転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
「アスラ~~~ン!!!」
「キラ~~~!!」
かつての親友同士が殺し合う。
奇しくも両者が分かれた際の誓いを“最悪の形”で言葉通りに実行しながら。
(トール、トール、ト~~~ル!!!)
(ニコル、ニコル、ニコル!!!)
二人は互いに同じ事を思っていた。
(僕がためらったからトールが死んだ!僕がアスランを撃つのをためらったから!)
キラのコーディネーターとしての優れた視力は、アスランによって撃墜されたスカイグラスパーのコクピットから、
血に染まったヘルメットが弾き出されたのをはっきりと目撃していた。
(ニコルがこいつにやられた!
こいつは誰だ!
キラだ!
俺の親友だ!
俺がためらったりしなければ!)
アスランの脳裏には出撃前にニコルが「お守りです」と言って首にチョーカーを巻き付けていた光景が蘇っていた。
(数時間前までは一緒に笑っていたニコルが!こいつに!)
アスランはニコルのブリッツのコクピットがストライクのシュベルトゲベールに切り裂かれる瞬間を目撃していた。
(アスラン!!)
(キラ!!)
((君を)(お前を)殺す!!)
怒りに身を焦がしながらそれでもアスランは冷静だった。
(機体はフェイズダウンして武装も使用できない!
では目の前のこいつを仕留める方法はないのか?
いや!ある!)
アスランはイージスを変形させストライクに組み付かせると関節をロックし、テンキーで「2887」と打ち込むとコクピットから飛び降りた。
アスランは幸運だった。
イージスが組み付いても突進してきたストライクは止まらず距離が離れた事。
飛び降りた先が砂場で負傷しなかった事。
傍に岩場がありすぐに隠れる事が出来て爆風に巻き込まれなかった事。
これらが無ければアスランはイージスの自爆に巻き込まれていたであろう。
それらを認識する間もなくアスランが岩場に身を隠した瞬間、その場を揺るがす轟音が響いた。
(やった・・・)
爆散したイージス。
それと黒焦げになったストライク。
それらを見ながらアスランの胸には何の感慨もわいてこなかった。
その目が半壊して倒れ伏すブリッツを捉えた時、アスランははっと目を見開いた。
(そうだ!ニコル!)
アスランはニコルの乗るブリッツに駆け寄った。
「ニコル!」
コクピットをこじ開けるとそこには体の半分が炭化し、腹部を切り裂かれて虚空を見つめるニコルの姿があった。
「ニコル!」
どうみても死んでいる。
それが理解できる。
しかしアスランはそれを認める事が出来ず、震える手でニコルの肩に触れた。
「ニコル・・・」
その時ニコルの手がピクリと震えた。
「!!!ニコル生きてるのかしっかりしろ!」
それはただの生体反射だったのだろう。
しかしそれを認める事の出来ないアスランはニコルの体に必死で応急措置を施し始めた。
それはカガリ率いるオーブ軍が到着し、アスランを捕虜とするまで続けられた。
トールは生きていた。
ま・だ・生きていた。
墜落したスカイグラスパーが原形をとどめていたのは奇跡だろう。
しかしその中でパイロットのトールの命の炎は消えかかっていた。
(ああ、失敗しちゃったなあ。キラの奴、気にしなきゃいいけど)
そんな時でも彼が気にするのは友の事だった。
彼の左半身は押しつぶされ、左手はちぎれ飛び、ヘルメットが吹き飛んだ時に左目は潰れていた。
(え、と、こんな時はどうしたらいいんだっけ?確かレスキューキットというやつで・・・)
薄れ行く意識の中で彼は繰り返し叩き込まれた動作を右腕だけで実行しようとしていた。
もはや苦痛も感じないのであろう。
緩慢な動きでキットの中の薬剤を確認もせずに無痛注射器で首筋に撃ち込んだ。
(ああ、やっぱりだめかあ)
限界が来たのか意識が遠くなっていく。
(ごめんキラ、役に立たなくて。ごめん皆)
脳裏に浮かぶのは共に過ごした友人たちの姿。
(ごめんミリィ)
脳裏に映った愛しい人への言葉を最後にトール・ケーニヒの意識は消えた。
オーブ軍によってアスランや彼が回収されるのはこのしばらく後の事であった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回、アーク・エンジェル側の描写になります。
次回お楽しみください。