転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
「砂漠の虎」アンドリュー・バルトフェルドが負傷した。
戦線視察中、乗っていた車が崖から転落し、その下敷きになったのだ。
一時は命さえ危ぶまれたが、なんとか一命を取りとめ、プラントで治療を受けることになった。
プラントへの帰還前、彼は副官に異常な命令を残した。
「絶対に無理はするな」
「攻勢命令が出ても無視しろ」
「最悪、そのまま全員捕虜になれ」
常軌を逸した命令だった。
だが、去り際にバルトフェルドが言い残した一言――
「プラントは負ける」
その確信に満ちた言葉に、副官はなぜか反論できなかった。
――
「「「「「「“青き清浄な世界のために”!!」」」」」」
本部に響くシュプレヒコール。
アズラエルは各国支部長を集め、会議を開いていた。
「さて、一段落したところで各国の状況を報告しなさい」
「は!現在判明している時点で、Nジャマーによる犠牲者は約1億6千万。
最終的には1億8千万に到達する見込みです」
「1億8千万、ですか……」
とてつもない数字だ。
だが、もしタイガがその場にいたら
「1億8千万?たったそれだけで済んだのかよ!」
と叫んで周囲から徹底的な非難を浴びたであろう。
本来なら犠牲者は10億を突破していたのだ。
それを5分の1以下に抑え込んだアズラエルの手腕は、称賛されて当然だった。
「我々ブルーコスモスへの支持は熱狂的です。
今ではどこへ行っても歓迎される状況になっています」
支部長は誇らしげだった。
無理もない。
つい1年前までブルーコスモスは“テロ組織”の代名詞だった。
それが今では英雄扱いなのだ。
そしてそれを成し遂げたのは、目の前の盟主――アズラエル。
支部長たちの信頼は絶大だった。
「ふーん?特に問題はないようですね。
では継続して各地への支援と物資供給を続けなさい。
くれぐれも“痛くもない腹”を探られないように。
私たちは“善意で”人助けをしているのですからね?」
アズラエルの言う“善意”の裏側を理解している支部長たちは苦笑した。
「これで、おそらく私たちが何を言っても受け入れられる下地はできました。
それこそ――“連中の巣を核の炎で焼き払うことでも”ね?」
支部長たちは頷く。
「しかし、まだ完全ではありません。
なにより現状では核が使用できません」
その言葉に、支部長たちは苦い顔をした。
(核さえ使えれば、連中の巣を焼き尽くせるのに……)
そう考える者は多かった。
「まずは核を使用可能にする研究に注力しなさい。
同時に、核が使えない場合の計画も必要です」
「盟主?それはいったい?」
アズラエルの目が細くなる。
「地球にはまだ、連中に協力する“宇宙人の仲間”がいます。
NJを落とされ、ナチュラルに迫害され、
我々ブルーコスモスに助けられていながら――
それでも空の上の宇宙人に協力する連中が!」
「確かにそうですな」
「恩知らずな連中ですな」
それは、独立を夢見るコーディネーターたちだった。
どんな苦境にも耐え、どんな屈辱にも耐え、
自分の身がどうなろうと“独立”のために全力を尽くす。
美しい行為だ。
感動的な行為だ。
それが他者の血と命を対価にしたものでなければ。
「だから連中をひとまとめにする“餌”が必要です!」
「餌……ですか?」
アズラエルは笑った。
「そう。我々ブルーコスモスは――
プラントの独立を支援します!」
「「「「「「!!!」」」」」」
その場に、声にならない衝撃が走った。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回、アズラエルの言葉の「真意」が語られます。
次回お楽しみください。