転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
フレイは考えていた。
父は死んだ。
なぜ?
誰が殺した?
――コーディネーターだ。
宇宙に住むバケモノだ。
奴らを殺して、父の仇を討つ。
しかし自分にはその力がない。
力が必要だ。
奴らを殺せるだけの力が。
力のある者はいないのか?
いた。
しかも、自分の身近に。
これから自分がやる事を考えると体が震えた。
だが父の無念を晴らす事を思えば、そんな事はどうでもよかった。
フレイはキラの部屋の扉を開けた。
アーク・エンジェルが地球に降下した夜の出来事だった。
――
デュエイン・ハルバートンは、マリューの報告を受けて唸っていた。
自分が作らせたG兵器が敵に奪取され、逆に使用された。
さぞ大きな被害が出たのかと思いきや、損害は軽微。
残った最後のGであるストライクの活躍により、被害は最小限に抑えられた。
――表向きの報告では。
裏でマリューから受けた報告では、オーブのドローンと無人機の組み合わせ、
そしてスペック的には大したことのないはずのアストレイの連携で、
追ってきたGをほぼ撃退できていたという。
被害がなかったことを喜ぶべきか、
自分が開発させたGシリーズが役に立たなかったことを嘆くべきか、
ハルバートンには判断できなかった。
さらに彼を困惑させたのは、残ったストライクのパイロットだった。
彼はオーブで現地徴用したコーディネーターであり、学友たちも彼を助けるために志願したという。
ここまで苦労をかけたのだから解放しようと、除隊手続きを進めていたところ――
上から待ったがかかった。
「地球連合唯一のMSパイロットを手放すな」
「コーディネーターを制御するためにも関係者の除隊は認められない」
ハルバートンは激怒したが、命令には従うしかなかった。
マリューにその旨を伝えると、彼女はすでに予測していたのか「ああ、やはり」と言わんばかりにあっさりと受け入れた。
アーク・エンジェルのオーブ関係者については、兵員輸送船を手配することで解決した。
アーク・エンジェルにはG計画のデータを至急アラスカへ持って行ってもらわねばならないのだから。
――表向きは。
それが地球連合上層部の対外的な思惑だった。
――
「あ~、やっとこの船を降りる事が出来るなあ~!」
「全くだよ! これでオーブに帰れる!」
トールやサイたちは、艦を降りた後のことを楽しそうに話していた。
そこへ、暗い顔のキラが姿を見せた。
「おい、キラ何やってるんだ! 早く船を降りる準備をしろよ!」
彼らはアーク・エンジェルに横付けされた軍の輸送船で、アメノミハシラまで移送される予定だった。
――本来であれば。
キラの後ろからナタルとトダカが現れ、ナタルが咳払いしてから衝撃的な言葉を告げた。
「君たちの除隊は認められない。今後もこのアーク・エンジェルに乗艦してもらう事になった」
「はあ?」
「何の冗談です?」
「俺達は元々地球までという話でしたよね?」
「君たちは志願書にサインした以上、軍人だ。軍人には命令に従う義務がある。
そこに疑問を挟む余地はない。以上だ」
ナタルはそのまま立ち去った。
残されたトール達は憤慨した。
「何だよそれ!」
「地球までと言っておきながら詐欺じゃないか!」
「そんなのあんまりよ!」
「いったいどうなっているんだ!」
少年たちが騒ぐ中、トダカが咳払いした。
「ウッ、ウッ……あ~、君たちちょっといいかな?」
「え? あの、あなたは?」
「私はオーブ軍のトダカ一尉だ」
「オーブ軍……」
「そ、そうだオーブ軍の人ならなんとかしてくださいよ!」
「残念だがどうにもならん。バジルール少尉の言う通り、君たちは志願書にサインして兵士になっている。
兵士である以上、命令には従わなければならない。それがどんなに理不尽な命令であってもだ」
「そ、そんな……」
「あ、あああ~……」
「それはキラ君も同じだ」
「え?」
「キラ君は『地球連合唯一のMSパイロット』という事で、除隊の申請そのものが許可されなかった」
「え!」
「キラ?」
「お前?」
「我々オーブとしても、この件には全力で取り組んでいる。
君たちをオーブに取り返すのは、そう遠くないとだけは言っておく。
それまでは彼を支えてやってくれないか?」
「キラ?」
「皆……ごめん。僕のせいで、ごめん」
キラは級友たちの前で頭を上げられなかった。
「ふう、違うぞキラ」
「?」
「前にも言っただろ? 俺達はお前の手助けをするためにいるんだ。
だからこういう時に言うのは『ごめん』じゃないだろ?」
「あ……」
ヘリオポリスで、ストライクの前で皆と笑っていた光景が蘇る。
あの時も、皆は一言も自分を責めなかった。
そして今も、同じように笑っていた。
「……ありがとう! 皆ありがとう!」
キラはあふれる涙を拭おうともせず、大切な友人たちに笑いかけた。
トダカはキラ達の喧騒を背に、その場をそっと離れた。
デュエイン・ハルバートン提督の乗るメネラオスに、ザフトの襲撃が伝えられたのは――
それから数時間後の事だった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください