転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。





第144話 公開討論

 

 

 

デュランダルはデスティニープランの説明を続けていた。

 

「デスティニープランは、現在最高水準の技術をもって施行する究極の人類救済システムです。

人はその資質のすべて──性格、知能、才能、重篤な疾病原因の有無──その情報を本来体内に持っています」

 

「まず、それを明確に知らなければなりません。今のあなたは不当に扱われているかもしれない。

しかし、誰も──あなた自身すら知らないまま、貴重な才能が開花せずにいるのかもしれない」

 

「それは人類全体にとっても大きな損失なのです。

私たちは自分自身のすべてを、そしてそれによって出来ることをまず知るところから始めましょう。

これはあなたの幸福な明日への輝かしい一歩です」

 

――

 

世界中の暴動は、いつの間にか収まっていた。

まるでデュランダルの話を聞くために、世界が静まり返ったかのようだった。

 

最初に異変を察知したのは、プラントの放送技術卓だった。

 

「……割り込み要求?」

 

若いオペレーターが目を疑う。

 

「回線優先度、評議会級……?」

 

画面に表示された発信元は、どのリストにも存在しない。

 

【割り込み回線:承認済】

 

続いて表示される。

 

【発信元】

オーブ連合首長府 特別顧問

オーブ国防技術・戦略統括監査官

 

【氏名】

タイガ・ウラ・アスハ

 

その名前が表示された瞬間、技術者たちは固まった。

 

「議長命令、ありません!」

 

「セキュリティ正常! 不正アクセスではありません!」

 

「……これは“正規申請”だ」

 

しかも──

 

「公開討論要求……?」

 

「今、このタイミングで?」

 

評議会連絡官が青ざめる。

 

「止めろ! 今はデスティニープランの余韻が重要だ。ここで雑音を入れれば流れが壊れる!」

 

だが技術主任は首を振った。

 

「止められません」

 

「規約上、公的機関からの世界中継中の公的声明への公開応答要求は──」

 

「拒否すれば、“議長が逃げた”と記録されます」

 

側近がデュランダルに囁く。

 

「想定外の介入です。拒否は技術的に可能ですが……政治的には不利です」

 

デュランダルは一瞬だけ目を閉じた。

 

「……なるほど。今ここで出てくるか」

 

彼は、誰よりも早く理解した。

側近が焦る。

 

「議長、今は──」

 

デュランダルは静かに言った。

 

「拒否すれば、私は“理想から逃げた男”になる。応じれば、世界は考え始める……厄介だな」

 

技術卓のカウントダウンが始まる。

 

「回線保持、残り三十秒!」

 

「応答しなければ、自動記録に移行します!」

 

スタッフは止められない。

政治担当は責任を負えない。

技術規約は中立。

判断するのは──議長ただ一人。

デュランダルはゆっくりと頷いた。

 

「……回線を開け」

 

――

 

地球上ではデュランダルの放送が続いていた。

そこに突然、画面右下に異常信号。

一瞬のノイズ。

だが、切断されない。

完全な沈黙。

 

「……え?」

 

誰かが顔を上げる。

モニターに、新たな回線表示が重なる。

簡素な服装。

軍服でも正装でもない。

だが背後には、オーブ国旗と技術監査局の電子署名。

 

「――割り込みをお許しください、議長。

私はオーブ連合首長府特別顧問、タイガ・ウラ・アスハ」

 

“アスハ”

 

その姓だけで、世界が一段静まった。

 

「あなたの放送は、現在、全地球圏に強制中継されています」

 

「そして今、各地で混乱が発生している」

 

事実だけを淡々と述べる。

 

「私は、この放送を“中断”しに来たのではありません」

 

一拍。

 

「議論を要求しに来ました」

 

ざわめきが止まる。

抗議ではない。

非難でもない。

要求。

 

「理由は簡単です」

 

「あなたの提示したデスティニープランは、すでに“政策”ではなく“世界の前提”として受け取られ始めている」

 

「その前提が正しいかどうか」

 

「世界は、あなた一人の説明だけで決めるべきではない」

 

沈黙。

しかし今回は、拒否できない沈黙。

発信者は明示されている。

所属も、責任も、立場も。

匿名ではない。

逃げ場がない。

 

「そこで、一つだけ確認させてください」

 

画面越しに、視線が真正面から合う。

 

「デスティニープランは──

“人が恐れること”を否定しませんね?」

 

世界の「運命」を賭けた論争が始まった。

 

 

 

 






※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

次回お楽しみください。

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