転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。

本話にて原作との大きな乖離が発生します。
これが後のC.E.の歴史に何をもたらすのか?

お楽しみください。




地球編
第95話 砂漠の虎


 

 

 

アンドリュー・バルトフェルド――

ザフト北アフリカ駐留軍司令官にして、「砂漠の虎」の異名を持つ男。

そんな彼が、自分の勢力圏に降下してきた名高い「足付き」に興味を抱くのは当然だった。

世間では、

• 「三分でジンが12機撃墜された」

• 「パイロットはニュータイプらしい」

• 「オーブの白い悪魔だ」

など、眉唾な噂が飛び交っている。

数回、威力偵察を兼ねてちょっかいをかけてみたものの、分かったのは――

パイロットがコーディネーターであり、ただ者ではないということだけ。

さらに、素顔を見せず信用できないと感じているラウ・ル・クルーゼの部下が二人、砂漠に降下してきた。

宇宙から直に砂漠へ来て対応できるのは、あの「足付き」のパイロットぐらいだろう。

そう判断したバルトフェルドは、クルーゼの部下二人をほぼ放置していた。

そんな時――

「足付き」の人員が街に出てくるという情報が入った。

 

(これは接触して、どんな人物なのか確認するチャンスだ)

 

そう思ったバルトフェルドは、街で「足付き」のクルーに接触を図った。

その時のバルトフェルドにとってそれは単なる興味本位であって、軽い情報収集以上の意味は無かった。

しかし、バルトフェルドはこの時の出会いが自分の人生だけでなく、

プラントの存続そのものに関わる出来事になるとは夢にも思っていなかった。

 

――

 

アーク・エンジェルでは、キラとフレイの関係は黙認された。

というより――

地球連合唯一のMSパイロットであるキラの要求を拒むことは不可能だった。

キラが出撃しなければ、アーク・エンジェルはその時点で終わりだ。

パイロットのメンタルケアは最重要。

しかもキラはまだ15歳の少年。

だがアーク・エンジェルには、カウンセラーなどいない。

その結果、ムウやマードックが言う「戦場で一番効果のある方法」が選択された。

しかも本人の同意付きである。

否定する理由はなかった。

しかし――

これはヘリオポリス組の間に、ささやかな亀裂を生むことになった。

そして今、フレイがキラの部屋から出てくるところを、トールとミリアリアが目撃した。

 

「フレイ!」

 

フレイは一瞬驚いた顔をしたが、何も言わずに二人の横を通り過ぎた。

 

「今更だけど、隠すそぶりもしないってのはねえ?」

 

「サイがかわいそう……」

 

「でも、俺たちに何ができるかっていうとなあ?」

 

「……そうね」

 

二人は理解していた。

• 優しいキラは軍人に向いていない

• しかし自分たちは生き残るためにキラに戦わせている

• キラに頼りきっている自分たちが、フレイに何か言う資格などない

そんな複雑な思いを抱えながら、キラたちは現地に詳しいカガリと共に物資補給のため街へ繰り出すことになった。

 

――

 

「チリソースだ!」

 

「いや!ヨーグルトソースだ!」

 

訳の分からない男と訳の分からない理由で言い争うカガリ。

キラは困惑するしかなかった。

 

「「さあ、どっちだ!」」

 

チリソースとヨーグルトがかかったケバブを前に、キラは心の中で叫ぶ。

 

(誰か助けて……!)

 

その“叫び”が聞こえたわけではないだろうが、

本当に救いの手が差し伸べられた。

横からひょいっと手が伸び、ケバブが男の口の中に消えた。

 

「う~~ん?これはこれで変わった味だなあ?悪くはないかも?」

 

黒髪に金のメッシュ、派手なサングラス。

数人の美女を連れた、バルトフェルドと同年代の男。

 

「・・・」

 

「???」

 

「!!!」

 

三者三様に絶句する中、最初に再起動したのはカガリだった。

 

「お、叔父上!どうしてこんなところに?それにその格好は?」

 

「家出娘を連れ戻しに来たと言えば納得するか?」

 

カガリは言葉を詰まらせた。

 

「あなたは?」

 

そう問いかけるバルトフェルドに、男はカガリを指さし「そこの家出娘を連れ戻しに来た者だ」と答えた。

そっとその場から逃げようとするカガリに「アリサが来ているから無駄だぞ」という声がかけられると、

カガリはその場にビシッと固まった。

 

「ア、アリサが?」

 

「後が怖いならおとなしくしとけ」

 

「・・・」

 

カガリは普段が嘘のようにおとなしくなった。

 

「え、っとあなたはどなたですか?」

 

「そこの家出娘の身内だ」

 

「はあ、?」

 

自分が聞きたいのはそういう事ではないのだが?

