転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物、設定が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
「…………」
アスランは茫然と座り込んでいた。
捕虜にMSの模擬戦をさせる?
通常なら「無茶だ!」「無謀だ!」という声が上がるだろう。
しかし相手がアムロ二尉だと判明すると――
「ああ、可哀そうに」
「また犠牲者が」
「何分もつか賭けるか?」
「賭けにならねえだろ?」
そんな声にかき消された。
――――
「よっ! アスラン! 調子はどうだ?」
「ディアッカ! お前も来ていたのか!」
「ああ。捕虜になった連中が結構見に来てるぜ?
“3分で12機のジンを落とした伝説”を見たいってよ」
「ふん! 誇張されてるに決まっている!」
ヴェサリウスから見たアムロの戦闘を脳裏から振り払いアスランは気合を入れた。
「ああ、そうだな!お前なら化けの皮を剥がせる! 頼んだぞ!」
「任せておけ!」
意気揚々と挑んだ結果――
「え〜、あの子もすごいわね! 二尉相手に5分以上保ったよ!」
「ああ、しかも今度も逃げ回らず正面からだぜ! 大したもんだ!」
アスランは理解できなかった。
アスランは最初にアムロと対峙したキラと同じ思考に陥っていた。
自分は間違えていないはずだ。
攻撃は避けた。
次の攻撃も見えていた。
相手の回避先も予測できた。
自分の攻撃は当たっていたはずだ。
――なのに、当たらない。
――なのに、避けられる。
――なのに、撃たれる。
なぜだ?
「も、もう一度お願いします!」
「ああ、いいよ」
その日、アスランはアムロに7回挑み――全敗した。
最高記録は10分。
「よーし、次は俺達とやってみようか?」
次はバーニーとクリス。
結果は――負け越し。
二対一では当然全敗。
捕虜たちは確信した。
「オーブの白い悪魔」は本物だ、と。
――――
「…………」
「お、おい。アスラン、大丈夫か?」
ディアッカが声をかけても、アスランは反応しない。
「ああ、やっぱりこうなったねえ」
「お前は?」
キラが現れた。
「う〜ん? 君たちに分かりやすく言うと、ストライクのパイロットかな」
「なっ! お前が!」
ディアッカは警戒したが、捕虜である以上意味はないと悟り、警戒を解いた。
「ねえ? アスラン、どうだった?」
「……なんだあれは?どこを狙っても躱され、向こうの射撃は絶対に当たり、
どこに逃げても逃げられず、抵抗する前に一撃をもらうなんて……意味が分からない!」
「お、おい? それほどなのかよ?」
「まあ、僕でもアムロ二尉相手だと15分保たせる事も出来なかったからねえ。
僕と同レベルだったらそんなものだろうねえ」
「なっ!」
「お前でも?」
ストライクの
攻撃しようとしたら逃げられ、移動しようとしたら攻撃され、追いかけようとしたら十字砲火に誘い込まれ、
Gシリーズ4機がかりでも捕らえる事さえできなかったのだ。
そのストライクでさえ、“たった15分も保たせる事が出来ない”?
「ちなみに今のところ、僕の記録は“一対一でアムロ二尉を相手にした時のレコード”だそうだよ」
「……」
「……」
二人は唖然とした。
「やっぱり“本物のニュータイプ”ってのは違うもんだよねえ」
「ニュータイプ……?」
アスランは悟った。
これはナチュラルとかコーディネーターとか、そんな“誤差”のレベルではない。
根本的に存在そのものが違う!
「まあ、ワイズマン三尉やマッケンジー三尉もニュータイプらしいからね。
アスランが勝てなくても無理はないよ」
アスランは顔を上げた。
「ワイズマン三尉やマッケンジー三尉も?」
「あの二人と戦っていて、アムロ二尉と同じ感じがしたんじゃない?」
「……」
確かにそうだ。
当たらない。
避けられる。
逃げられない。
アスランはぞっとした。
「つまり……ニュータイプは他にもいるのか!」
「今まで知られていなかっただけで、まだまだ出てくるんじゃない?」
アムロ、ワイズマン、マッケンジーのような存在がまだいる?
プラントがそれに対抗できるか?
不可能だ!
どうあがいてもプラントの敗北は不可避だ。
プラントが勝てるわけがない。
アスランは身をもって理解した。
「キラ……俺はお前に協力する。よろしく頼む」
「ああ、アスランが協力してくれるなら心強いよ。よろしくねえ?」
(こうなったら……少しでもキラを補佐して、プラントをまともな方向に導かなければ)
アスランは深いため息をついた。
自分の前途の困難さを噛みしめながら。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。