転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
お気軽に読んでいただければ幸いです。
その後、カルアのホクハ家は驚異的な発展を遂げた。
別に武力に秀でているわけではない。
特別な技術を持つわけでもない。
政治的に特に優れた家でもない。
しかし、必要な場所で、必要な事を行う時に絶妙のタイミングで実行、助言するようになった。
普段は特に必要なものではない。
しかしある事を実行する時には必要になる。
それをホクハ家は事前に用意するようになった。
またそれがどこにあるのか情報を提供するようになった。
ホクハ家が重視されるようになるのは必然だった。
――
カルアは父親に呼び出されて廊下を歩いていた。
(いったい何の用かしら?)
完全記憶を持つカルアにとって既に学校など意味はなく、教師からはいつでも卒業してかまわないと投げやりな言葉をもらっていた。
カルアの完全記憶が判明してから、父と母は何とかこれを抑えようとした。
他人が隠しておきたい事を言い当てる。
記憶違いを指摘する。
ついにはトラブルがあれば他人はその誰かよりカルアの言う事の方を信じるようになってしまう。
どう考えても娘の幸せに結び付くとは思えなかった。
しかし結果は残酷だった。
カルアの能力を抑える事は出来なかった。
そこで両親は発想を変えた。
――抑える事が出来なければ、出力しなければ良い。
カルアが見たものを全て記憶していても、それを誰かに話さなければ誰にもわかりはしない。
そんな時、父の仕事で困った事が起きた。
以前保管していた資材が行方不明になったのだ。
もはや生産しておらず、新たに生産すると完成まで年単位の時間が余計にかかるというものだった。
誰もがあきらめかけていた時にカルアが父に言った。
「それ、あそこにありますよ?」
以前父の部屋で見かけた書類。
それを記憶していたカルアはその場所を父に教えた。
その結果、父は大いに面目を施し、5大氏族からも称賛の言葉をもらった。
「カルア、他にもそんなものがあるのかい?」
「ありますよ?」
カルアは自分の記憶にあるものを列記していった。
「ちょ、ちょっと待ちなさい」
カルアの母は、自分が秘匿していた情報をカルアが列記していくのを見て止めようとした。
「おい、なぜ止めるんだ? これは宝の山だぞ?」
「そ、それは・・・」
母は明確に答える事が出来なかった。
結果、母のやってきた事は父に知られる事になり、「子供を利用するとは何事だ!」と父に激怒される事になる。
そこで家族で「この情報をどうするか」という話し合いがもたれる事になった。
カルアの能力を5大氏族に教える?
――論外だ。
カルアが都合の良いように使いつぶされる未来しか見えない。
他の氏族の協力を仰ぐ?
――何を理由に?
結局はカルアの能力を公開する事になり、同じ事にしかならない。
自分達で守る。
それしかなかった。
――
まず大規模なデータベースに接続し、そこにカルアの知識をリンクさせる。
全てを網羅する必要はない。
データベースに欠けているものだけを、オーブに関するものだけをリンクさせ、瞬時に情報を取り出せるようにする。
カルアの持つ全ての知識ではなく、必要と思われる知識のみを網羅させてホクハ家オリジナルのデータベースを作り上げる。
カルアの両親はそれを成し遂げた。
少なくともこれでカルアがいなくても最低限の情報は取り出せるようになった。
カルアの絶対記憶は唯一の物ではなくなった。
そして情報の整理は母親が、他の氏族との折衝は父親が。
それぞれ役割分担する事でカルアを守る状況を作り上げた。
これでカルアを解放する事が出来る。
両親は喜んだ。
――
これまではカルアを守る為に学校へ通わせていた。
学校という閉鎖空間であればカルアの能力が必要とされる事は多くないであろう。
しかし社会に出ればカルアの能力が発揮されるのは間違いない。
それは娘の幸せに直結しない。
便利な力を持っていると分かれば、好き勝手に利用されるのは目に見えている。
加護者が必要だ。
上位氏族、いや5大氏族を超える加護者が。
本来の世界ではそんなものはいないはずだった。
しかしこの世界にはいた。
――オーブ首長家の3男、タイガ・ウラ・アスハが留学から一時帰国するという情報がオーブに届いたのはその時だった。
はい、本編11話です。
カルアがタイガの下に来た理由ですね。
次は、ある事によってカルアの怒りが爆発します。
次回お楽しみください。