転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
どうぞお楽しみください。





第98話 伝説との対峙

 

 

キラはこの申し出を喜んで受けた。

――というより、何かしていないと余計なことを考えてしまいそうで、落ち着かなかったのだ。

そして今は、別の意味で緊張していた。

オーブの伝説。

 

「わずか3分でジン12機を撃墜」

 

「オーブが公的に認めたニュータイプ」

 

「自分とは違う、本職の軍人」

 

どんな人物なのだろう?

様々な想像が頭を駆け巡る。

そして現れたのは――

まだ若い、赤毛の青年だった。

マリュー、ナタル、ムウは拍子抜けした。

伝説と呼ばれるほどのパイロットだから、もっと覇気に満ちた偉丈夫を想像していたのだ。

しかし目の前の青年は、物腰が柔らかく、人当たりも良く、笑顔を絶やさない。

どこにでもいる好青年。

こんな人物が、あれほどの戦果を挙げたとは到底思えなかった。

 

「君がヤマト少尉か? 自分はアムロ二尉だ。今日はよろしく頼む」

 

「は、はい!お願いします!」

 

「はは、そんなに緊張しなくてもいい。今日は君がどの程度できるかの確認だけだから。気楽にやってくれ」

 

「は、はい!お願いします!」

 

キラの緊張は解けないまま、模擬戦が始まった。

 

キラはコクピットで深呼吸した。

 

(大丈夫……僕だってここまで生き残ってきたんだ。

相手が“オーブの白い流星”でも、ある程度はできるはずだ……!)

 

キラは気付いていなかった。

自分が戦闘時、普段は疎ましく思っている“コーディネーターの能力”に依存していることを。

そして合図とともに模擬戦が開始された。

 

「え?」

 

わずか数分後――

キラは撃墜判定を受けていた。

 

「え~、あの子すごい! 二尉相手に5分以上保ったよ!」

 

「ああ、しかも一対一でだぜ! 大したもんだ!」

 

キラは理解できなかった。

自分は間違えていないはずだ。

攻撃は避けた。

次の攻撃も見えていた。

相手がどこに避けるかも予測できた。

自分の攻撃は当たっていたはずだ。

 

「も、もう一度お願いします!」

 

「ああ、いいよ」

 

その日、キラはアムロに5回挑み――全敗した。

最高記録は14分。

4回目までは10分が限界だった。

その日最後のアムロとの対戦で、アムロにビームライフルの銃口を向けられた時、

キラはその銃口がストライクではなく「自分に」向けられている事を直感した。

 

ドクン、ドクン、ドクン。

心臓の鼓動が耳につく。

呼吸が止まり、「自分に」向けられたビームライフルの銃口しか目に入らない。

時間が引き延ばされ、指一本動かすのにとてつもない時間がかかる。

ビームライフルの銃口に集まりだした光の束でさえはっきりと認識できる。

模擬戦で危険はないにもかかわらず、キラははっきりと「自分の死」を確信した。

 

次の瞬間、キラは自分の裡で「何かが弾けるような感覚」を感じた。

 

そしてアムロの操る“ガンダム”から放たれたビームライフルはストライクを捉える事はできなかった。

 

キラは混乱していた。

あの時自分はやられていたはずだ?

何故?

どうやって躱す事が出来た?

しかしそんな事は後だ!

今ならアムロ二尉に一撃を与える事が出来る!

 

そう確信してキラはアムロの操る“ガンダム”にストライクのビームライフルを向けた。

だが、キラがビームライフルを向けようとした時には、既にアムロの“ガンダム”の銃口はキラのストライクを捉えていた。

 

これによりアムロとの模擬戦でのキラの最高記録は14分。

スーパーコーディネーターのキラが“SEED”の力を解放しても15分の壁を破る事は出来なかった。

 

マリューたちは絶句した。

アムロが強いのは分かっていた。

だがキラも今や一流のパイロットと言っていいほどの技量を持っている。

多少は勝負になると思っていた。

しかし現実は――

大人と子供以上の差 だった。

 

「こりゃあ、ちょっととんでもないな……」

 

「まさかここまでとは……」

 

――

 

「ハア、ハア、ハア……」

 

荒い息をつき、水を貪るように飲むキラに、バーニーが声をかけた。

 

「いやー、君って大したもんだねえ! アムロ二尉相手に10分以上保つなんて!」

 

バーニーにとっては純粋な賞賛だった。

だがキラには皮肉にしか聞こえなかった。

 

「10分だなんて! そんなの何の自慢にもならないじゃないですか!」

 

キラは鬱憤を晴らすように叫んだ。

バーニーとクリスは顔を見合わせる。

 

「あのなあ、今オーブ軍でアムロ二尉を相手にして10分以上持ちこたえたやつはいないんだよ?」

 

「逃げ回るだけならできる人もいるけど、模擬戦で10分以上持った人なんていないわよ?」

 

「え?」

 

現役の軍人でも“逃げ回る”しかできない?

どんな超人なのか。

 

「アムロ二尉って……コーディネーターなんですか?」

 

「いや? 普通のナチュラルだよ?」

 

「ナチュラルなのにそんな……」

 

「まあ、何と言ってもアムロ二尉はオーブが公式に認めた“ニュータイプ”だからな」

 

「ニュータイプ……」

 

今、世界中がニュータイプに熱狂している理由が、

キラには痛いほど理解できた。

 

「よかったら次は俺たちとやってみないか?」

 

「いいんですか? ぜひお願いします!」

 

バーニーとクリスとの模擬戦では――

一対一では惜敗と辛勝を繰り返し、二対一では全敗した。

 

(コーディネーターの力?

そんなもの、アムロ二尉相手には何の役にも立たない……

それどころか、バーナード三尉やクリスティーナ三尉にもまともに勝てない……

この程度の力を持ってるからって、僕は何を思い上がっていたんだ……?)

 

キラが初めて、自分の“コーディネーターとしての能力”と正面から向き合った瞬間だった。

 

 

 





※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

スーパーコーディネーターのキラが“SEED”を解放しても、
アムロの“29フレーム目の入力”には及びませんでした。
“コーディネーターとしての能力”は“ニュータイプ”の前では意味がありません。
この認識がキラを大きく変えていく事になります。

次回お楽しみください
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