転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
第122話 渦巻く思い
結局、アスランだけでなくディアッカもキラに協力することになった。
捕虜の身でできることは多くない。
暇つぶしになれば――そんな軽い気持ちだった。
だが、ディアッカは“真実”を知らされ、どこまでも落ち込むことになる。
「プ、プラントに未来がない!?独立が無駄!?勝っても地球滅亡で人類が終わり!?」
「まあ、自分の信じていたものが根本から崩れ去ったら、そうなるよねえ?」
「どーすんだよ!ここにいたらジェネシスってので皆焼かれちまうんだろう!」
「ジェネシスで焼かれたら、どっちにしろ人類は終わりだからね。じたばたしたって無駄だよ」
「……お前、えらくいい度胸してるなあ?」
「世界には僕なんかじゃ及びもつかない人たちがたくさんいるんだよ。
ジェネシスはその人たちに任せて、僕たちは僕たちの出来ることをやるだけさ」
「……アスラン、お前よくこいつの親友なんかやってられたなあ?感心するぜ」
「いや、前はここまで極端な性格じゃなかったはずなんだが……」
「まあ、君たちのことはプラントにも通達済みだそうだから、プラントのご両親が頑張って止めてくれると信じてればいいんじゃない?」
「止められなかったらどうするんだよ!」
「その時は、君へのご両親の愛情がその程度だったと思って諦めるしかないんじゃない?」
「……今、俺は猛烈に後悔しているよ……」
「良かったね?後悔ってのは生きてる間にしかできないんだよ。生きてることが実感できたじゃないか?」
「お前は皮肉ってやつが分からないのかよ!」
どうもキラのスーパーコーディネーターとしての能力は、別の方向で発揮されているようである。
そんな日常を過ごしていた彼らの下に、ブルーコスモスの盟主・アズラエルが銃撃されたという情報が届いたのは、その時だった。
――――
少年には姉がいた。
年は離れていたが、母のように優しい姉だった。
ある時、突然電気が使えなくなった。
暖房も冷蔵庫も止まり、食料が不足するようになった。
郊外の農村へ食料をもらいに行こうとしたが、列車も車も止まり、女子供の足では到底不可能だった。
姉は必死で食料をかき集めた。
しかし女の身でできることには限界がある。
少年は「おなかが空いた」と泣くことしかできなかった。
やがて姉は夜に出かけるようになった。
帰ってくるとパンを持っていた。
少年は喜んだ。
「おねえちゃん!ありがとう!」
少年は満面の笑みを姉に向けた。
その笑みは姉に「この笑顔を何としても守らねば」と決意を新たにさせ、姉をさらに追い詰める事になった。
数日後、食料が尽きた頃。
二人は一つの毛布にくるまっていた。
ふと身体の冷たさに目を覚ますと、姉の身体が冷たくなっていた。
「おねえちゃん?おねえちゃん?おねえちゃん?」
何度呼んでも、姉は答えなかった。
姉の懐から、小さな袋が落ちた。
いつもパンを入れていた袋だ。
中には、手の付けられていないパンが詰まっていた。
少年は悟った。
姉は自分の分を与えてくれていたのだと。
「おい、ここにいたぞ!」
「まだ生きている! こっちだ!」
姉の遺体に縋り付いて泣く自分を保護してくれたのはブルーコスモスだった。
助かった後も少年の心の中には渦巻く思いが残った。
なぜ自分だけ助かった?
なぜあと一日早く来てくれなかった?
そうすれば姉は助かったのに?
誰が助けてくれなかった?
ブルーコスモスか?
だが助けてくれたのもブルーコスモスだ。
答えの出ない思いが渦巻く。
周囲が騒ぎ始めた。
「盟主だ!」
「盟主様がおいでになるわ!」
ブルーコスモスの一番偉い人が来るらしい。
ならば――
なぜもっと早く来てくれなかった?
姉を救えたはずなのに。
胸の中で言葉にならない思いが渦巻く。
盟主らしい男が目の前を通り過ぎた。
周囲は熱狂していた。
しかし少年にとっては、姉を救わなかった人だった。
背を向けようとした時、誰かに突き飛ばされた。
盟主に襲いかかろうとした男が取り押さえられていた。
男は叫んでいた。
「なんでもっと早く来てくれなかった!もっと早く来てくれたら、あいつは助かったんだ!」
少年と同じ言葉だった。
ふと地面を見ると、男が落としたのか拳銃が落ちていた。
無意識に拾い上げる。
気づけば、銃口は盟主に向いていた。
――乾いた銃声が響いた。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。