転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
原作からの大きな改変があります。
どうぞお楽しみください。







第94話 復讐

 

 

 

「いままでまもってくれてありがとう。おにいちゃん」

 

その言葉が、その姿が、キラの脳裏に何度も浮かんでは消える。

守れなかった。

自分はその場にいたのに。

あの子の乗った艦のエンジンが炎を噴き上げる様子を、ただ見ていることしかできなかった。

その後は無我夢中だった。

気がつけばアーク・エンジェルの医務室にいた。

医官から簡単な検査を受け、「異常なし」と診断されて部屋に戻ったものの、眠れない。

頭の中では、折紙の花を渡してくれた少女の声と姿が、何度も何度も繰り返されていた。

 

「ぼくは……」

 

目はうつろ。

ベッドで頭から毛布をかぶり、小声でぶつぶつと呟く姿は、今のキラの内心をそのまま映していた。

フレイがキラの部屋の扉を開けたのは、その時だった。

 

――

 

キラやミリアリアたちがアーク・エンジェルに乗り続けると知ると、フレイも志願した。

理由は「皆と離れたくない」――

だが本当は違う。

キラを使って復讐するのだ。

誰に?

パパを殺した宇宙人たちに。

そのためなら、自分の身などどうなっても構わない。

短絡的な思考は余裕を奪い、他の選択肢は目にも入らなくなっていた。

キラの部屋の前に立つと、扉の前に折紙の花が落ちていた。

フレイは目を細める。

彼女も、キラと少女のやり取りを見ていた。

 

(これは……キラを追い詰める道具に使える)

 

余裕を失ったキラに、少し優しい言葉をかければ――

たやすく言うことを聞くようになるだろう。

フレイは折紙の花を拾い上げ、扉を開けた。

 

――

 

キラはベッドで毛布をかぶり、小声でぶつぶつと呟いていた。

 

「キラ?」

 

呼びかけても反応はない。

フレイは拾った折紙の花を、そっとキラの目の前に差し出した。

 

「!!!」

 

キラは恐る恐る花を手に取ると、必死にこらえるように嗚咽を漏らした。

 

「うっ……うっ……ううう~~~~~!!」

 

「だいじょうぶ。わたしがいるわ」

 

「フレイ……?」

 

キラの手にそっと手を添え、フレイは耳元で囁く。

 

「護るから・・・私の想いがあなたを護るから・・・」

 

(だから――パパの仇のあの連中を殺して!)

 

フレイの心の声は、キラには届かない。

 

「フレイ!」

 

キラは差し出されたフレイの手に、縋りつくように抱きついた。

 

――

 

その頃、アメノミハシラではアーク・エンジェルから移送された軍関係者の受け入れが進んでいた。

 

「どうだ、様子は?」

 

「エンジンが直撃された時はどうなるかと思いましたが……輸送艦とはいえ、さすが軍艦ですね。

エンジンの切り離しが間に合って、なんとか最悪の事態は避けられました」

 

「死傷者は無しか?」

 

「女子供を含めて軽症者が数名いるだけです。

戦場のど真ん中を突っ切ったにしては運が良かったと言えます。

まったく、乗り換えなどせずそのままこちらまで来ていれば、

こんな事にはならなかったんですがね?」

 

「まあ、そう言うな。あちらにはあちらの事情があったんだろう」

 

「その事情のために、我が国の国民が死ぬところだったんですよ?

上ももっとちゃんと抗議してほしいですね」

 

「これからは同じ敵を相手に戦うんだ。それほど強くは言えんだろうな」

 

「……死傷者が出なかっただけで満足するしかないですかね」

 

結局、オーブはこの件について形だけの抗議をするにとどまった。

現実に死者は出ておらず、何より第8艦隊が壊滅状態だったこともある。

つまり――

この件は軍の正式な報告として記録されなかった。

結果として、最後までキラがこの事実を知る事はなかった。

 

少女は生きている。

 

だが、その真実がキラの元へ届くことはなかった。

 

彼が抱えた必要のない絶望と、フレイの復讐心が織りなす負の連鎖を止める機会はこうして永遠に失われた。

 

 

 







※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

原作改変の回でした。

次回もうひとりの「虎」の登場ですが、さらに大きな改変があります。

次回お楽しみください。

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