転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
キラとフレイはヤマト家で暮らしていた。
ただし保安上の問題から、ヤマト家はタイガが用意した場所へ引っ越し、目立たないように、しかし厳重な警戒の下で生活していた。
フレイは平穏をかみしめていた。
自分はもう失ってしまったと思っていた“家族の姿”が、今は目の前にある。
その中に自分が入っていいのだろうか?
キラを復讐の道具にしようとし、そうとしか思っていなかった自分が。
そう思っていると、キラが肩を抱いて微笑んでくれた。
もう二度と抱きしめる事が出来ないと思っていたぬくもりを手にしたフレイは、自分も同じように微笑んでいる事に気付かなかった。
そんなある日、キラは信じられない事を口にした。
「ねえ、トールに会いに行く?」
フレイはその言葉の意味が理解できず、茫然となった。
――
ミリアリアはオーブで家族と暮らしていた。
しかし一日中部屋にこもり、何をするでもなく無為な日々を過ごしていた。
カーテンを閉め切り、暗い部屋で虚空を見つめる姿は痛々しかった。
家族も、トールが戦死――正確にはMIA――した事を知っており、
ミリアリアに声をかける事ができなかった。
そんなある日、父がノックもせず部屋に飛び込んできた。
「ミリィ! トール君が見つかった!」
最初、ミリアリアには父の言葉が理解できなかった。
遺体が見つかったという事だろうか?
でも、遺体でもいい。もう一度会えるなら――。
「トール君はオーブの軍病院に収容されている! 面会できるそうだ!」
面会?
遺体に面会?
病院?
戦死者の遺体を病院に?
「……まさか!?」
「トール君は生きている! 生きているそうだ!」
――
ミリアリアは走っていた。
病院の廊下を全力で走っていた。
看護師の注意も耳に入らない。
病室番号を確認すると、勢いよく扉を開けた。
「トール!!!」
ベッドにはトールが眠っていた。
左腕と左足はなく、左目と左半身には厚い包帯。
しかし――確かに生きていた。
「トール……」
ミリアリアはトールの右腕を抱きしめた。
トクトクと鼓動が伝わってくる。
その瞬間、安堵の涙が溢れた。
(生きてる……トールが生きてる……!もう二度と会えないと思ったのに……!)
トールの手を胸に抱きしめたままミリアリアはいつまでも涙を流し続けた。
ガチャリ。
時間を忘れたまま、トールの手を抱きしめていたミリアリアの耳にドアが開く音が入ってきた。
「ミリィ?」
「あれ? フレイ?」
入ってきたのはフレイだった。
フレイを見たミリアリアが感じたのは罪悪感だった。
(トールは生きていたのに……キラは……。
でも、なんだか機嫌がいいみたい……新しい出会いでもあったのかしら?)
カレッジのアイドルだったフレイなら簡単だろう。
胸に納得できない思いが浮かび上がるが、他人の事情に口をはさむべきではないだろう。
そう思い、声をかけようとしたその時――
ガチャリ。
それは再び開いたドアの音によって遮られた。
「フレイ! おまたせ!」
入ってきた人物を見て、ミリアリアは再び衝撃を受けた。
「キ、キラ? 生きていたの?」
「え? ああ、そうか。タイガ様から一応“他言無用”って言われてたから。でも皆ならいいよね?」
しばし呆然とした後、ミリアリアは一気にまくしたてた。
「何言ってるの! みんな心配したんだからね!みんな、みんな、いっぱい、いっぱい心配したんだからね!」
ガチャリ。
三度目の扉が開く音と共に、サイとカズイが現れた。
「おーい、ここがトールの病室で合ってるんだろうな、カズイ?」
「ああ、受付で聞いてきたよ。それよりミリィが先に来てるはずだが――」
二人はキラに気づいて固まった。
「キラ?」
「本当にキラ?」
「サイ、カズイ……ただいま」
一瞬の静寂の後、病室に歓呼の声がこだました。
「キラ! キラ! キラ! 信じてたぞ!」
「なんで連絡ひとつしないんだよ! みんな大変だったんだぞ!」
「トールだけじゃない! キラまで生きてたなんて!」
「そうだキラ! お前皆に散々心配かけたんだから、一発ぐらい殴らせろ!」
「え? サイ、それは……」
「そーだそーだ!キラ!お前はそれぐらいの罰を受ける義務がある!」
「カズイ! ちょっとは庇ってよ!」
「お前には情状酌量の余地はない! 黙って殴られろ!」
「そんな!」
「覚悟はいいかキラ!」
「ちょ、ちょっと待ってよ! 暴力反対!」
「お前が言うな!」
その騒ぎは、看護師が怒鳴り込んでくるまで続いた。
それは――
ヘリオポリスで彼らが失った“平穏”が戻ってきた証だった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。