転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
自分の名前にさえ意味を見出せなかったトモが『己』を確立する回になります。
どうぞお楽しみください。
「ふーん?それでオーブまで来たって事?」
「ああ、あの家にいても好き勝手にあーだこーだ言われるだけだからな。
俺の人生は俺のものなんだからな。
自由にさせてもらうさ」
「まあ、好きにすれば?この後どうするの?」
「適当に世界中を回ってからプラントに帰るさ」
「気を付けなさいよ?コーディネーターだからって何でもできるわけじゃないんだからね?」
「それはあの時に実感したよ。ナチュラルであんなに強い人がいるなんて思ってもいなかったよ。
やっぱり世界は広いな」
「あの方は例外よ。何よりあの方に怪我が無くてよかったわ。あの方が怪我でもしていたら・・・」
「?・・・お、お前まさか?」
「何よ?悪い?誰かさんのトラブルに巻き込まれて、私なんか見捨てられても誰も文句なんか言わないのに、
あの方はそんなそぶりも見せなかったのよ?」
「だからそれは悪かったって。・・・でもなあ?いくら何でも身分が違うだろう?」
「今の私は氏族の娘よ?まだ望みはあるわ」
「・・・お前は言い出したら聞かないからなあ。まあ、頑張るんだな」
苦労して胸の奥の苦い思いを顔に出さないようにして、少年は何とかそれだけを口にした。
「そうそう、これから私の事は『トモエ』と呼んで」
「『トモエ?』え?なんでだよ?」
「『トモ』という名前はあの方に新しくいただいた名前よ。それが私の名前よ。
オーブでプラントでの私の名前を知る人はいないわ。
もうその名前を呼べるのはあの方だけよ。
あの方に名前をいただいた事で私は『己』になったのよ。
『
『
もう私の事を「トモ」と呼んでいいのはあの方だけよ」
「・・・随分入れ込んだもんだなあ」
「私がどんな扱いを受けたのか知ってるでしょう?」
「それはまあ、」
「私が産まれた意味なんかなかった。出来のいい妹が産まれれば捨てられる程度の意味しかなかった。
でもあの方は会ったばかりのそんな私を友達と言ってくれたのよ?
私の事なんか何も知らないのに、そんな私に名前まで与えてくれたのよ?
『出来のいい娘』という役割でもない、『外に嫁に出す道具』に付けられる簡単に張り替えられるラベルでもない。
あの方は私に『友達』という意味と、あの方だけが知る『私の名前』を与えてくれたのよ?
あの方に尽くす事が、私が生きている意味よ」
「・・・まあ、お前が良いなら何も言わないが、少なくともお前のことを心配しているやつが
プラントにも一人はいる事だけは憶えていてくれよ」
そう言って少年は再び旅に出る為に立ち上がった。
「ええ、わかっているわ。ありがとうレオン」
少女・トモとレオンは別れの言葉を交わした。
それが彼らの生涯の別れになった。
レオンは近い未来、プラント独立の条件とされたNJの撤去の為に再び地球を訪れるが、
その時彼が目にしたのは、以前見た姿とはまるで異なる、見る影もなく変わり果てた地球の姿だった。
それを行ったのが自分達だという自責の念はいつまでもレオンの内に残っていた。
後にそれが彼に「プラントを滅ぼす」という決意を抱かせる事の理由のひとつになるとは、まだ誰も知らなかった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
このトモとの別れがレオンに苦い想いと同時に、その後の『救い』をもたらす事になります。
彼らの運命がどう変わって行くのか?
次回お楽しみください。