転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
それは唐突だった。
意識が、世界が、認識が──
自分自身が大きく広がっていくのが分かった。
(これが……ニュータイプ、か)
クルーゼの意識は肉体から離れ、戦場全体を俯瞰し、
自分では見えないはずの場所までも鮮明に認識できていた。
(なるほどな。彼はこのような感覚で戦っていたのか。
我々が勝てないわけだ。
これが“人類の新たな可能性”……か。
人類など滅びるべきだとしか思っていなったが、
このような可能性が残っているのであれば、
人もまだ捨てたものではないのかもしれんな)
人の業を憎み、人の業によって生み出され、人類を滅ぼすために生きてきた男は、
その瞬間だけ“人という存在の希望”に触れた。
次の瞬間、クルーゼの肉体はガンダムのビームサーベルに貫かれ、蒸発した。
――――
それは悪夢だった。
いや──悪魔だった。
プロヴィデンスを護衛するザフトのMS部隊。
ゲイツ、シグー、ジン。
数機がかりでも全く相手にならない。
白い機体が視界に入った瞬間、一方的に撃破されていく。
プロヴィデンスのように多数の火器を持つわけでもない。
ジンハイマニューバのように機動性に特化しているわけでもない。
ゲイツのような特殊兵装があるわけでもない。
しかし──
“まるで攻撃が来る場所を知っているように”
“こちらの回避先を読んでいるように”
“どこに逃げても攻撃が当たり、自分の攻撃はかすりもしない”
プロヴィデンスの周囲のMSは、瞬く間に全滅した。
「……」
クルーゼは、自分が冷や汗を流していることに気付いた。
(大丈夫だ……このMSは核動力だ。PS装甲がフェイズダウンすることはない。
限界まで装甲にエネルギーを回せば、ビームライフルの一発や二発程度で撃破される事もない。
無線ビーム砲台も残っている。本体の火器も健在……負ける理由はない!)
そう言い聞かせても、目の前の“ガンダム”に勝つ未来は全く見えなかった。
(私は負けるわけにはいかない!この愚かな人類に鉄槌を下すまでは!)
クルーゼは残った無線ビーム砲台を全て繰り出した。
背後から狙う──躱された。
上から撃つ──撃ち落とされた。
左右から同時砲撃──反転されて破壊された。
真下から突進──真っ二つにされた。
火線に誘導──全て破壊された。
残るはプロヴィデンス本体のみ。
「ハァ……ハァ……」
(これがニュータイプ……?
新しい人類?
誰でもなれる可能性?
ふざけるな……!
そんなものが本当に存在するなら、私やレイのような存在は何のために生まれた!
我々の生命の意味はどこにある!)
クルーゼは全ての技術を尽くして攻撃を試みた。
しかしユーディキウム・ビームライフルは躱され、接近しても当たらず、
ビームサーベルの間合いにすら入れない。
しかしそれでもクルーゼは一方で冷静に勝因を手繰り寄せようとしていた。
(ジリ貧だ……こちらの攻撃は尽く躱され当たらない。
だが核動力の高PS装甲のおかげで相手の攻撃も通用しない。
限界までPS装甲にエネルギーをつぎ込んでいるので、ビームライフルでもそう簡単には致命傷にならない。
一瞬だけであればビームサーベルでも止める事は可能だろう。
ならば装甲を盾にして接近し、躱せない距離でビームサーベルを──)
その意図を読んだかのように、ガンダムも突進してきた。
ガンダムがビームライフルを構える。
(無駄なことを)
しかし至近距離で、ガンダムはプロヴィデンスの一点に集中して十数発のビームを叩き込んだ。
「なっ──!」
PS装甲は無限ではない。
“長期間維持できる”だけだ。
瞬間の許容量を超えれば、極小の時間だけであってもフェイズダウンを起こす。
もちろん核動力なのですぐに復旧する。
しかし一瞬にせよそれは戦闘中にはあまりにも大きな隙だった。
その隙を突き、ガンダムのビームサーベルがコクピットを貫こうとする。
だが一瞬早く核動力によってPS装甲が復旧する。
(よし、このまま動きを止めて・・・)
勝機を見出したクルーゼだったが、使用時間と引き換えに瞬間的に高出力化したビームサーベルが、
PS装甲を再び一瞬だけフェイズダウンさせた。
「何い!」
高出力化したビームサーベルはそのままプロヴィデンスのコクピットを貫いた。
クルーゼの意識は拡散し、ニュータイプの根幹に触れながら消えていった。
プロヴィデンス護衛隊、全滅。
プロヴィデンス、撃破。
成し遂げたのは──
オーブの白い流星。
最新最強のMSをもってしても、オーブのMSには勝てないことが証明された。
この瞬間、ザフトの交戦意思は粉砕された。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。