と思いながらキラが言葉を続けようとした時、店先で派手な音が響いた。

 

「「「青き清浄な世界のために!!」」」

 

数人の男たちが機関銃や手榴弾を抱え、バルトフェルドへ突進してくる。

 

「チッ!」

 

バルトフェルドはテーブルをひっくり返し盾にしようとしたが――

隣の男は悠然と椅子に座り、ケバブをかじっていた。

バルトフェルドは慌てて男をテーブルの影に引っ張り込もうとした。

次の瞬間、男の護衛の美女たちが正確な射撃で襲撃者の銃を撃ち落とし、手足を撃ち抜いて無力化していた。

外にいた襲撃者も、遠距離からの狙撃で沈黙していた。

 

「主、周囲の無力化完了しました」

 

「ん。ご苦労」

 

「単にブルーコスモスを勝手に名乗っているだけの連中ですね。どうしますか?」

 

「近くの警察にでも引き渡しとけ。

もっとも勝手にブルーコスモスを名乗った連中が町の人に何をされるのかは知らんがな」

 

事実であった。

ブルーコスモスは今では以前と打って変わり「人類の救世主」としてナチュラル、コーディネーターを問わず

絶対的な支持を集めていた。

国が何もしてくれない中、ナチュラルの支援を無償で行い、被災したコーディネーターでさえ区別せずに救いの手を差し伸べる。

その名を騙りテロ行為を行う者などブルーコスモスに助けられた民衆が許すはずもなかった。

 

(射撃音がほとんど聞こえない……遠距離狙撃か。

ここは既に包囲されているな。逆らっても無駄だな。

だが害意はない……ならば情報収集だな)

 

バルトフェルドはそう判断し、男とキラたちをバナディーヤで接収した自分の屋敷へ招待した。

 

――

 

「お、女の子?」

 

「てめえ!」

 

ドレスアップしたカガリを見たキラの第一声だった。

カルアが微笑む。

「まるで私と初めて会った頃の主のようですね?」というカルアの言葉に「いつまで覚えてるんだそんな事?」

と突っ込むものの「忘れるわけがありませんよ?」と返されてタイガは何も言い返せなかった。

バルトフェルドの出したコーヒーを飲むと、タイガは目を輝かせた。

 

「おお、これはブルマンとブラジルのブレンドか?

酸味を弱くするためにブラジルをもう少し減らした方がいいんじゃないか?」

 

「おお、わかってくれるか!しかしもう少し深みが欲しいんだ」

 

「コロンビアを加えるのはどうだ?」

 

「おお、それだ!試してみよう!」

 

意味不明なコーヒー談義でワイワイ盛り上がる当事者二人にキラは困惑するしかなかった。

 

「おい、いつまでやってるんだ!」

 

再起動を果たしたカガリがバルトフェルドに突っ込む。

 

「ああ、もっと心に余裕を持った方がいいよ?女の子らしい趣味のひとつでもないと男の子にもてないよ?」

 

「余計なお世話だ!」

 

唸り声をあげるカガリを無視してバルトフェルドはキラに問いかけた。

 

「コーディネーターの君が、なぜナチュラルに味方する?」

 

バルトフェルドはキラに問いかけた。

 

「君は何のために戦っている?

愛する者のためか?

正義のためか?

未来のためか?」

 

銃を構えてバルトフェルドはさらに言葉を続ける。

 

「この戦いをどう終わらせる?

敵を全て滅ぼすのか?

どちらかが滅びなくてはならんのかね?」

 

キラは答えられなかった。

その時、タイガが口を開いた。

戦場で戦う一兵卒にそんな事を聞いても無駄だろうと。

 

「兵士が戦うのは好き嫌いや自分の心情の為じゃない。

上官から命令されたからだ。

そこに意味や理由など存在しないし、してはならない。

兵士が戦う意味も、理由も、責任も、それは全てそれを命じた上官が負うものだ。

それ以外の理由があってはならない」

 

「叔父上……」

 

「この戦いの終わらせ方なら簡単だ。敵を全て滅ぼせばいい」

 

「叔父上!!」

 

「それが君の意見かい?」

 

「いいや。プラントの意見だ。

ナチュラルを滅ぼそうとしている相手に、手加減する必要や理由がどこにある?」

 

「・・・」

 

「NJか?あれを無差別に打ち込んで一億数千万もの犠牲者を出しておきながら

「ナチュラルを亡ぼす気はありません」なんて話を誰が信じる?」

 

「・・・」

 

「相手が話し合う気があるなら話し合う。殴ってくるなら殴り返す。

最後の一人になってでもこちらを殺そうとするならこちらも相応の対応をする。

当たり前の話だろう?

相手が自分達を滅ぼす気なら、逆に相手を滅ぼす事になっても当然だろう?」

 

「・・・」

 

「それとも君は「プラントがナチュラルを滅ぼすのは許されるが、ナチュラルがプラントを滅ぼす事は許されない」とでも主張するのかね?」

 

タイガの言葉に、バルトフェルドは沈黙した。

 

「カガリ、それとキラ君だったね?今日はもう帰りなさい」

 

「え?」

 

「叔父上!」

 

「俺はまだ話が残っているんでな」

 

「・・・そうだな。今日は話せて楽しかったよ。お嬢さん。奇妙なパイロット君」

 

二人が去った後、バルトフェルドはタイガに向き直った。

 

「さて、いったい何が目的なのか聞かせてもらえませんか?

タイガ・ウラ・アスハ様?」

 

「おや?ばれてたのか?」

 

「隠す気あったんですか?」

 

タイガは笑った。

 

「まあ、言ってみればスカウトだな」

 

「スカウト?」

 

「そう。アンドリュー・バルトフェルド。

君をオーブにスカウトしたい」

 

砂漠の街に、音のない衝撃が走った。

 

 

 

 

 

 

 

 






※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

バルトフェルドをスカウトするタイガの目的は?

バルトフェルドの選択は?

本作ではここから原作とは大きく乖離していく事になります。

次回お楽しみください。


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