転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。





第126話 詐欺師

 

 

バルトフェルドは再びプラントに潜入していた。

しかし現在、彼は国家反逆罪で指名手配中だ。

怪しまれないよう一般人に変装しているが、早急に諜報員と接触して脱出した方がいいのは間違いない。

だがそれとは別に、将来暴落する「独立」という名前を高値で買ってくれる“顧客”を探す必要もあった。

タイガの人使いの荒さを嘆きながら、バルトフェルドは送信元を偽造した「アイリーン・カナーバ」宛てのメッセージを送信した。

 

「で、どういう事かしら?」

 

不審なメッセージで呼び出されたアイリーン・カナーバは、バルトフェルドに詰め寄った。

送られてきたメッセージには、ザフトでも上位の者にしか知られていない事例が記されており、

しかも送信者は堂々と「虎より」と書かれていた。

これが強硬派に知られたら、排除される良い口実にされて穏健派は終わりだ。

 

「おや? 国家反逆罪で指名手配されているので、軍警が動員されていると思ったんですがね?」

 

「ふざけないで。そんなことできるわけないでしょう!」

 

そう、アイリーンたちクライン派は、今やパトリックたち強硬派から目の敵にされている。

バルトフェルドを通報したところで、共犯とみなされて一緒に逮捕されるのがオチだった。

 

「やれやれ、既に我が元・祖国は末期的ですな?」

 

「元? あなたも元ザフトでしょう?独立という思いはないの?」

 

その言葉は、未来を知るバルトフェルドからすれば滑稽なものでしかなかったが、仕事には関係ないので無視した。

 

「まあ、そんな事より未来の事を考えるべきでしょう?」

 

「未来ですって?」

 

「このままだったらプラントは負ける。

MSがあったから優位だっただけで、相手がそのMSを出してくれば勝てるわけがない」

 

バルトフェルドは断言した。

 

「!」

 

「違いますか?」

 

「……」

 

アイリーンは反論できず黙り込んだ。

 

「このままだったらプラントは負ける。しかし“負けても独立が果たせる”としたらどうです?」

 

「そんなことできるわけが……」

 

「私のスポンサー様が同意しています」

 

「スポンサー?」

 

「オーブですよ」

 

「!!! オーブですって! どういう事!」

 

「簡単な事です。

一度独立に失敗したからって、プラントは諦めないでしょう。

そうなると数年後、二度目三度目の独立騒ぎが起こるのは必然です。

それぐらいなら、いっそ独立させてしまえ――

という事ですよ。

オーブからの義勇兵からも、そういう話は聞いていませんか?」

 

「それは……」

 

事実だった。

オーブから亡命してきた義勇兵は

「表向きオーブは独立を認めないが、裏では支援する」

と言っていた。

ただ、最近の強硬姿勢が目立っていたため、誰も信じていなかっただけだ。

 

「強硬姿勢はブラフです。

オーブは積年の面倒事を全部プラントに放り投げたいんです。

ただ、甘い顔をして独立を認めれば国の面子に関わるので、表面的には強硬姿勢を示しているという事です」

 

「……」

 

「オーブがあなたに求めているのは、敗戦後の“独立承認”と“取りまとめ”です。

強硬派連中は敗戦時に全てパージします。

そうすればあなたも動きやすくなるでしょう?」

 

「でも……」

 

「強硬派連中が勝手に自滅した後で、あなたが“強硬派にもできなかった独立”を成し遂げるんです。

『敗戦しながら独立を勝ち取った英雄』としてね」

 

「!!」

 

「そのためにも、あなたには強硬派と距離を取っていただきたい。

強硬派に積極的に賛成する必要はありませんが、積極的に反対する必要もありません。

敗戦までおとなしくしていただければ、それでいい」

 

「でも……」

 

「今の状況から、プラントが逆転できる方法がありますか?」

 

「……」

 

「強硬派が何をやろうが、もうプラントの敗戦は覆せません。

それなら、少しでも未来につながる選択をするべきでは?

ここでオーブの手を取らなければ、『独立』という名前は二度と手に入りませんよ?」

 

「……わかったわ。オーブの支援を受けます。

私たちはおとなしくしていればいいのね?」

 

「ええ。あなた方が強硬派に積極的に協力しなければ、それでいいです」

 

「わかったわ。では戦後はお願いね?」

 

「ええ、もちろんです」

 

アイリーンが去っていく後ろ姿を見ながら、バルトフェルドは呟いた。

 

「あの人、スポンサー様の想定通りの受け答えしかしなかったなあ?

あんなので大丈夫なのかね?」

 

戦後のプラントを支えるであろう人物の力量に、バルトフェルドは疑問を抱いた。

 

「まあ、これで『独立』という名前の売り先は確保できたわけだ。

なんだか自分が詐欺師になった気分だね」

 

それは、“独立に未来がない”という事実を知った上でアイリーンに話を持ち込んだのだから、

詐欺師と言われても否定できないだろう。

 

「恨むなら、この筋書きを書いたスポンサー様を恨んでくれよ」

 

当然だが、バルトフェルドの呟きがアイリーンに届くことはなかった。

 

 

 






※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

次回お楽しみください。

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