転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
アメノミハシラ方面を警戒していたザフトの哨戒網に、おかしなものが引っかかった。
大型輸送艦を模したバルーンである。
それが数十、数百と、アメノミハシラ方面から漂ってきたのである。
確認したところ、何の変哲もない、ただのバルーンだった。
ザフトは不審に思いながらも、放置するわけにはいかず迎撃を行った。
なにしろ回避行動を取るわけでもない。
護衛が付いているわけでもない。
ただ、宇宙空間を漂ってくるだけの物体である。
迎撃そのものは容易だった。
だが、その数が百を超えた時、状況は一変した。
バルーンのひとつを迎撃した瞬間、周囲を強烈な熱と光が包んだのだ。
バルーンの中に、NJCを搭載した核が混在していたのである。
たとえ、ほとんどがダミーだったとしても、残った中に核が混在していないという保証はどこにもない。
もし撃ち漏らしが発生し、それがプラントに到達したら?
ひとつでも撃ち漏らしたら大惨事である。
ザフトは戦慄した。
――アメノミハシラ方面から漂ってくるバルーンは、全て迎撃しなければならない。
こうしてアメノミハシラ方面のザフトは、漂ってくる数百のバルーンを、全力で迎撃する事になる。
だが、全て迎撃したと思えば、次は千を超えるバルーンが漂ってきた。
それを迎撃すれば、次は二千。
さらに、バルーンが漂ってくる間隔も一定ではなかった。
数百、数千のバルーンが一気に押し寄せる事もあれば、翌日は数十程度に留まる事もある。
何日もまったく漂ってこない事もあれば、何日も絶える事なく漂ってくる事もあった。
それは終わる事なく、延々と繰り返された。
プラントはオーブに核使用について抗議したが、オーブからは
「バルーン?知らんな。そもそも核を使用した報告も、核が紛失したという報告も受けていない。
こちらの関知しない事に抗議されても困る。宇宙に放置されていた核が紛れ込んだだけではないか?」
という、いっそ清々しいまでのしらを切る主張が行なわれた。
NJCが無ければ核は起爆しない。
オーブの主張は詭弁でしかなかった。
さらにその後の
「現状、戦争での核使用は禁止されていない。
全ての核を使用してほしいならそう言え。
希望にこたえてやる」
という冗談とも本気ともつかない返答によってプラントは恐慌に陥る事になる。
その結果、オーブはひとりも血を流す事なく、一発の銃弾すら使用する事なく、
『ただのバルーン』によって、アメノミハシラ方面のザフトをその場に拘束し続け、無力化した。
しかも、この時ザフト側にも死傷者は出なかった。
つまり、敵も味方も一滴の血も流さず、戦術でも兵器でもなく、“ただの風船” によって、アメノミハシラ方面のザフトは一歩も動けず、戦場から強制的に排除されたのである。
結局、アメノミハシラ方面のザフトは、華々しく戦う事も、祖国防衛に参加する事も出来ず、
プラント敗戦の日まで、延々とバルーンを迎撃し続ける無為な作業を強いられる事になった。
後に歴史家は、この出来事を
“最も安価で、最も残酷な作戦” と呼んだ。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。