転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物、設定が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。





第80話 敗北

 

 

ヴェサリウスのガンルームは、重苦しい空気に包まれていた。

 

「あ〜!もう鬱陶しいやつらだ! 連中どうにかならないのかよ!」

 

「鬱陶しいのはお前だ! 無意味に騒ぐな!」

 

「なんだと!」

 

「や、やめてください! ディアッカもイザークも!」

 

ディアッカとイザークが言い争い、ニコルが慌てて止める。

それは最近の彼らの日課になっていた。

理由は単純だった。

――現状に改善の余地がない。

G兵器を奪取した当初は「ナチュラルなど一捻りだ」と喜んだ。

だが所詮は鹵獲兵器。

• 部品交換は“部品そのもの”を一から作る必要がある

• 整備性は最悪

• 単体性能は高いが、複数機での連携前提

• ザフトの現状では「ナチュラルは自分達の作った兵器で苦しめられている」という事を宣伝する“派手な看板”以上の価値がない

PS装甲は確かに強力だった。

しかし――

メビウスのドローンに繰り返し被弾すれば、フェイズダウンする。

PS装甲なしで戦場を動き回れば、母艦に帰還するしかない。

さらにドローン迎撃や回避でエネルギーを消耗する。

そこへ――

無人メビウスが突っ込んでくる。

無人機だから、相手は撃墜されても痛くもない。

撃墜されれば次を持ってくれば良いだけだ。

オーブ護衛艦には、甲板・側壁・艦底にまで無人メビウスが係留されていた。

小破・中破した機体すら最低限の修理だけで再出撃。

無人機である為に気密性を考慮する必要がなく、

無人機はドローンを格納する親機さえ発射してしまえば、

後はそのままミサイル代りに敵に突っ込ませればいい、

という割り切りが可能だった。

これで相手にさらにエネルギーを消耗させる事になる。

そして最後に――

有人メビウスが複数で襲いかかる。

PS装甲で防御はできるが、すでにエネルギーを消耗しているため、

数発直撃すればフェイズダウンの危険があった。

結果として、

最新鋭のG兵器が、旧式のメビウスに追い回される

という屈辱的な状況が発生していた。

さらに油断すれば、後方のストライクから狙撃される。

 

MSはさらに厄介だった。

オーブのMSは、性能そのものは大したことはない。

だが――

連携が異常に上手かった。

• 後方から狙撃しようとすると逆に狙撃される

• 前方を牽制しつつ、即座に後方へ対応

• 生産されたばかりとは思えない“熟練の動き”

さらに厄介なのが武装だった。

• ビームスプレーガンは威力こそ低い

• だが連射が効く

• 一発程度なら問題ないが、3機の射撃が一点集中すれば、PS装甲でもフェイズダウン寸前

通常装甲のジンは近づくことすらできなかった。

さらにG兵器のビームライフルでさえPS装甲の盾(ビームシールド)によって有効打にはならなかった。

結果、ザフトは散発的な攻撃しかできなかった。

 

アスランとクルーゼが評議会に呼ばれている間も、3機のGで何度か攻撃したが、

4機でできなかったことが3機でできるはずもない。

 

「くっ、この!」

 

イザークは接近するアストレイにビームライフルを撃つが、

PS装甲の盾(ビームシールド)に阻まれ、

逆にビームスプレーガンが飛んでくる。

威力は低い――はずだった。

だが、3発が一点集中して同時着弾。

 

「なにい!!」

 

一気にフェイズダウン危険域へ。

そこへアストレイが急接近し、

背中から伸びた光の刃がデュエルへ振り下ろされる。

 

「!!」

 

アストレイのビームサーベルによりエネルギーを消耗したデュエルはフェイズダウン。

その頭上に再びアストレイのビームサーベルが振り落とされようとしていた。

 

――負ける?

――俺が?

――ナチュラル如きに?

――この俺が?

――こんなナチュラルのMSに?

 

思考が渦巻く。

 

「ヒッ!」

 

切り裂かれる寸前、ディアッカの砲撃がアストレイの腕を吹き飛ばした。

 

「イザーク! 下がれ!」

 

イザークは無言で後退した。

 

 

ディアッカはニコルを援護するため前進する。

腕を破壊されて撤退していった一機を除いてもまだオーブのMSは2機残っている。

いくらこちらがスペックに勝るGシリーズとはいえ、ニコル一人で相手をするのは厳しい。

そう判断しての事だ。

だが数分後――

腕を破壊されて撤退したはずのアストレイが、

修理されて戦線復帰してきた。

 

「なんだと!!」

 

破壊された腕は修復済み。

さらに交換バッテリーを僚機に渡している。

PS装甲の盾(ビームシールド)の使用時間が延びたことで、

オーブのMSの動きはさらに洗練されていく。

• 連携は密に

• 攻撃は正確に

• 反応は一瞬早く

もはやGシリーズ2機では、

アストレイ3機を抑えることは不可能だった。

 

「ディアッカ! 撤退しましょう!」

 

「ニコル! しかし!」

 

「もう無理です! わかっているでしょう!」

 

――わかっていた。

自分たちでは、このMSでは、

 

『オーブのMSに勝てない』

 

どんなMSなら勝てる?

