転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

105 / 171


※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。




第84話 決裂

 

 

「……アスラン、それは出来ない」

 

「キラ?」

 

いつものキラであれば、アスランの手を振り払ったことに「ごめん」と謝っていただろう。

だが今のキラにとって、手を振り払う行為は――

自分の大切なものを守るための当然の選択だった。

 

 

「アスラン、君と別れてからいろんなことがあったよ。

嫌な事、つらい事もたくさんあった。

コーディネーターだからってだけで責められた事もある」

 

「だったら!」

 

「でもね、その度に周りの人が助けてくれたんだ。

自分には関係ないのに、僕の事なんか放っておけばいいのに……

僕のために、一緒に怒って、笑ってくれる人たちが」

 

キラの脳裏には、志願書にサインして笑っていたトールやサイたちの姿が浮かんでいた。

 

「その僕の大切な友達が、あの艦には乗っている。

友達は僕のせいであの艦に乗る事になったのに……

それを僕が見捨てる事は出来ないよ」

 

「そいつらはナチュラルなんだろう!

そんな奴ら放っておけばいい!

連中がどうなろうがお前には関係ない!」

 

「……アスラン? 変わったね?

昔は相手がナチュラルだからって、そんな事を言ったりしなかったよね?

もしかして……レノアおばさんの事?」

 

「!!! 知っていたのか?

ああ! 母がユニウスセブンで死んだ。ナチュラルに殺されたんだ!

母の仇を討とうとして何が悪い!」

 

「レノアおばさんは、君にそんな事をして欲しいなんて思わないと思うよ?

僕でも、それぐらいはわかる」

 

キラの脳裏には、子供の頃アスランと遊ぶ自分を、

優しく微笑んで見守ってくれていたレノアの姿が浮かんでいた。

あのレノアが、自分の息子に“仇討ち”を望むなど――考えられなかった。

 

「母がナチュラルに殺されたのは事実だ!お前も母に世話になっただろう!

だったら俺と一緒に母の仇を討とう!お前が一緒にいれば簡単だ、キラ!」

 

その言葉に、キラは愕然とした。

 

「……アスラン?僕を誘うのは、レノアおばさんの仇を討つためなの?

僕は君にとって……レノアおばさんの仇を討つ“道具”なの?」

 

「ち、違う! そうじゃない!

ただ俺は、お前がナチュラルに利用されているのが見ていられないんだ!」

 

「そのために僕に友達を殺せというの?

僕と一緒に泣いたり、笑ったり、怒ってくれた友達を?」

 

「違う! そんなつもりじゃ!」

 

キラはアスランを見つめた。

あれほど会いたかった親友が、目の前にいる。

あれほど話したかったことが、山ほどある。

つらかった事。

苦しかった事。

嬉しかった事。

笑った事。

だが――

どんなに言葉を尽くしても、今のアスランには届かない。

それがキラには理解出来た。

理解出来てしまった。

 

「アスラン。僕は君の方へはいけない。

僕には守りたいもの……守らなければならないものがあるんだ!」

 

「それは俺と敵同士になってでもか?」

 

「ああ!」

 

キラはためらいなく頷いた。

 

そのキラの答えを噛み締めるようにしばらく沈黙した後、アスランは絞り出すように声を出した。

 

「……そうか。それなら俺達は次に会ったら敵同士だ!

俺はためらいなくお前を撃つ!」

 

「……僕もだよ、アスラン。みんなを守るためだったら……僕は君を撃つ!」

 

それから二人は、一言も発することなく離れた。

 

それは――

どれだけ距離と時を隔てても繋がっていた二人の友情が、

ついに決裂した瞬間だった。

 

 

 

 






※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

次回お楽しみください。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。