転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
「おい、アリサ。あんな言い方はないんじゃないのか?もっと、こう……何と言うか……」
周囲を警戒しながら先導するトモに続いて歩を進めながらカガリがアリサに問いかける。
「カガリ様。プラントが地球にNJを散布した時、何と言ったかご存じですか?」
「いいや?」
「『一滴の血も流さず、一人の命も奪わない人道的兵器である』──だそうですよ」
「なっ!」
「相手は一億数千万の人間を殺しておきながら、そんなことを言う連中です。
また同じことを繰り返しても不思議ではありません。
何より、被害者に補償も賠償も謝罪すらしていません。これでプラントの言うことの何を信じろと?」
「……」
「カガリ様も、その目でNJが何をもたらしたのかご覧になったのでは?」
「でも……」
「カガリ様がご覧になった親子の死体や、血の付いた人形の持ち主は何か罪を犯したのですか?
廃墟になった街は、そうなる理由があったのですか?」
アリサの声は冷たかった。
「このプラントという国は、そういった“血と屍の上に成り立った国”なのです。
それを維持するために、また同じことを繰り返しても不思議ではありません。
これがタイガ様がこの国を信用しない理由です」
アリサとカガリは、MS格納庫へ続く通路を歩きながら話していた。
アリサは声を抑えようとせず、周囲にも聞こえるように話していた。
最初は不機嫌そうにしていたザフトの整備員やパイロットたちも、話が進むにつれ顔を背け、俯き、
前を見ることすらできなくなっていった。
「血と屍の上に成り立った国」
プラントの成り立ちを表すのに、これほど核心を突いた言葉はない。
なにしろプラント独立のために一億数千万の命が奪われたのは、誰にも否定できない、間違いのない事実なのだから。
「止まりなさい!何者です!」
トモの誰何の声が響き渡った。
その時、カガリたちの前に立ちふさがったのは一人のザフト兵だった。
アリサは即座にカガリの前に出た。
「何者です?無礼でしょう。そこを開けなさい」
ザフト兵は答えない。
「ハァ……ハァ……ハァ……」
荒い息を吐きながら、ザフト兵は突然カガリに殴りかかった。
「なっ!」
カガリが悲鳴を上げるより早く、トモはザフト兵を組み伏せ拘束していた。
タイガ直伝の関節技だった。
「何者です?カガリ様を襲うなど、誰の命令です?」
「ガアアアアア!!」
あまりの激痛にザフト兵は身動き一つできず悲鳴を上げる事しか出来なった。
「腕の一本でももらっておきますか?」
「!!!!!!」
ザフト兵は悲鳴すら上げられず、失神寸前になった。
「シン!」
「お、お待ちください!カガリ様!こいつは私どもで言い聞かせますので、どうかここは……!」
赤い髪の女性兵士と金髪の兵士が、カガリに懇願した。
「オーブのアスハ家の者に危害を加えようとして、何を言っているのです?
このまま宣戦布告されてもおかしくない行為を、あなた方はしているのですよ?」
アリサの声は冷たく、容赦がなかった。
「オーブのアスハ家に対するテロ犯として、このまま処分した方がよさそうですね?」
アリサがトモに頷くとトモは拘束したシンの首に手を伸ばした。
「!!!」
トモがシンの首に手をかけようとした、その瞬間──
「アリサ!やめさせろ!」
「カガリ様?」
「私は無事だ!これ以上騒ぎを大きくするな!」
「カガリ様?カガリ様がご無事だったのは私たちがお守りしたからです。
それが無ければ、この者はカガリ様のお命を奪っていたかもしれないのですよ?
そうなればオーブは即座にプラントへ宣戦布告しても不思議ではありません。
今度こそ核がこのプラントに降り注ぐことになっていたかもしれないのですよ?」
周囲の者たちはぞっとした。
確かに──
オーブの姫君がプラントで殺害されれば、報復は避けられない。
そうなれば“狂虎”が動く。
あの“オーブの狂虎”が。
「かまわない。やめろ!」
「カガリ様?」
「やめさせろ、アリサ!」
カガリは一歩も引かず、アリサの視線を受け止めた。
「……」
アリサはふっと力を抜き、トモに頷くとトモはザフト兵を解放した。
拘束されていたザフト兵は、ほとんど失神していた。
「シン!」
「シン、大丈夫か!」
「どうやらもう少しここにいる必要があるようですね」
アリサの目は倒れ伏すザフト兵に駆け寄る二人の兵士と、連絡を受けて慌てて駆けつけたデュランダルを見据えていた。
「アーモリーワンにおけるカガリ・ユラ・アスハ襲撃事件」
これが、後にオーブとプラントが敵対するきっかけとなった事件であった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください