転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
本話には今後の展開に関わる設定・伏線が含まれています。
独自設定・原作改変が多めですのでご注意ください。
作中において一部不快な表現等がございますが、創作上の話としてご理解いただければと思います。
第8話 帰国2
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「いや〜〜〜! オーブって良いところだねえ〜〜〜!」
顔中にキスマークを貼り付けたアズラエルがヘラヘラとだらしない笑みを浮かべる。
「全く、少しは自重しろ」
明日は就任式という事で気を引き締めている一流ホテルのフロントで、若い男女の集団がキャアキャアと奇声を上げて騒いでいるのだ。
周囲から奇異な目で見られるのは仕方がない。
しかも明日就任する代表の弟と世界的大財閥の後継者が当事者なのだ。
奇異な目が白い目に変わるのも時間の問題だったので、タイガは騒ぎをさっさと片付けさせた。
「いや〜、オーブに来て良かったなあ〜」
タイガはヘラヘラと締まりのない顔で笑うアズラエルに無性に腹が立ち、「一発殴ってやろうか?」と思ったが、さすがに自重した。
「それで明日はどうするのさ?」
「どうもこうも無い。就任式の準備であちこちと話し合い、式が終わってしばらく滞在したらそのまま戻るぞ」
「え〜、つまんないなあ〜」
「勝手に着いてきて何を抜かしているんだ?」
やっぱり一発殴ってやろうかと思ったタイガだった。
――
「タイガ様」
その時タイガの周囲の美女の一人が声をかける。
「ん?」
「ウズミ様からご伝言です」
「ん。わかった今行く」
この後タイガはもう一つの「運命」に出会う事になる
――
「それで君は誰が良いと想う?」
翌日の朝食の席でアズラエルがいきなり話し出す。
「何の話だ?」
「ほらほら、昨日から僕らのお世話をしてくれている人達さ? 誰が良いと思う?」
「そうだなあ?」
そう言えば前にもこんな話をしたなあ、とタイガはアズラエルの屋敷に初めて招待された時の古い記憶を呼び覚ます。
「そうだなあ、特に誰というのは無いが・・・」
「無いが?」
「やっぱり胸が大きくてスタイルの良い美人がいいな」
「ああ、前もそんな事言っていたねえ」
「それに化粧が濃い派手な女はちょっと無理だな。キツイ香水の、あまり年齢が年上なのもなあ」
ビシリッ。
アズラエルにはまるで空間に亀裂が入ったような感覚がして周囲を見渡した。
「え? え? え?」
周囲の女性達は皆ニコニコと笑っている。
しかしアズラエルの背中には何故か冷や汗が止まらなかった。
「それにどうせなら処女でないとな。経験済みの女なんかどんな病気を持っているか分かったもんじゃない」
ビシッ!
今度は間違いなく物理的に空気が凍ったようにアズラエルは感じた。
「そ、そうかい、別にそんな事気にしなくても良いと思うけど」
誰に対してのものか理解出来ないまま、必死でアズラエルはフォローしようとした。
「いや? 仮にもオーブ首長家の男と付き合おうと言うんだ。女にもそれなりの覚悟をしてもらわないとな」
周囲の女性達は相変わらずニコニコと微笑んでいるが、アズラエルにはまるでこの部屋が肉食獣の腹の中にいるかのように感じられていた。
そんな様子をまるで気にする事もなく、タイガは言葉を続けた。
「まあ、恋愛と結婚は別だし、手を出したらずっと一緒にいる事になるんだから、せめて気の合う女が良いな」
「え? 一度手を出した女の子とずっと一緒にいるつもりなの? さっさと別れれば良いじゃないの?」
「何を言っている? 一度手を出したら最後まで責任を取るのが当然だろう? そんな覚悟も無いのに女に手を出せるわけがないだろう?」
まあ、相手が嫌だと言えば別だがとタイガの言葉は続いた。
そんな古い考え方なんか今時流行らない、というアズラエルの言葉に、流行りの問題じゃない、オーブ首長家の問題だと返すタイガだった。
そのまま二人がワイワイと騒ぐ部屋の空気は、いつの間にか優しい雰囲気を醸し出すように変わっていた。
――
就任式は無事に終了した。
その後しばらくすると、滞在中にタイガをもてなす美女の顔ぶれが変わった。
色香を放つ美女から同年代の少女達へ。
そしてその少女達は最初からタイガに好意的だった。
(あれ? おかしいぞ? 俺は巨乳美人の処女厨で年増には興味がないと性癖を暴露したのだから女に嫌われるはずだったのに? 何でこうなるんだ?)