突き詰めた高性能機?

長距離砲撃型?

格闘戦特化?

局地戦なら勝てるかもしれない。

だが――

“戦場全体”では勝てない。

 

「……撤退だ!」

 

屈辱と無力感に苛まれながら、

ディアッカは撤退を口にした。

これ以降、クルーゼ隊による追撃はほとんどなくなった。

 

アスランとクルーゼがプラントから戻ったのはその頃だった。

 

「アスラン!」

 

ニコルは喜色を浮かべたが、

イザークとディアッカは苦い顔をしていた。

しかし――

アスランの顔はさらに苦かった。

 

「皆に話がある」

 

アスランは語った。

• ヘリオポリスで作られていたのはオーブのMS

• 連合のMSは“持ち込まれたもの”

• 自分たちは中立国の自国用MSを“連合製”と決めつけて襲撃した

• オーブは以前プラントにMSを売り込んでいた

• プラントが断った以上、オーブがどこに売ろうが自由

• 中立を踏みにじられたオーブは、期限内に回答がなければ宣戦布告

全員の顔色が悪くなっていく。

 

「つまり俺達のやった事がオーブを敵に回したという事か?」

 

「そうなるな」

 

アスランは苦く答えた。

 

「隊長は? どういう処分を受けたんだ?」

 

「隊長は処分されていない」

 

「は?」

 

「え?」

 

アスランは淡々と説明した。

• オーブMSには連合技術が使われている

• “自国用”と言っているが実態は連合向けの可能性がある

• よってクルーゼの行動は“将来の危険を事前に発見した功績”

 

「そんなこじつけが!」

 

「いくらなんでも!」

 

「フン! ナチュラルの敵が一つ増えただけだろう!」

 

「イザーク! そのオーブが敵になるんですよ!」

 

自分達が今まで散々手こずってきた相手が本格的に敵になる。

イザークもさすがに渋い顔になった。

 

「独立の為には……こんな中立国を一方的に攻撃するような事までしなければいけないんですか?」

 

ニコルの問いに、誰も答えられなかった。

 

 

「どちらにせよ上の方はオーブの宣戦布告を受けるつもりらしい。

オーブが敵になるのは間違いない。

資料は渡しておくから目を通しておいてくれ」

 

意気消沈しながらも3人はアスランの持ち込んだ資料に目を通し始めた。

 

「手足の交換に30分?嘘つけ!10分もかかっていなかったぞ!」

 

「輸出用のモンキーモデルの事なんだろう。他国に売る分だし珍しい事じゃない。

ビーム兵装も載っていないしな」

 

「確かにな」

 

ディアッカのぼやきにイザークが答える。

 

「あれ?」

 

アスランが持ち込んだ資料を読み進めるうち、

ニコルがふと気づく。

 

「アスラン。このアストレイってモジュール構造ですよね?」

 

「ああ」

 

「じゃあ交換用の手足はどこに置いてあるんです?」

 

「どういうことだ?」

 

「以前ディアッカがこのアストレイを砲撃して中破させたことがあるんですけど、

10分ぐらいで戻ってきたんです」

 

「それぐらいこのMSならできるだろうな」

 

「つまり交換用の手足が大量にあるという事ですよね?」

 

「??そうなるな?」

 

「その手足を組み立てればMSを作り出す事は可能ですよね?」

 

!!!

 

その場の全員に衝撃が走った。

 

「交換用の手足が一つか二つという事はあり得ないですよね?

つまり手足は大量にある。手足が大量にあるなら頭部は?胴体は?」

 

「当然大量にあるだろうな」

 

「普通のMSだったら艦内に収容場所が必要ですからそれ程大量には搭載できません。

でもこのアストレイだったら手足だけ、胴体だけをコンテナにでも収容しておけばいくらでも搭載できます。

極端な事を言えば出撃に必要な機体をその都度ハンガーで組み立てて発進させる事も可能なのでは?」

 

全員の顔に冷や汗が伝った。

 

「つまり現時点で三機しかいないアストレイがまだまだ出てくる可能性があるという事か?」

 

「格納もモジュールに分解すればよいのですから場所を取りません。

交換の頻度を考慮しても実際には5~6倍の数の敵を相手にしている、

と考えた方がいいのではないでしょうか?」

 

衝撃的な答えだった。

自分達が相手にしていたのはたった三機のアストレイのはずだった。

それが実質は15機以上のアストレイを相手にしているようなものだと知れば、

彼らは驚きを隠せなかった。

 

「オイオイ、いくら何でもそれは大げさじゃ・・・」

 

「大げさだと思います?」

 

「・・・」

 

ニコルの問いにディアッカは答える事が出来なかった。

 

アーク・エンジェルからアスラン・ザラを名指しした休戦の申し込みが届いたのは、ちょうどその頃だった。

 

 

 

 







※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

次回お楽しみください。

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