の薄暗い路地裏で、ようやく解放して貰えた。
少し痛む腕をさすりつつ、誘拐犯を見やる。
案の定というか、その顔見知りであった。
「マドゥワス卿。突然の無礼、誠に申し訳なく。」
「いえ、火急且つ内密の用件なのでしょう。私は気にしておりませんので顔をお上げください。マイヤ卿。」
誘拐犯はアンドレア殿下の側近、フリーダ・マイヤ女爵であった。
この地方特有の金髪をお団子に纏め、凛々しい目をしたハーフリングの女性である。
背丈は僕の半分も無いほどでパッと見は子供のように見えるのだけれど、年齢は僕よりも上だ。
身に纏った外套の下からチラリと見えるのは帝国宮廷騎士の煌びやかな鎧。
平服でないことから、プライベートのご用事という訳でもなさそうである。
彼女の愛らしい見た目とは裏腹に、実力は相当な物。
一大帝国の皇太子殿下の近衛を務める彼女は、近衛兵の主戦場である室内戦闘では負け知らずだ。
殿下のお気に入りらしく、執務室で何度も顔を合わせるうちに、爵位が同じという事もあり、懇意にさせて貰っていた彼女。
今では互いに「卿」と呼び合う仲である。
とあるきっかけから、1人の騎士として尊敬しているのだけれど、その話はまた今度。
「あの二人がいると話が進みそうに無かったのでな。申し訳ないが撒かせて貰った。」
「殿下絡みの話という事ですね。」
「然り。」
どうにもうちの騎士団連中は殿下を嫌っている節がある。
まぁ、敵国の皇太子なのだから当然と言えば当然であるが……。一応、上司の主人であるし、そこそこの給料も頂いていたのだから、あからさまにイヤな態度を取らなくてもいいと思うのだけれど……。いや、敵だしな……。
「アンドレア殿下から、再び城へ参られよとの事。」
「むぅ?昨日暇を頂いたばかりと言うのに?」
「その事なのだが……。」
どうにもマイヤ卿の顔色が優れない。
如何した?と問うてみると、益々渋い顔で説明してくれた。
曰く、殿下をかなーりキツくお説教したという。
「恥ずかしい話だ、散々面倒事を押し付けたマドゥワス卿をぱっぱと追い出してしまったと聞いてな。」
「追い出した、というより普通に労役が終わったからなのですが……。」
「しかしだな……。卿には私も殿下も世話になりっぱなしであった事は間違いないのだ。それなのに褒賞も出さずに自国へ帰らせると言うではないか!」
ちっちゃな手をプルプル震わせて熱弁するマイヤ卿。
あ、これブチ切れてるヤツだ!
「例え仕える主が違えども、奉公には相応の褒美を与えるべきであろう!?勝手に連れてきておいて、こき使った挙句にポイとは……!全く度し難い!」
「マ、マイヤ卿。お気持ちは分かりましたから、落ち着いて。」
「はぁ……はぁ……。失敬、見苦しい所を見せたな。」
「いえ、お気持ちは大変嬉しかったですとも。」
殿下はマイヤ卿の地雷をしっかり踏み抜いていたらしい。
騎士道の鑑と評される彼女は、殿下が帰り支度の資金を出さなかった事にたいそうお怒りのようだ。
簡単に言えば、
「お前コラ。勝手に連れてきて、貴族を散々使いっ走りにした挙句に無一文で帰れだと?ふざけんなコラ。」
という事である。
例え王であっても、貴族を蔑ろにすることは大変な失礼にあたる。というか不可能である。
広大な国土を実質的に統治しているのは領主である貴族達であるし、王が絶対的な権力を振るえるのは直轄地のみ。それは皇帝であっても同じ事で、封建制のこの世界では、絶対王政なぞ何それ美味いの?状態なのだ。
しかし「例え仕える主が違えど。」か。
少し寂しいが、事実なので突っ込むつもりもない。
「とにかく、殿下には私から話を付けた。恩の内容までは口を出していないが……。あの様子であればこれ以上無礼を重ねることは無いと思う。」
「それはそれは……。痛み入ります。」
「なに、私から卿への餞別も込めてだよ。改めて礼を言おう。ありがとうマドゥワス卿。」
「こちらこそ。卿のお陰で、帝都での生活は明るいものになりました。感謝いたします。」
照れくさそうに、へへへっと鼻の下を擦る彼女。
こうして見ると本当に少女のようにしか見えない。
ハーフリング族の容姿を揶揄することはタブーだし、見た目をとやかく言われる辛さは僕にも経験がある。
本人には絶対言わないけれど、時々見せる無邪気な笑顔が見た目通りの少女らしくて可愛いと以前から思っていた。
「さて。伝えるべき事は伝えたし、卿をあの2人の元へ送ろう。こんな所へ連れてきたのは私だしな。」
「そうして頂けますと幸いです。あいにく土地勘が無いもので、ここがどこかすら分からぬので……。」
「う、うむ。」
手を引かれるまま連れてこられてしまったので、現在地の見当はさっぱりつかない。
人気のない薄暗い路地裏、鼻をツンと突くような異臭が仄かに香る中さなかに若い男女が2人。
何も起こらないはずもなく…………という事もない。
幸いというか残念というか、マイヤ卿は淑女のお手本の様な堅物であるので、彼女の方から手を出すことはまず無いだろう。
☆
