転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話はキャラクターの心理描写が中心となります。
原作とは異なる解釈や独自設定が含まれますのでご了承ください。
人物理解を深める補足回として読んでいただければ嬉しいです。
タイガを本作最大の超弩級インパクトヒロインの衝撃が襲います(笑)
「ホクハ家長女、カルア・デラ・ホクハと申します。タイガ様のお世話を申しつかりました。以後よろしくお願いします」
そう言って綺麗な姿勢で礼をするカルアの姿を見て、タイガは感心した。
意思の強さを示す瞳、整った顔立ち、ピンッと伸びた背筋、同年代とは思えない程の落ち着き具合。
ただし体型はタイガの好みとは異なり、かなり、いや、相当スリムだった。
強烈な色香を漂わせる美女軍団に辟易していたタイガは、何も考えずに思っていた事をそのまま口にしていた。
「ああ、これなら俺が手を出す心配は無いな。やっと安心出来る」
女としての魅力を正面から完全否定された彼女が、タイガの顔面に右ストレートを叩き込んだ事を非難する者はいないだろう。
「タイガ、いくらなんでもそれはないんじゃないかな?」
アズラエルの言葉は、床の上に転がるタイガに届く事はなかった。
――
「う〜、う〜、う〜」
「風邪ですか?」
「違うわ!」
顔面の痛みに耐えて唸っているタイガに声をかけたのは、その原因を作った少女だった。
「主人に暴力を振るうなんてなんて女だ」
「理由を聞けば誰でも納得すると思いますが?」
カルアの言葉に、タイガは反論出来ずに黙り込んだ。
「それに私の主人はウズミ様です。私はウズミ様の命であなたにお仕えしているにすぎません」
「俺より兄上の命令に従うのかよ!」
“当然です”と当たり前の顔で返されて、再度タイガは黙り込んだ。
「それにしても意外ですね」
「何がだ?」
不思議そうな顔で疑問を口にするカルアに、タイガが尋ねる。
「いえ、タイガ様ならお側の女性の二人や三人に手を出されているのではないかと思っていたのですが?」
心底不思議そうな顔を浮かべるカルアに、タイガは再度怒鳴った。
「馬鹿ぬかせ!」
「いえ、私ではなく、ウズミ様が」
「兄上が?」
「『タイガも遠い異国で疲れているだろう。せめて母国に帰った時ぐらいはゆっくりと癒されてくれれば』というお話でしたが?」
(兄上〜〜〜! 余計な兄心は要らないんだよ〜〜〜!)
声に出さずに心の中でタイガは絶叫した。
――
「そんな事出来るわけがないだろう!」
「??? 何故です? アスハ家であればそういう女性には不自由しないと思いますが?」
「まあなあ」
苦い顔でタイガは頷く。
美女軍団もアスハ家の「そういった女性」の集団である。
真実は、様々な事情で表に出る事が出来ない女性達の救済手段という一面があった。
それ以上に、表に出せない機密情報をやりとりする時に男女の関係というのは隠れ蓑になった。
情報を制する者は国を制する。
アスハ家がオーブで主導権を握り続けていた理由のひとつである。
その結果、同じ女性を側に置き続ける事になり「アスハの男は義理堅い」という風説が広まる事になった。
「昔からアスハ家の男は義理堅いという話でしたが、タイガ様もそうだったとは意外ですね」
「お前は俺を何だと思っているんだ!」
「正直に口にしてよろしいのですか?」
「・・・いや、いい」
返ってくる言葉が予想出来て、タイガは沈黙した。
――
カルアの仕事振りは完璧だった。
分刻みの予定を作成し、面談予定との会合の準備も行い、途中の警備体制、他の部門との折衝、さらに一度見た事は決して忘れず、カルアに聞けばその場でタイガの滞在中の予定はどこに行けば誰と会い、この時間であれば誰と会っているか等、完璧な答えが返ってきた。
タイガの予定はカルアに完全に把握されていた。
――
「う〜、う〜、う〜」
「どうしたんだ? 風邪かい?」
「違うわ!」
今度聞いてきたのはアズラエルだった。
「自由がない!」
「僕たちの立場だったら当たり前じゃないか?」
「それでも限度ってものがあるだろう!」
タイガの言葉通り、タイガの予定はカルアに完全に把握されていた。
完全すぎて、次の場所に移動する走る速さ、効率的な歩幅や手の振り方、さらにはトイレの時間すら管理されていた。
「チクショー、一体俺が何したって言うんだよ〜!」
「少なくとも、女性相手に殺されても文句を言えないような事を言ったのは間違いないね」
「余計な正論は要らないんだよ〜!」
アズラエルに毒付いたものの、現状カルアが有能なのも間違いない。
有能すぎてタイガの方が壊れ気味だが。
そこにカルアの呼び出し音が響いた。
『タイガ様、休憩は終わりです。後3分以内にホールまでお願いします。間に合わなければ次の会合は5日後になります。相手に無理を言っているのですから頑張ってください』
そういうと呼び出しは一方的に切れた。
「チクショー、一体俺が何したって言うんだよ〜!」
「まあ、諦めるんだね」
タイガの虚しい叫びと、アズラエルの意味のない言葉が広い部屋に響き渡った。
ヒロイン登場と、
タイガを本作最大の超弩級インパクトヒロインの衝撃(物理)
が襲った回でした(笑)
閑話を含めて10話以上でやっとヒロイン登場。
なんでこうなった(泣)
次回、オーブでのタイガの葛藤の日々(?)が続きます(笑)