転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
「キラをプラントの支配者に?」
「そんなの、この子には無理です!」
「どういうことですか?」
ヤマト家の疑問に答えるため、タイガは静かに口を開いた。
「まずはこれを見てくれ」
提示されたのは、プラント自身が開示している“将来の人口減少による未来予測”だった。
「これは……!」
「……」
「え?」
ヤマト家の面々は、記録が示す“絶望的な未来”に息を呑んだ。
「プラントには未来がない。今独立しても、将来的に行き詰まるのは間違いない」
「じ、じゃあ独立運動というのは……」
「無意味な幻だ」
「!」
キラの脳裏に、独立を信じるアスランの姿が浮かんだ。
「プラントには未来がない。
だが、それまでに余計なことをしでかす可能性は大きい。
そこで、連中にそんな余力が残らないようにしたい」
「そこでキラがどう関係するのでしょうか?」
「プラントの敗戦後、キラ君を評議会議長に据えたい。
そして“プラント自身の政策”を実行してもらう」
「実行……ですか?」
タイガはキラに視線を向けた。
「キラ君。君は自分が政治に向いていると思うかい?」
「い、いえそんな!政治なんて全然わかりません!」
「だろうな。だからこそ、君には“今のプラントの政策を厳格化”してもらいたい」
「厳格化……?」
「これは既にプラントが実行している。
仕事の評価、提案、報告――すべて遺伝子の優劣で判断されている」
「なっ!」
「同じ仕事でも、遺伝子が優秀な者の方が評価される。
優れた提案でも、遺伝子が優秀な方が採用される。
報告も、遺伝子が優秀な者が信用される」
「そんな……」
「もちろん表立ってではない。
しかし裁判でも遺伝子が優秀な者の言うことが優先される。
評議会議員ともなれば、ほぼ法に縛られない。
“優秀な遺伝子”の言葉は無条件で受け入れられるからだ」
「プラントがそんなことになっているなんて……」
タイガは続けた。
「逆に言えば、優秀な遺伝子を持つ者には誰も逆らえない。
キラ君、君はスーパーコーディネーターだ。
遺伝子を基準にするなら、プラントで君の上に立つ者はいない」
「ま、待ってください!
僕程度のコーディネーターなら他にもいるはずです!
その人たちが出てきたら無意味ですよ?」
そんなキラの言葉を否定したのは父のハルマだった。
「それはあり得ない」
ハルマが口を開いた。
「キラ、お前のスーパーコーディネートは他とは隔絶しているんだ」
「え?」
ハルマの説明は簡潔だった。
• コーディネイトには莫大なコストがかかる
• キラを超えるには“国家予算レベル”の投資が必要
• 個人では不可能
• 国家でも採算が取れないため実行されない
キラは納得するしかなかった。
「つまり君には、破綻を前提に“プラントの政策をそのまま実行”してもらいたい」
「破綻を……?」
「そうだ。
スーパーコーディネーターの君が“理想通りの政策”を実行すれば、
プラントの連中は不満があっても否定できない」
「つまり……?」
「連中自身に“遺伝子優先主義が間違っている”と自覚させるのが目的だ。
我々は、この戦争が終わったらプラントを独立させるつもりだ」
「え?」
「!!」
「!?」
「独立した以上、他国に頼らず自分たちで全て実行してもらう。
だが連中は必ず“遺伝子的に優れている者は劣っている者に何をしてもいい”と主張し、
他国にもそれを強要しようとするだろう」
「それは……」
「あり得ないと思うかね?」
キラは否定できなかった。
サイに対して自分がしたことを思い出し、胸が痛んだ。
それが国家レベルに拡大すればどのような事になるか目に見えていた。
「だからこそ、君に“遺伝子優先主義の無意味さ”を実践してほしい。
遺伝子的に優秀な者が正しいというなら、
スーパーコーディネーターの君の言葉はすべて正しいことになる」
「そんな無茶な!」
キラは震えた。
自分の言葉が“遺伝子が優秀だから”という理由だけで受け入れられる世界。
それは恐怖でしかなかった。
「でも・・・」
キラにはなかなか踏ん切りがつかなかった。
しかし次にタイガから放たれた言葉にそんな事を考える余裕はなくなった。
「全てが終わったらオーブで保護する。
結果が出るのに数年はかかるだろうが、長くはない。
何だったら――アルスターのお嬢さんと暮らせるように取り計らってもいいぞ?」
「なっ!」
フレイの名前が出た瞬間、キラの顔は真っ赤になった。
「キラ?お前……?」
「あらあら?」
「ち、ちがう!いや、違わないけど、えーと……」
「今度連れてきなさい」
「会ってみたいわ〜」
「あう、あう……」
(さて、うまくいけばいいがな)
ヤマト家の喧騒を眺めながら、
タイガは遠くない未来に思いを馳せた。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。