タイガの発言には理由があった。
ウズミの代表就任が近づくと、他の有力首長家から見合いの話が山のように届くようになった。
郵便受けは見合い話の書類で埋まり、1日に何度も、何冊もの釣書が送られてくる。
あまりにも多すぎて郵便局から苦情が来て、普段の生活にも差し障りが出る程だった。
その時には既に普段の言動から、タイガが年上の巨乳好きという噂がオーブに流れていた。
否定したくてもオーブは留学先から遠く、言葉が届くとは思えない。
そこであの場を利用して自分の女性の好みを広めれば、見合い話も減るだろうという考えだった。
確かに見合い話は減った。
「年上の女性との見合い話」は。
逆に同年代の少女達にとってタイガは、
・一度でも手を出せばずっと面倒を見てくれる責任感
・幼い頃から神童と噂される才能
・自国の代表の弟という最高の身分
これを断る女はいない。
何より転生者であるタイガにとって問題と認識していたのは「女」であって「女の子」ではなかった事も拍車をかけていた。
こうしてタイガはオーブ滞在中に「女の子」の強烈なアプローチに晒される事になった。
――
ある少女の場合。
「タイガ様ですか? 素晴らしい方ですね!
あの方のお立場なら幼女から人妻まで自由自在に手を出せて、誰にも文句を言われたりしないのに、手を出した方の面倒を一生見る覚悟をされている、なんてまさに女にとって理想の男性です!」
あのお?
もっと顔とか、身なりとか、性格とか、生活力とかは?
「??? 顔も別段酷い醜男というわけでもないし、あの方ならどんな身なりでも出来ますよね?
性格も日常的に女性に暴力を振るうわけでもないし、身の周りの世話をしてくれる人が常に側にいるのに、あの方に生活力なんて必要ですか?」
財産とか名誉とか地位とかは?
「オーブ首長国の代表の家に財産が無いとでもおっしゃるのですか?
オーブ首長国の代表の弟や“オーブの神童”という異名以上の名誉とか地位があるんですかね?
私達も氏族の娘ですけど、タイガ様に直接お会い出来るのは公式の場では数えるほどしかありません。
でもタイガ様のお目に止まれば、オーブ代表首長の者として、女としてこの国の最高の地位に立つ事が出来るんですよ?
いわばタイガ様は私達の目の前に現れた白馬の王子様です!
これを逃すのは女じゃありません!」
あのお、将来的にものすごい美男子とか、ものすごい資産家とか、本当に愛する人が現れる可能性もあるのでは?
「??? それって目の前の王子様を逃す理由になります?
ものすごい美男子の人はタイガ様より身分が高いのですかね?
資産家の人は首長国の代表よりも財産が多いのでしょうか?
本当に愛する人って今どこにいるんです?
私達にとってはそんな事より今目の前にいるタイガ様の方が何倍も大事です!」
これがタイガの周囲の少女達の概ねの想いだった。(表向きは)
――
肝心のタイガの内心はというと、
「将来下手をすれば俺は兄上に対してクーデターを起こす事になる。
俺に関わっていれば彼女達の家も連座して滅ぼされかねない。
そんな事に彼女達を巻き込む事は出来ない。その為にも彼女達に手を出すわけにはいかない!」
誠実な性根である。
しかし心の底では、
「巨乳好きの処女厨と噂が立っても噂なんか気にしない女がひとりぐらいいるだろう。
そうなればグヘヘ〜〜〜」
品性は下劣である。
しかしそんなものは外見からはわからない。
しかもタイガの立場であれば女性の意思など無視して好き勝手に振る舞う事が出来るのだ。
オーブの歴史でもそのような人物は珍しくなかった。
それなのに別の意図があるとしても「一度手を出したら最後まで責任を取る」と公言しているのだ。
少女達の好感度が下がるはずもなかった。
結局、タイガの周囲から色香を漂わせる美女の姿は消える事になった。
――
「どうしたんだ! オーブの美女達よ! 帰って来てくれ〜〜〜!」
「お前がさっさと帰れ」
オーブにアズラエルの虚しい叫びが響き渡った。
お待たせいたしました。
タイガが出会った運命とは?
そしてタイガは少女達から逃げる事が出来るのか?
無理なんじゃないかなあ?(邪悪なほほえみw)
次回、本作における最大の超弩級インパクトヒロインの衝撃がタイガを襲います。
お楽しみください。