転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
本話以降、原作とは大きく変わった展開になります。
どうぞお楽しみください。







第96話 ジェネシス

 

 

 

 

その後アーク・エンジェルはザフトの勢力圏を通り過ぎ紅海上へ抜けていた。

 

バルトフェルドの襲撃が無かったことをクルーは不思議がったがマリューはその理由を知っていた。

 

「バルトフェルドを寝返らせる?」

 

その言葉を聞いた時、マリューはそれをにわかに信じる事ができなかった。

 

――

 

キラとカガリと一緒についてきた美女はマリューに面会を求めると今後の予定を語りだした。

 

「まず、アーク・エンジェルにはこのままオーブを目指していただきます。

この艦はオーブ領海に侵入した国籍不明艦と判断され、我が軍が領海侵犯の結果撃沈したという形にします。

その後は改めて我が主とお話しください」

 

「ちょっと待ってくれアリサ!何の説明もなしにそれだけで!」

 

「詳しい説明が必要ですか?」

 

「ヒッ!要りません!ごめんなさい!言う通りにします!」

 

普段とかけ離れたカガリの様子にあっけにとられるアーク・エンジェルの面々だった。

 

「そのままオーブに入港できないのか?」というマリューの問いに

「この艦には船籍コードが登録されていませんので」

というアリサの言葉にあっけにとられた。

 

「そう言えばそうだったわねえ?」

「あんなことがあったからすっかり忘れていたなあ?」

「そんな余裕なかったですし」

 

第8艦隊に合流したら軍関係者の移送を行い、アラスカに向けて降下準備、直後に第8艦隊壊滅と、

とてもそんな事を確認する余裕はなかった。

しかも肝心の第8艦隊が壊滅状態なのだ。

登録先が存在しない。

 

「オーブで勝手に船籍コードを登録しますと、この艦はオーブ所属という事になってしまいますし」

 

「さすがにそれはなあ?」

 

苦労して建造してやっと地球まで持ってくることが出来たのに、それが勝手にオーブのものになるなど認められるはずがなかった。

 

「かといってそのまま入港させますと「オーブは国籍不明艦を入港させるのか!」と非難の口実にされる可能性がありますので」

 

「確かにそうね」

 

アリサの答えにマリューも納得する。

 

「従って「オーブ領海に侵入した国籍不明艦を撃沈した」という形にしますのでそれでお願いします」

 

しかし「ザフトの勢力圏を抜けないと無理だ」というマリューに「バルトフェルドは寝返らせますので心配ありません」とアリサは答えた。

 

「どうやって?」と疑問を浮かべるマリューに「問題ありません。このまま真っすぐ紅海へ出られます」とだけ伝えると、下船間際にカガリに「カガリ様?皆さんにご迷惑をかけてはいけませんよ?わかっていますね?」と念を押すのを忘れなかった。

 

それに対してカガリはコクコクと何度も頷く事しかできなかった。

 

そしてアリサの言葉通りアーク・エンジェルは何の妨害も受けずに紅海上へ出る事が出来た。

 

「ほんとに海の上に出られた」

 

「どうなっているんだろう?」

 

「ほんとにねえ?」

 

ヘリオポリス組は不思議がったが、休息中はバカンス気分でワイワイと騒いでいた。

 

――

 

その頃バルドフェルトはタイガとの会話を思い出していた。

 

「スカウト?」

 

「そう。アンドリュー・バルトフェルド。君をオーブにスカウトしたい」

 

バルトフェルドは相手をまじまじと見つめた。

 

相手は間違いなくオーブのタイガ・ウラ・アスハ。

 

オーブの虎と言われている男だ。

 

それは「砂漠の虎」という自分のように宣伝目的でつけられたものではなく、周囲から自然にそう呼ばれるようになったものだ。

 

その男が自分をスカウトしたいとは。

 

しかし・・・

 

「申し訳ありませんがそれは出来ませんね」

 

「おや?それはどうしてだい?」

 

「これでもプラントに忠誠を誓っている身でして。独立が果たされるまではプラントを離れるつもりはないのですよ」

 

「それではオーブがプラントの独立に協力すると言ったらどうするかね?」

 

バルトフェルドは再度タイガをまじまじと見つめた。

 

「本気ですか?」

 

「本気だとも」

 

今、反プラントの筆頭とでも呼べるオーブがプラントの独立に協力してくれるのならば成功したも同然!

