転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
フレイはブリッジへの通路を走っていた。
父が来た。
大好きな父が来てくれた。
――これでもう安心だ。
そう思った。
しかし、その望みが打ち砕かれるまでには、ほとんど時間はかからなかった。
「パパッ!」
フレイがブリッジに飛び込んだのは、ちょうど先遣隊との通信が切れようとした瞬間だった。
「フレイ?」
「何をやっている! 民間人は立ち入り禁止だ!」
サイの戸惑う声と、ナタルの咎める声。
だがフレイの耳には届いていなかった。
「フレ――」
父の映った画面が、炎に包まれた。
映像が乱れ、何も映さなくなる。
フレイの脳はその光景を理解することを拒んだ。
だが、それが紛れもない事実だと理解した瞬間――
「いや~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!」
現実を拒絶する叫びが、ブリッジに響き渡った。
意識を失ったフレイは、そのまま医務室へ運ばれた。
――
「フレイはどうしてる?」
「眠ったままよ。無理もないわ」
トールの問いに、ミリアリアが小さく答える。
「まさか親父さんが来てくれたと思って安心した途端に、あれじゃあなあ?」
「フレイ、これからどうするのかしら?」
「どうって……身内の誰かにお願いするしかないだろ? 他人の俺達が口を出す事じゃない」
「そうね……そうよね」
「まあ、俺達で何かできる事を探しておこうか?」
「ええ、そうしましょう」
それから二日間、フレイは目を覚まさなかった。
――
トダカはマリューたちと今後の対応を話し合っていた。
「え? 戦闘データの消去?」
「ああ。いちおうこの艦は“民間船”という建前だったから機密指定はしていなかったが、
第8艦隊に合流するとなれば、この艦が得たオーブの機密が地球連合に流出する事になる。
近日オーブも宣戦布告する予定とはいえ、それ以前に情報流出で揉めるのは避けたい」
「それは……そうですね」
これから軍事同盟を結ぶ可能性のある相手だ。
余計なトラブルは避けるべきだった。
しかもここまで無事に来られたのは、オーブのおかげ。
断れるはずがない。
「しかし、オーブの戦闘データが無くなったら……誰がザフトを撃退した事になるんだ?」
ムウの疑問に、トダカは当然のように答えた。
「キラ君だよ」
「は?」
「はあ?」
「ええ?」
「ザフトを撃退したのはキラ君で、我々オーブはその手助けをしただけ――という事にする」
「それはいくら何でも……」
「無理筋というか……」
実際、キラがした事といえば後方からの狙撃と、防衛線を突破した敵への少しの攻撃だけ。
ムウの「戦闘ではない」という呟きが全てを物語っていた。
「キラ君には『ザフトの追撃を悉く跳ね返した地球連合のパイロット』になってもらう。その必要がある」
「何故ですか?」
「キラ君がコーディネーターだからだ」
「? 意味が分かりませんが?」
トダカは淡々と説明する。
「オーブの戦果を表に出せない以上、誰かにそれを担ってもらう必要がある。
フラガ大尉なら問題ないが、君はMSを操縦できない」
「そりゃそうですが……それが坊主と何の関係が?」
「地球ではブルーコスモスの活動もあって、コーディネーターへの差別はほとんどなくなっている。
『みんな同じプラントの被害者だ』という事でね。
だが宇宙にいたコーディネーターは、まだ“プラント側”と同一視される傾向がある。
地球連合からすれば、キラ君は『機密に触れたプラントの仲間』なんだよ」
「そんな!」
「あんまりです!」
「それはいくら何でも!」
「もちろん私達はそんな事はないと知っている。
だが上の連中は知らない。
このままだとキラ君は適当な理由を付けて最前線送りにされ、
使いつぶされる可能性が大きい」
ブルーコスモスの影響で改善されたとはいえ、地球連合の実態を考えれば十分あり得た。
「そんな!キラ君たちは地球までの志願兵という事で徴兵したんです!
それをいまさら反故にするなんて!」
「現状キラ君は地球連合唯一のMSパイロットだ。
地球連合の上層部が手放す事はあり得んよ。
キラ君の枷とするためにも学友たちの除隊も認められないだろうな」
「そんな!」
「だからこちらでも手を回す。
キラ君を『地球連合最高のパイロット』として表に出し、
下手に手出しできないようにする。
ただの一兵卒なら好き勝手に動かされるかもしれないが、
『最高のパイロット』として目立てば、そう簡単には扱えない。
その間に退役なり転属なりでキラ君たちをオーブに帰還できるように手を打つ。
彼らはオーブの国民なのだからね」
マリューたちは、自国民のためにそこまでやるオーブという国に感嘆した。
「もっとも、第8艦隊がこの艦を自分達に組み込もうとしなければ、
これまでの話は必要なくなるのだがね」
そのトダカの言葉からしばらく後――
アークエンジェルは第8艦隊と合流した。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。