転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
どうぞお楽しみください。
プラントと開戦してから数ヶ月後、オーブは世界中に向けて声明を発表した。
それは――
“現在NJで使用不可能になった核を、オーブが処分する”というものだった。
核は所有しているだけでは意味がない。
使用可能な状態を維持するためには莫大なメンテナンス費用が必要だ。
西暦時代、核保有国のほとんどが超大国だった理由の一つでもある。
しかし今、世界中の核はNJによって“使えない”。
使えないのに維持費だけはかかる。
各国は頭を悩ませていた。
そんな時にオーブの声明である。
アメノミハシラに運び、深宇宙へ投棄する――。
多少の不審はあったが、役立たずの核を抱え続けるよりはマシだった。
各国はオーブに核処分を依頼した。
――
アメノミハシラに収容された核が100を超えた頃、オーブは第二の声明を発表した。
- 核の投棄作業の人員はコーディネーターのみ
- プラント周辺では投棄作業を行わない
- 国策としてNJCの開発に全力を尽くす
世界は驚愕した。
NJCが開発されれば、アメノミハシラに集められた核が“使用可能”になる。
世界中のメディアを集めた会見での、
「プラントを核攻撃するつもりなのか?」
という質問に対し、タイガ・ウラ・アスハはこう答えた。
「プラント周辺では投棄作業を行わない。それにNJCの開発は単なるオーブの国策であり、アメノミハシラとは関係がない」
誰が聞いても詭弁だった。
親プラント国のコーディネーター記者が声を荒げた。
「ナチュラルが核を管理するなど、コーディネーターを危険に晒す行為だ!」
ナチュラルへの偏見と、コーディネーターの傲慢が滲み出た発言だった。
タイガは静かに返した。
「核の投棄を行っているのは、君と同じコーディネーターだ。何が不満なのかね?」
記者は言葉に詰まった。
腰を下ろそうとしたその瞬間、タイガはさらりと爆弾を投げた。
「まあ、彼らは全て“NJで被災したコーディネーター”だからね。
得た職を守るために職務に邁進してくれるだろう」
記者の顔から血の気が引いた。
NJで家族を失ったコーディネーターが核のボタンを握ったら――
どうなるか。
考えるまでもない。
「そんな事は認められない!」と叫ぶ記者に、タイガは冷たく言い放った。
「君の主張通り、核を管理しているのは“君と同じコーディネーター”だ。何が不満なのかね?」
そして追撃。
「これはオーブの国内問題だ。私はオーブの方針を発表しているだけで、他国の意見を聞いているのではない。
まして他国の“民間人”の言う事を聞く必要があるのかね?黙って話を聞いていなさい」
揶揄された記者は顔を真っ赤にした。
しかし、次の言葉で青ざめた。
「オーブがたとえ一発だろうと核を誤爆する事はあり得ない。
核を“処理”する場合は、所有する全ての核を使用するであろう。
それは投棄に関わる人員全てに徹底している。
仮に核が使用されるとすれば、それは全てこの私、
“タイガ・ウラ・アスハの命令によるものである”
とここに宣言する」
それは――
“プラントに対する全面核攻撃の宣言”に等しかった。
「そ、そんな事が許されると思っているのですか!」
記者の絶叫に、タイガは冷たく返した。
「現状、核は使用できないではないか。私は単に“現在の核の処分方法”について説明しているだけだ。
誰の許しを得る必要があるのだね?」
現状では核は使えない。
タイガの言っている事は“事実”だった。
しかし――
将来的にNJCが開発されたら?
アメノミハシラの核がプラントに向けられない保証は?
投棄作業のコーディネーターが憎しみに駆られたら?
世界は震えた。
最後にタイガは静かに締めくくった。
「この宇宙に平和が訪れん事を。以上だ」
――
「オーブの狂虎」
この声明によって、プラントで呼ばれるようになったタイガの新たな異名だった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。