転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
アイリーン・カナーバ率いるプラント臨時最高評議会によるクーデターは成功した。
MS戦闘において自軍の最高戦力が敗北し、最後の希望だったジェネシスすら眼前で破壊されたザフトに、もはや抵抗の意思は残っていなかった。
プラント臨時最高評議会はザフトの武装解除と停戦協議を開始。
地球連合軍の進駐受け入れ、地球に残ったザフト兵士の復員、それに伴う戦時国際法違反の裁判、さらに前最高評議会議員の拘束と臨時裁判の開催が決定された。
裁判はすべて臨時最高評議会によって行われ、地球連合は一切干渉しなかった。
「戦勝国による一方的な裁判」という批判を避け、「プラント自身が下した裁判結果を受け入れる」という立場を取ったためである。
その結果──
前最高評議会議員に対する臨時裁判では、死刑判決を受けた者は一人もいなかった。
この判決に世界中の世論は沸騰した。
「全世界で一億数千万の犠牲者を出した責任を取る者がいないとは何事だ!」
「前最高評議会議員は全員死刑にしろ!」
さらに、プラント側が「戦争被害の補償無し、賠償金支払い無し、独立承認」という停戦案を提出したことで、世界中は激昂した。
「停戦など不要だ!直ちにプラントと再戦を!」
「プラントを核で焼き払え!」
という過激な主張が堂々と叫ばれるようになった。
しかし、これはプラントの実情からすれば“当然の提案”でもあった。
地球に対し「オペレーション・ウロボロス(人類史上最大の虐殺命令)」を発動したのは議長シーゲル・クラインである。
責任者はあくまでシーゲルであり、他の議員は“提案を了承しただけ”という建前が成立した。
強硬派パトリック・ザラも、実情はともかく当時は“評議会議員の一人”に過ぎない。
そこで臨時最高評議会は、「既に死亡しているシーゲルに全責任を押し付ける」という露骨な方法を選んだ。
さらに、一億数千万に及ぶ被害者への補償や賠償は現実的に不可能だった。
臨時最高評議会議員の「下等なナチュラルに補償など不要だ」という非公式発言が、全てを物語っていた。
――
紆余曲折を経て、翌CE72年3月10日。
地球連合とプラントの間に停戦条約── ユニウス条約 が締結された。
この条約によりプラントは様々な制約を受けたものの、
「敗戦しても補償も賠償も行わず、戦犯を免責し、独立を勝ち取った」
という、奇跡的な外交的勝利を得ることになる。
ユニウス条約によって独立を成し遂げたアイリーン・カナーバは、「プラント独立達成の英雄」として市民の熱狂的な歓迎を受けた。
何しろ本来であれば、プラント全体が地球連合に占領され、独立どころかプラントそのものが解体されていてもおかしくなかったのだから。
条約内容に不満を訴える者もいたが、独立達成という大目的の前には顧みられなかった。
しかし──
一見プラントの勝利に見えるこのユニウス条約こそが、後の「プラントの自滅」を加速させる主要因となる。
それを理解している者は、ごく少数だった。
――
「さて、終わりの始まりだな」
その“少数の者”であるタイガは、独立に沸くプラントの熱狂を静かに眺めていた。
タイガの顔には、「未来が既に確定していることを知らない者たち」に対する冷笑が浮かんでいた。
プラントは独立した。
この時点では、彼らは幸福だった。
なぜなら──
近い未来に待ち受ける自分たちの姿を、まだ誰も知らなかったのだから。
独立は確かに成し遂げられた。
だがその代償として、プラントは未来を失った。
この日こそが、終焉の始まりであった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。