転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
「状況は!」
オーブの情報管理室に飛び込んだタイガの第一声だった。
「不明です!死亡したというものから軽傷、重傷、無傷、即死……情報が錯綜していて確認できません!」
「早く確認しろ!」
滅多にないことに、タイガが怒鳴った。
「主、落ち着いてください!」
「ここで騒いでもアズラエル様の様子は分かりません。まずは――」
「黙れえ!!」
「主!」
縋りつく女たちを振り払おうとした瞬間、カルアの右ストレートがタイガの顔面に叩き込まれた。
床に昏倒したタイガを見下ろしながら「タイガ様は体調不良でお休みになられます。よろしいですね?」というアリサの声が静かに部屋に響き渡った。
タイガが部屋から運び出されていく間、声を発する者は誰もいなかった。
――
アズラエルは近くの病院に運ばれたが、治療ができず中央病院へ移送された。
胸部に銃弾を受けたため、意識が戻るまで一週間、会話ができるようになるまでさらに一週間。
とりあえず命の危機は去った――そう報告が入った。
ほっとしたのも束の間、今度は「大西洋連邦の艦隊がオーブに向かっている」という情報が入った。
タイガの反応はただ一言。
「なんでそうなる?」
――
アズラエルが銃撃された時、ジブリールはすぐそばにいた。
「盟主!」
振り返ると、手に持った資料を取り落とし、胸から血を流して倒れるアズラエル。
散らばった資料の中に「プラント独立」「オーブ」と書かれた書類があった。
ジブリールはそれを懐に入れ、アズラエルの救護に加わった。
アズラエルの命は助かった。
しかし指揮はできない。
1〜2週間は完全に不在となる。
つまり――
その間はジブリールのやりたい放題となる。
ジブリールは暗い笑みを浮かべ、書類を確認し始めた。
(プラントを独立させる?今の強硬姿勢はブラフ?そのまま放置だと?)
(許せん……!あの宇宙人どもは今すぐ核の炎で焼くべきなのだ!)
(核……?そうだ。オーブを確保すれば核が手に入る!
時間はかかるがいずれNJCも開発されるだろう。
核さえ確保しておけば後はどうにでもなる!
確保後、別の場所に移動させればよい。
所詮、中小国でしかないオーブなど盟主も気にすまい。
盟主が動けない今のうちに、オーブを確保し――宇宙人どもを焼く準備を整えねば!)
アズラエルとタイガの関係を知らないジブリールの喜劇である。
ジブリールは大西洋連邦上層部に主張した。
「プラント独立を指向するオーブの行為は利敵行為である。
詰問のために艦隊を派遣すべきだ!」
しかし却下された。
当然だった。
オーブはプラントと敵対している国だ。
わざわざ大西洋連邦が敵に回す理由などない。
「では我々ブルーコスモスによって行います!艦艇をお借りしますが、よろしいですね?」
只でさえ軍に強い影響力を持つジブリールに対し、大西洋連邦が人員不要・艦艇のみの貸与を断る事は出来なかった。
ましてアズラエルが意識不明な現状では、ジブリールの言葉がブルーコスモスの言葉と言っても良いのだ。
大西洋連邦上層部にジブリールの要求を拒否する術はなかった。
「しかし、君の行動は我々の感知するものではない。
公式には“ブルーコスモスを名乗る連中が艦艇を乗っ取って勝手に行動した”ということになる。理解してくれ」
「もちろんです」
ブルーコスモスの名を出されては拒否できない。
議員は議席を失い、大統領でさえ免職される。
断れるはずがなかった。
「待っていろよ、宇宙人ども。お前たちの喉元に――核の炎を届けてやる」
ジブリールの狂気が、オーブに迫ろうとしていた。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。