転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
タイガは、エターナルでプラントを脱出してきたラクスを受け入れた。
そして改めて、プラントの現状と未来を説明し、協力を求めた。
そこでラクスはタイガに確認した。
「あなたはプラントをどうするつもりですか?」と。
タイガの答えは簡潔だった。
「どうもしない。それだけだ」と。
「連中を滅ぼすつもりは無いが、連中が滅びる事を自分から選ぶならそれを止めるつもりもない。また連中を助けるつもりもない」
独立とはそういうものだろう?というタイガの言葉にラクスは何も返す事が出来なかった。
「連中が縋り付く「コーディネーター優生主義」はそう時を経ずに地球から駆逐される。
プラントは、それを認められない連中の墓場だ。いずれ、そうなる」
「・・・」
「それを認められない連中がまた騒ぎを起こすだろう。それを潰していって連中が勝手に滅びるまで放置する。
それがこちらの基本方針だ」
「手を・・・」
「うん?」
「彼らに手を差し伸べる事は出来ませんか?」
「君は差し伸べた手を連中が掴むと思うのかね?もしくは「ナチュラルがコーディネーターに尽くすのは当然だ!」
とか言い出しかねないのではないのか?」
「・・・」
再びラクスは何も返す事は出来なかった。
「プラントの連中がナチュラル蔑視をやめ、過去の行いを悔い改め、NJの被害者に誠実に謝罪と賠償を行えば改めて再出発出来るのではないか?」
「それは・・・」
正論だった。
だが、プラントに一億数千万に及ぶ被害者への賠償など、現実的に不可能である。
自分達の罪を認めて謝罪など絶対にしないであろう。
今まで見下していたナチュラルへの蔑視がなくなる事もありえないであろう。
つまり実行不可能という事だ。
タイガの提示した条件は、道徳的には正解だが、現実的には「死を待て」と言っているに等しかった。
そしてそれを選択したのはプラント自身なのだ。
滅びは必然でしかなかった。
「君の言う「手を差し伸べる事」とは、
『自分達は理事国の建設したプラントを暴力で占拠して、
戦争に無関係な一億数千万に及ぶナチュラルを殺したが負けそうだ。
しかし謝罪も賠償もしないし、コーディネーターなのだからナチュラルに何をやろうと全て許される。
だから助けてくれ』
と言っている事と同じだ」
ラクスは絶句した。
自分にはそんなつもりはなかった。
しかし傍から見ればそのように言っている事と同じでしかなかった。
「そんな連中を助けてやる理由があるのなら教えてくれないか?」
「・・・」
ラクスは一言も言い返す事が出来なかった。
「……個人的には、助けてやっても構わないと思うのだがな」
その言葉にラクスは、はっと顔を上げた。
「もう何をやろうが手遅れだからな」
タイガの言葉はラクスの胸に一瞬浮かんだ希望をかき消すものだった。
「仮に「プラントを助けよう」と言っても、それはオーブがNJの被害が少なかったから言える事だ。
NJの被害を受けた他国がそれを認める筈がないし、他国に非難されてまでオーブがプラントを助けてやる理由もない。
何よりオーブが宣戦布告した理由を知っているだろう?」
「・・・はい・・・」
「中立だったからプラントにMSの売り込みをして、断られたから自分達で作っていただけだ。
それなのに「敵国のMSを製造している」と決めつけられ、一方的に攻撃された。
オーブがNJを落とされた国の不興を買ってまでプラントを助けてやる理由がどこにあるのかね?」
「・・・」
またしてもラクスは言い返せなかった。
「こうなったのは全てプラントの自業自得だ。連中には助けてやる価値も、理由も、意味も存在しない」
「・・・でも!」
理屈は理解できる。
プラントには何も言う資格はない事もわかっている。
ラクスはそれでも胸に残る思いを何とか口に出そうとしたが、それを口にする事は出来なかった。
それを口にした途端、自分は現在プラントにいる
「ナチュラルを蔑視し、一億数千万に及ぶナチュラルを殺し、それを恥じる事のない者たち」
と同じであると証明する事にしかならないのだから。
「もう、プラントは終わっている。後はその時間が長いか短いかの違いだけだ。
君がいまさら何をやっても時計の針は戻らんよ。せめて後悔しないようにな」
そう言ってタイガはラクスを部屋から退出させた。
タイガの部屋を出たラクスはこれから苦難の道を歩むプラントの未来に思いを馳せた。
プラントが独立戦争を始める以前から、既にプラントの未来は決定されていた。
この最終決戦の結果がどうあれ、そこに住むコーディネイターたちが夢想するような輝かしい未来が訪れることなど、万に一つもあり得ない。
まだ砲声が響く決戦の前であるにも関わらず、すでに勝敗は、そして「死」は決定していた。
その厳然たる事実が、ラクスには何よりも悲しかった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。