 

ただあまりにも話がうますぎる。

 

何か裏があると判断すべきだろう。

 

少しでも判断材料が必要だ。

 

そう結論したバルトフェルドはタイガに話の続きを促す。

 

だがバルトフェルドはこの時タイガの話を聞いた事を後悔する事になる。

 

――

 

「プラントが滅ぶ?」

 

「実体は既に滅んでいる。まだ滅んでいないだけだ」

 

タイガに示されたプラントの公開している資料による残酷な未来。

 

プラント自身によってプラントには未来が存在しない、第三世代以降の人口が維持できないという事実が証明されていた。

 

「不老不死の人間など存在しない。人間は必ず老いて死ぬ。

出生率が改善しなければ人口は減っていく。当たり前の話だ。

独立してどうなる?

速やかに人口が減少していき、最後は「誰もいなくなった」という事になる。

これがプラントの未来だ」

 

否定したかった。

 

嘘だと言いたかった。

 

しかし数字は残酷な未来の到来を確実に示していた。

 

「それでは今の独立戦争は?」

 

「意味がない。戦争に勝とうが出生率が改善しなければプラントが無人になるのは変わらない。

それでも独立という虚空の夢に向かっているんだから、こちらとしては自分達だけで勝手にやれ!と言いたいね」

 

タイガは容赦なかった。

 

「それではオーブがプラントを独立させるというのは?」

 

「独立させるんじゃない。独立に協力するんだ。主体はあくまでもプラントだ」

 

「どういう事です?」

 

「独立、独立とうるさい連中は希望通り独立させてやる。

ただし独立したからには理事国によって免除されていた関税、流通、販売その他の優遇は全て撤廃される。

独立国家になったのであれば当然だな。

全部自分達でやってもらわねば。

さて、そうなってもプラントは今と同じ価格競争力を維持できるかな?」

 

「・・・」

 

バルトフェルドは何も言い返せなかった。

 

「そして独立前とは決定的な違いがある。競争相手の存在だ」

 

「競争相手?」

 

タイガから示されたのは「第2プラント建設計画」というものだった。

 

「プラントが経済的、技術的に優位だったのは唯一無二で競争相手が不在だったからだ。

しかしプラントが独立したのであれば理事国は代替が必要になる。

MSもあるしプラント独立の損失を埋める為に理事国も全力を出すだろうから2、3年で建設は完了するだろう。

そうなったプラントに価値があるかな?」

 

そう、代わりが出来ればプラントの存在意義などなくなる。

 

「つまりプラントが独立しても、技術的、経済的価値がなくなり、人口が減り続け、さらにナチュラルを蔑視し、

NJを散布して大量虐殺を引き起こすような連中に、積極的に関わろうと思うような人間がいるのかね?」

 

「では独立に協力するというのは・・・」

 

「独立という夢に酔っている連中を隔離する。

その後こちらは関与しない。

後はその夢を抱えたまま勝手に滅びろという事だ」

 

あまりにも冷たい、しかしあまりにも正しい論理にバルトフェルドは言葉を返す事が出来なかった。

 

「独立さえすればバラ色の未来が待っていると信じ込むのは自由だ。

だがこちらがそんな妄想に付き合ってやる義理はない。

死にたいなら自分達だけで死ね。他人を巻き込むな。

こちらが言いたいのはそういう事だ」

 

バルトフェルドは立ち上がるとタイガに銃を向けた。

 

「ここで私があなたを殺せばその話は実行できませんよ?」

 

護衛の女達は動かなかった。

 

「もうこの話はオーブ上層部では共有されている。

大西洋連邦にもアズラエルを通じて話は通してある。

今さら俺を殺した程度では止まらんよ」

 

「・・・この資料は相当前から作られていたようですね?いったいいつごろから?」

 

「プラントが開戦する前からだ」

 

バルトフェルドは銃を放り出すと天を仰いだ。

 

自分達が独立、独立と騒いでいる間に既にプラントの未来は決定されていたのだ。

 

それも手の打ちようがない段階まで。

 

ここで自分が抵抗しても何の意味もない。

 

「・・・オーブのスカウトを受けます」

 

バルトフェルドは絞り出すような声でタイガに答えた。

 

「そうか、それでは早速だが君にはこれに関して調べてほしい」

 

そう言ったタイガの手の資料には

 

「Gamma Emission by Nuclear Explosion Stimulate Inducing System

(「核爆発を使用したガンマ線レーザー砲」)

 

『G.E.N.E.S.I.S』

 

という文字が書かれていた。

 

 

 

 

 

 






※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

原作よりも早い段階でジェネシスの存在が明るみになります。

これにより本作は原作と大きく変わっていく事になります。

次回、再び「彼」の登場です。

次回お楽しみください。

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