転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。





第135話 終焉の始まり

 

 

 

ヤキン・ドゥーエの指令室は沈黙していた。

 

「悪魔だ……」

 

「オーブの白い悪魔だ……」

 

ざわめきが伝染し、それは瞬く間にヤキン・ドゥーエ全体へ広がっていった。

その様子を見ていたパトリックは、ついに決断した。

 

「もはや他に手段はない! ジェネシスの発射準備に入れ!」

 

「議長! それは──!」

 

「他に勝つ手段があるというのか! ないなら黙っておれ!」

 

「しかし!」

 

「もはや独立のためにはジェネシスしかないのだ!」

 

プラントの狂気が、ついに解放されようとしていた。

 

――

 

ジェネシス周辺では発射準備が進んでいた。

射線を開け、障害物を撤去し、次弾をすぐ撃てるように整備が進む。

ジェネシスは莫大な電力供給量によりPS装甲で防御され、通常の方法ではまず破壊不可能だった。

それでも周辺を警戒していたジンの一機が、NJの影響下でもわずかに使用できるレーダーに異様な反応を捉えた。

 

「あれは……?」

 

遥か彼方からジェネシスの側面方向に巨大な何かが接近してきていた。

MSではなかった。

戦艦でもなかった。

それよりはるかに巨大なものが、戦艦と同じぐらいの速さでジェネシスに接近してきていた。

 

ジェネシスの側面方向から接近してきたのは、オーブの ヘリオポリス だった。

タイガはヘリオポリスの岩盤をくり抜き、小惑星移動用のエンジンを設置。

さらにヘリオポリスの表面にPS装甲を施し、移動用エンジンのエネルギーを電源に転用。

ジェネシスの正確な位置を割り出すと、そのままヘリオポリスをジェネシスに“ぶつける”軌道に乗せた。

 

 

「強力なPS装甲で陽電子砲でも破壊できない?

しかし相手も同程度のPS装甲ならどうかな?

小惑星移動用のエンジンを電源にして、PS装甲を集中して強化すれば移動中の破壊は不可能だ。

幾らジェネシスの電源が大出力でも、その場に静止しているだけの用途しかないジェネシスの電源が、

瞬間的な出力で軍用の小惑星移動用エンジンを上回れるかな?

そして空中に浮かんだ鋼鉄のサッカーボールに車が激突したらどうなる?

サッカーボールはその場に留まっていられるかな?

当たらなくても接触しただけで姿勢制御は不可能だ。

無重力下では逆方向に同等のエネルギーを与えてやらなければ停止できない。

そうなれば地球を狙うなどできはしない。

迎撃?

あのバカでかいジェネシスの方向転換が間に合うかな?」

 

 

側面からではジェネシスでの迎撃は不可能。

迎撃のために方向転換すれば地球への照準は完全に外れる。

迎撃後改めて40万キロ先の目標に再度命中させる精密制御など、いったいどれほどの時間がかかるだろうか?

その間に再度同じような攻撃を受けて、次も迎撃できるだろうか?

もし外れたら?

迎撃で次弾が尽きたらどうする?

既にザフトに打てる手は残っていなかった。

 

――

 

「う、撃て! ジェネシスへ近づけさせるな!」

 

パトリックの狂乱した命令が飛ぶが、全面に強力なPS装甲を展開したヘリオポリスは傷一つつかない。

そして──

ほとんど無傷のまま、ヘリオポリスはジェネシスに激突した。

PS装甲とPS装甲がぶつかり合い、解放された莫大な運動エネルギーがジェネシスを襲う。

結果、ジェネシスはバラバラに砕け、ヤキン・ドゥーエ宙域から弾き飛ばされた。

 

この瞬間、この戦争の帰趨は完全に決した。

 

ヘリオポリスから始まったオーブとプラントの戦いは、ヘリオポリスによって終わりを告げた。

 

――

 

「バ、バカな……ジェネシスが……ジェネシスが……

我々の独立の希望が……」

 

パトリックは茫然と呟くことしかできなかった。

 

バンッ!

 

指令室の扉が勢いよく開き、武装した兵士たちがなだれ込んだ。

 

「動くな!たった今からプラントは、我々プラント臨時最高評議会の指揮下に入る!」

 

アイリーン・カナーバが全員に向かって宣言する。

パトリックはその声を聞いても、微動だにしなかった。

 

「宙域のザフト全軍、並びに地球軍に告げます!」

 

「現在プラントは、地球軍およびプラント理事国家との停戦協議に向け準備を進めています!」

 

「それに伴い、プラント臨時最高評議会はザフト全軍に対し、全ての戦闘行為の即時停止を命じます!」

 

「同時に現宙域における全ての戦闘行為の停止を地球軍に申し入れます!」

 

――

 

CE71 9月27日

プラントは地球連合に対して停戦を申し入れた。

この日、人類史上最大の大虐殺を引き起こした戦争は終わりを告げた。

それは同時に──

プラントの終焉が始まった日でもあった。

それを知る者は、まだ一部しかいなかった。

 

 

 






※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

皆様には長い間本作にお付き合いくださいましてありがとうございます。

今回で『プラント独立編』終了となります。

次回からは『運命《ディスティニー》編』の始まりとなります。

皆様にはよろしければ最後までお付き合い頂ければ幸いです。

次回お楽しみください。


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