転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

187 / 212



※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。





第156話 一条の光

 

 

 

評議会議長に就任したキラが最初に行ったのは、プラントの敗戦処理だった。

地球連合財務省からの追徴金――

それをキラは「期間限定の無利子・無金利の分割払い」で合意させたのだ。

他の評議員たちは驚愕した。

本来なら強制徴収もあり得た金額を、キラはプラントの財政状況であれば、十数年で無理なく返済が可能な金額にまで抑え込んで見せたのだ。

ただし、それはあくまで“現状では”という条件付きだが。

キラは知っていた。

第2プラントが建設中であり、近い未来にプラントの技術的・経済的優位が失われることを。

それを見越した上での策だった。

だが、そんな事情を知らない市民や評議員たちは、

「さすがスーパーコーディネーターだ!」

「優秀な遺伝子は違う!」

と勝手な称賛を口にしていた。

 

――――

 

キラの補佐を務めるアスランは、複雑な表情を浮かべていた。

 

「なんだい、アスラン?まだ納得いかないの?」

 

「当然だろう。キラ、これは今は良くても、未来には爆弾になるぞ?」

 

キラの策では、最初の十年間は無利子・無金利。

その後は利子がつく。

 

「最初の十年で払えば問題ないよ。

第2プラントが完成するまで2〜3年、本格稼働まで4〜5年。

その間に真面目に払っていれば、負担は大きくならない」

 

「しかし……」

 

「でもプラントが“このままなら大丈夫”と油断して支払いを遅らせたり減らしたりしたら――

未来は地獄だろうね」

 

アスランは言葉を失った。

 

「10年先だったら多分僕はプラントにはいない。そこまでは僕の知った事じゃない。

精々プラントの「良識」に期待する事にするよ」

 

「キラ!」

 

「早く払う必要がある借金や罰金はすぐに払わないといけない。

後回しにするのは問題外だよ。当たり前の話じゃないか?」

 

正論である。

しかも一般には知られていない第2プラント建設の情報に基づき、それまでに無理なく支払いできるように筋道を立てたのだ。

それを無視して勝手に支払を遅らせたり、減らして他に流用したりすればどうなるか?

結果は言うまでもなかった。

 

キラは淡々と続ける。

 

「戦前、プラントは理事国の生産命令を無視して独立のために資材を流用していた。

一度成功した経験は忘れられないものさ」

 

「以前上手くいったのだから今回も上手くいく!」

 

そう思い込む未来が、キラには見えていた。

 

「その結果がバレて、今こうして取り立てられているのにね」

 

アスランは反発する。

 

「それを公表すればいいだろう!そうすれば支払いを遅らせようなんて思わない!」

 

「アスラン?今のプラントにそんな話をして受け入れられると思う?」

 

キラの声は冷静だった。

 

「二度も敗戦して、まだ“独立”“独立”と浮かれている連中だよ?」

 

アスランは言葉を詰まらせた。

 

「今プラントは好景気なんだ。

そんな彼らに“第2プラントができたら存在意義がなくなる”なんて言って理解されると思う?」

 

「そ、それは……」

 

将来の人口予測と同じだった。

数字は公開されているのに、誰も意味を理解しない。

まだ建設中の第2プラントの話など、理解されるはずがなかった。

忠告すれば怒鳴られる。

下手をすれば殴られる。

そんな相手を助ける理由は、キラにはなかった。

しかも無理のない範囲で支払いできるように環境を整える事までやったのだ。

それを自分から無にするのであれば見捨てられて当然だろう。

 

さらに地球復興の特需によってプラントは未曽有の好景気に沸き立っていた。

しかし、彼らは知らなかった。

知ろうともしなかった。

復興が必要な地球の破壊をもたらしたのが自分達プラントである事を。

自分で破壊しておいて、復興の費用をむしり取り、親切顔で復興させていくコーディネーターが地球からどのような目で見られているかなど。

 

プラントの「良識」など期待できない事はアスランも実感していた。

しかしそんな感傷もキラのふと漏らした呟きの前には吹っ飛んだ。

 

「さて、こんな仕事はさっさと終わらせて早くフレイのいる地球に帰りたいなあ。

早くまとめて処理しないと」

 

「待てキラ!お前のプラントに対する仕事の価値は、女一人に会う価値以下なのか!」

 

キラはきょとんとした顔で答える。

 

「そんなの当たり前じゃないか?ここの連中は僕が以前想定していた通りの事しかやらないんだよ?

もうこの先どうなるかわかり切っているじゃないか?

後はここの連中が暴発するまでどのくらいかかるのか?という時間の問題だけだよ?

そんな先が分かり切っている事にどんな価値があるって言うのさ?」

 

アスランは絶句した。

キラが優秀なのは知っていた。

スーパーコーディネーターという話も聞いていた。

しかしそのスーパーコーディネーターとしての能力を全て注ぎ込んだ結果が、ここまで“未来を読み切る”とは思わなかった。

そして気付く。

キラにとってプラントは、フレイに会うことを阻む障害物でしかないという事に。

スーパーコーディネーターが敵対する存在に全力を向けたらどうなるのか。

アスランは――

プラントの未来に、一条の光も見出せなかった。

 

 

 






※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

次回お楽しみください。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。