転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物、設定が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。





第112話 ミラージュコロイド

 

 

 

地球で負傷したバルトフェルドは、

「治療のための入院」という偽装を最大限に利用し、プラント内部での情報収集を開始した。

ジェネシスそのものの存在は確認できなかったが、

「ヤキン・ドゥーエ周辺に何かがある」

という噂は兵士たちの会話から簡単に拾えた。

問題は――

その噂を裏付けるための“手”が足りないことだった。

そこでバルトフェルドは、頼りになる副官を呼び寄せた。

 

「隊長! お元気そうで何よりです!」

 

副官ダコスタは、堂々と「入院は偽装でしかない事」を間接的に公言し、上司に似合わない綺麗な敬礼を決めた。

 

「うむ。よく来てくれた。早速だが、他の連中は連れてきているかね?」

 

「はっ! 主要メンバーは全員連れてきています!」

 

「よし。ではまず、プラントの現状を把握してもらいたい」

 

「プラントの現状……でありますか?」

 

「ああ、これだ」

 

渡された資料を読み進めるうちに、ダコスタの顔色はみるみる悪くなっていった。

 

「た、隊長? これは……?」

 

「ある筋から手に入れたデータだ。

信じられないなら自分で確認してみるといい。

今までの考え方が180度変わるぞ?」

 

「……」

 

「独立しても意味がない。

本当に独立すれば、経済的に周囲から袋叩きだ。

しかも独立のためには戦力を宇宙に上げる必要がある。

その時、殿で残されるのは――

上層部の受けが悪い我々だ。

評議会のお気に入りのために必死で戦った挙句、まとめて焼き払われて終わりだ」

 

「……」

 

「独立に意味があるならともかく、無意味な独立のために君たちを死なせるわけにはいかん」

 

「隊長!!」

 

「本来なら亡命か投降だが、我々の部隊規模ではそれも難しい。

だから本国決戦に合わせて情報を手土産に投降し、保護を求める。これが現実的だ」

 

「隊長……」

 

「そこで各人には個別に情報収集を頼みたい。

無理をして怪しまれては意味がない。

できる範囲で構わん。他国への伝手は私が用意する」

 

「はっ!」

 

「絶対に独立したいのなら止めないぞ?」

 

「あれを見てそんな事が言えるのは、自分の頭で考えないバカだけです。

私は犬死はごめんです」

 

「もっともだ。では頼むぞ?」

 

「はっ! お任せください!」

 

こうしてバルトフェルドは、“居ながらにして情報を収集できる体制”を整えた。

強硬派・穏健派の動向を調べ、誰がどの立場なのかを整理していく。

その中で、ある情報に目が止まった。

 

(ヤキン・ドゥーエのこの区画……船外作業が異様に多い。

書類上の申請内容と実作業が矛盾している。

他の区画は矛盾がない。

噂の位置にも該当する。怪しいな)

 

調べると、その宙域は民間人立ち入り禁止。

特別許可がなければ近づけない。

現場を見に行ったバルトフェルドは首をひねった。

 

(警戒は厳しいが……レーダーにも反応しない。

何かあるようには見えない。文字通り“何もない”)

 

無駄足だったかと、病院へ戻る途中、港湾労働者の会話が耳に入った。

 

「いやー、あれはおっかなかったなあ〜」

 

「あれはお前が悪い。立ち入り禁止区域に入るなんて、

今ピリピリしてるんだから射殺されても文句言えんぞ?」

 

「でもしょうがないだろ?

何もないと思って手を伸ばしたら、いきなり壁が出てきたんだぞ?

あんなの分かるかよ!」

 

「厳重注意だけで済んだんだからありがたいと思え」

 

労働者たちは去っていった。

バルトフェルドは硬直していた。

 

(何もない所から壁が出てきた……?

そこまで隠蔽できるステルス……ミラージュコロイド!

立ち入り禁止区域でそれを使う理由は……?

間違いない、そこだ!)

 

本体を隠せても、作業ポッドのバーニアの軌跡までは隠せない。

バルトフェルドは隠し撮りした映像を解析し、時間ごとのバーニア軌跡を合成。

――ジェネシスの大まかな外形を割り出した。

さらに、作業に従事しているのは評議会直属の工作隊だった。

バルトフェルドは、工作隊がジェネシス建造に従事した期間と、

その穴を埋めた部隊の規模を比較した。

 

(評議会の工作隊が抜ければ、その穴は他の部隊が埋める。

穴を埋めた部隊の規模が分かれば、どれほどの工作隊が動員されているか推測できるはずだ)

 

結果はすぐに出た。

評議会直属の工作隊はほぼ全てがジェネシス建造に動員され、

穴を埋めるための他部隊の動員は既に限界近かった。

 

(部隊動員のコストを考えると、ジン100機や200機というレベルではない。

それだけのコストを費やす価値があるということか……

ダミーにしては警戒が厳重すぎる。

試作機にしてはコストがかかり過ぎている。

パナマを攻略しようというこの時期に、余分な事に多大な時間とコストをかける余裕はプラントにはない。

ほぼ確定だな)

 

さらにヤキン・ドゥーエ内部で制御室を発見し、データのコピーにも成功。

 

(あとは逃げるだけだが……)

 

さすがに警戒が厳しくなり、強行突破も視野に入れ始めたその時――

「何かお困りですか?」

後ろから声がかけられた。

振り向くと、プラントの歌姫が微笑んでいた。

 

「お仕事は終わったようですね?

できましたら、あなたには地球にいるキラへのメッセンジャーになっていただきたいのです。

お願いできますか?

“砂漠の虎”さん?」

 

この少女は、自分の目的も正体も、

すべて見透かしているらしい。

 

「それは構いませんが……私にどんなメリットが?」

 

「ここから脱出する手段を提供できますよ?」

 

「!!」

 

バルトフェルドがラクスから

フリーダムを託されたのは、この直後のことだった。

 

 

 






※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

次回お楽しみください。

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