マイヤ卿の先導で、表通りまで歩いていこうとしたとき、足元の小石が揃ってカタカタと動いているのが目に留まる。それは次第に地響きだと分かる。
なんだなんだと思うのも束の間、表通りの方から砂埃を上げつつ猛進してくる影が2つほど見えた。
「「ウォォォ!エヴ様ァァァァァァ!!!」」
怖ぇよ。
親でも殺されたんかと言いたくなる形相で一直線にこちらへ走ってくる彼女たち。
子供が見たら普通に泣くレベルの威圧感である。
ほれみろ、マイヤ卿も震えちゃってるじゃないか。
「マドゥワス卿……?マドゥワス卿!?」
「大丈夫ですよ……多分。」
「多分!?多分では困る!!!アァ!?」
向かってくるふたりの目には確実な殺意が見て取れる。
護衛対象である主人を攫ったのだから、「犯人は見つけ次第殺す!」くらい平気でやるだろう。
走りながらも、しっかりと己の得物に手を掛けているから間違いない。
いかん。このままではマイヤ卿が殺されかねん。
「スゥ……………止まれぇぇぇぇえ!!」
「「!?」」
「ヒェッ!?」
腹の底に力を込めて、ありったけ叫び、殺戮バーサーカーと化した幼馴染共を制止する僕。
ただ単に大きい声を出すのではなく、声に魔力を乗せて響かせる。
大気がビリビリと震え、突っ込んでくる2人はおろか、マイヤ卿も尻もちをついてしまった。
「コホン。失礼致しましたマイヤ卿。なにぶん、急ぎ対処せねば卿の身に危険が及ぶと思いましたので。」
「か、構わぬとも………………。」
ぺたりと座り込んでしまった彼女に手を差し伸べ、立たせてやるも、膝は未だに産まれたての子鹿じみた挙動でカクカクと震えてしまっている。
可哀想…………。
幼馴染2人といえば、多少驚いたようだけれど、すぐさま立て直して詰め寄ってきたので、流石というかなんというか。
「エヴ様!ご無事でしたか!?」
「無事も何もないだろう。この通りだよ。」
「で、ですが、こんな裏路地に強漢魔に連れ込まれて……何かされたのではないかと……私はっ!」
「ルイーズ。その強漢魔というのは辞めなさい。卿に失礼でしょう。」
はて、とマイヤ卿を見つめ、自分たちの勘違いに気付いた2人はすぐさま姿勢を正して謝罪する。
マイヤ卿にも非があるとはいえ、格上の貴族相手に暴言を吐いたのだから、打首にされても致し方ない無礼を働いた事になる。
そんな2人の主人である僕も頭を下げ、マイヤ卿の許しを乞う。
「フリーダ女爵殿!た、大変なご無礼を……。」
「僕からも謝罪を。部下の非礼をお許し頂けますか?」
「なんのなんの!顔を上げなされ。元より私が誘拐まがいな事をしたのが悪いのだから。」
相手が親交のない貴族であれば厳重な処罰は避けられなかっただろうけれど、幸いにもマイヤ卿は理知的な方である。
貴族であるから、と自らの立場にふんぞり返って傍若無人な行いをするクソ共とは大違いだ。
そういう悪逆貴族が、僕は吐き気を催すほど嫌いであった。
幼馴染騎士団とマイヤ卿にも面識はある。
共に、殿下の無茶振りをヒィヒィ言いながら乗り越えてきたのだから、互いに対する敬意も持ち合わせている。おかげで、うちの騎士団の殿下アンチは加速し続けてたんだけどね。
それから、少し益体も無い話で先程の勘違い騒動のお茶を濁しつつ立ち話をした。
幼馴染2人からも、マイヤ卿なら。という事で、どうして僕を連れ去ったのか等は特に深堀りされることは無かった。
殿下絡みの話であれば、まず間違いなく「発情したメス犬に会いにいくなど許しません。」くらい言いそうなので、助かったといえば助かった。
しかし、どうすっかな……。
呼び出しを無視する訳にもいかないし、さりとて宮廷に向かうといえば止められるだろうし。
どうしたものかと頭を悩ませつつ、我が麗しのボロ宿の方へと4人揃って足を向けるのだった。
メインキャラが増えてきたので....みんなの好きなキャラを教えてくれぇ!!!書くわよ〜!!!!
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ルイーズ・ロンズデール
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ネリー
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サーシャ、クロエ、ミリア他騎士団
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アンドレア殿下
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ガーベラ
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アグニ
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バルバラ
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