転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
本作における『最古のヒロイン』の再登場です(笑)
どうぞお楽しみください(笑)





閑話20 名前0-2~駒~

 

 

少女は自分の今までを振り返っていた。

プラントに生まれ、両親の愛情を一身に受けて育った。

幸福だった。

不満など何もなかった。

――少なくとも、その時までは。

 

隣の家の男の子がしつこく勝負を挑んでくるのにはうんざりしたがそれも実力で黙らせた。

そんな暮らしが変わったのは妹が生まれてからだった。

少女も妹の誕生を喜んだ。

しかし数年も経つと両親の愛情は全て妹に向けられる様になった。

妹はまだ小さいのだから仕方がない。

そう自分に言い聞かせても寂しさは埋められなかった。

そんなある日、両親から告げられた。

 

「妹は両親の理想通りの遺伝子を持って生まれてきた。だからお前はもう不要だ。

お前は他の家の養子になってもらう事になった。

さっさとこの家から出ていくように」

 

少女はその言葉の意味を理解できなかった。

――理解したくなかった。

冗談だと思った。

嘘だと言ってほしかった。

昨日まであれほど自分に対して微笑みかけてくれていたではないか?

それが全部偽りだったとでも言うのか?

 

泣いた。

喚き散らした。

必死に両親に縋り付いた。

その時両親から向けられたのは、

無価値なものを見る視線ですらなかった。

ただの“不要物を見る目”だった。

それを見た時少女は理解した。

両親が求めていたのは「自分」ではない。

――使える「駒」だ。

 

――

 

数日後、隣の家の男の子と別れの言葉を交わすと、少女は養子になる為にオーブへの宇宙船に乗り込んだ。

養子となったオーブの氏族の家では散々礼儀作法を叩きこまれた。

見栄えが良く、縁故のないコーディネーター。

――どこへでも、どうにでも使える。

その意図は、隠そうともされていなかった。

少女は絶望した。

ここでも求められているのは「駒の役割」であって「自分」ではない。

そんな時、養父に連れられてアスハ家を訪れる事になった。

年齢の近いアスハ家の三男、タイガ・ウラ・アスハの遊び相手としてであった。

遊び相手?

一桁程度の年齢であれば妥当だろう。

しかしもう10代前半の思春期の男女を遊び相手にあてがうなど養父の意図はあまりにも明白だった。

 

(結局、どこへ行っても同じだ)

 

少女はそう思っていた。

タイガに会うまでに待っているように言われ、屋敷の庭を散策していると何やらあわただしい。

 

「タイガ様はどこだ!」

 

「どこにもいないぞ?」

 

「また抜け出したのか?」

 

「宇宙港へ宇宙船を見に行くと書置きがあったそうだ!」

 

「またか?早く連れ戻せ!」

 

周囲は騒がしい。

 

どうやらここに来たのは無駄足だったか。

そう思って庭石にしゃがみこんでいると、近くの茂みからガサゴソと何やら音が聞こえてきた。

ふと目を向けると茂みの中に自分と同年代の少年が隠れていた。

ばっちりと目が合った。

そこへ屋敷の警備の者と思われる男が近づいてきて少女に尋ねた。

 

「タイガ様を見なかったか?」と。

 

男は見ただけで疲れ切っているのが分かるほど疲労困憊していた。

 

少女は茂みの方に目をやるとタイガは口に人差し指を当て、黙っているように必死に少女に懇願していた。

 

「いえ?見ていませんが?」

 

「そうか」

 

そう言うと男はフラフラとその場を離れていった。

男の姿が見えなくなると少女は茂みに向かって「もう大丈夫ですよ」と声をかけた。

 

「いや~、助かった!礼を言うぞ!」

 

「何やってるんですか?タイガ様?」

 

「おれはタイガ・ウラ・アスハなどではない!俺の名前はスズキ・イチローだ!」

 

あまりにも適当すぎる偽名だった。

言うなれば名無しの権兵衛(ジョン・ドゥ)と大して変わりなかった。

少女はショートカットの黒い髪をかき上げ、クスクスと笑いながら「え~と、それならスズキ・イチローくん?いったいなにをしたいのかなあ?」とからかうように口に出した。

 

「くん?お前も大して年齢は違わないだろう?」

 

「あら?その割には結構差があるようだけど?」

 

少女の言う通り、隣に立つと少女とタイガでは少女のほうが背が高かった。

もっとも細身の身体はさすがにその他はまだまだ発展途上であったが。

タイガは憮然とすると「なに、ちょっと街に出てみたいと言ったんだが止められてな。強行突破しようとしていたところだ」と答えた。

 

無茶な話だ。

そして止めるのは当然の話である。

 

「無理なんじゃないですか?」

 

屋敷の中は今でも大勢の者がタイガを探し回っている。

見つかるのは時間の問題だった。

 

「なに、方法はある。ちょっと協力してもらえないか?」

 

そう言ってタイガは少女に向かって笑いかけた。

 

それは数年後も変わらない、どう見てもこれからろくでもない事をやらかそうとする笑いだった。

 

それは――

少女がこれまで出会ってきた誰とも違う、

“役割に従う気のない人間”の笑いだった。

 

 

 






※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

超弩級インパクトヒロイン(物理)、最強ヒロイン(鬼軍曹)、に続いて、
本作で最初に登場した『最古のヒロイン』(某人物のクレームにより削除 笑)『最初のヒロイン』の再登場でした(笑)

何故再登場かと言いますと、この少女ですが既にカルアよりも先に本作に登場しております(笑)

タイガとの出会いがこの少女の運命をどう変えていくのか?

次回お楽しみください。


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