転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。





第162話  無法

 

 

キラの「事故」をブルーコスモスのテロと発表したのは評議会が地球の現状を全く把握していない事が原因だった。

評議会にとっては、今でもテロは全てブルーコスモスの仕業であり、ナチュラルは黙ってコーディネーターに従うべき存在なのだ。

二度も敗戦してもそれを理解していない評議会に未来があるはずもなかった。

それはすぐに表明化した。

キラが意識不明の重体と発表されてから、評議員の代表者が議長代行になった。

彼のやった事はキラの政策をそのまま実行しただけだった。

普通であればそれで何も問題ないはずだった。

しかしその直後からプラントは徐々に内部から不協和音が響き出していた。

まず議長代行がやった事は重要なポストに自分たちの息がかかった者を据える事だった。

それに対して反対意見を述べる者は全て排除した。

その結果、プラントの各部署は上からの指示をそのまま実行するだけの存在に成り果てた。

 

――――

 

各部署で実務を取り仕切っていた者達がいなくなり、現場を理解しない「自称優秀な者」が好き勝手な事を命令してくる。

作成に2週間かかる作業を3日で完了させろ?

お前たちは黙って優秀な自分の言う事に従えば良い?

議長の「遺伝子の優秀な者に従え」という命令に逆らうのか?

命じられた者達は全力でその無茶な命令に応えたが、実行出来なければ罵られ、

何とか実行しても労いの言葉ひとつかけられず、「何でもっと早く出来なかったんだ!」

とやはり罵られた。

そしてその成果は全てその「自称優秀な者」が独占した。

「このままでは自分の部署は疲弊して潰れてしまう」と「自称優秀な者」に業務の見直しに陳情に行った者は

「そうなれば自分は他の部署に行くだけだ」と放言されて絶句した。

せめてもう少し皆の負担を減らして欲しいと願ったが、帰ってきた答えは

「お前たちのように遺伝子的に劣った者が、我々のような遺伝子の優秀な者に仕えるのは当然ではないか?

私に使われる事を喜べ」

と言って一顧だにされなかった。

「この男は自分たちを唯の消耗品としか思っていない」

それを改めて認識することは絶望でしかなかった。

それはプラント全体に急速に蔓延した。

せめて議長の「遺伝子の優秀な者に従え」という命令がなければと思ったが、

今まで有効に機能していたものがいきなり無意味どころか有害になるなど想像出来るはずもなかった。

「議長の命令」を言い立てる評議員たちの無法は急速にプラントの活力を奪い去っていた。

しかし「自称優秀な者」はそんな事には気付かなかった。

気付こうともしなかった。

彼らにとって自分達「遺伝子の優秀な者」に「遺伝子の劣る者」が従うのは当然の事であって、

「従う者の感情」など何ら考慮する価値も無いものでしかなかったのだから。

それは相手がナチュラルだろうと、同じコーディネーターだろうと関係なかった。

 

既にプラントではディスティニープランを施行するまでもなく、遺伝子の優劣によって職業が、正確には社会的地位が決定されるようになっていた。

本当に遺伝子の優劣によって適性が選択される事が有効ならば、

“ ディスティニープランが優れた政策であれば”、

プラントは何の問題も無く発展しているはずだった。

 

「優秀な遺伝子を持つ我々のやる事が間違っているはずがない」

 

それがプラントの総意だった。

自分たちを現代の貴族階級「選ばれた者」と自認し、ナチュラルを「劣った奴隷階級」と見做している彼らは気付かなかった。

 

『ナチュラルの上に自分たちコーディネーターが君臨するのは正しい。

自分たちコーディネーターの上にスーパーコーディネーターが君臨するのは正しい。

ならばスーパーコーディネーターが一般化した時自分たちはどうなるのか?』

 

それは時が進めば「選ばれた者」と自認する彼らが、彼ら自身が看做す「劣った奴隷階級」に転落する未来を意味していた。

プラントの現状はそれが多少早く具現化しただけでしかなかった。

しかも、スーパーコーディネーターのように明らかな優劣がある訳でも無い。

単なる遺伝子データ上のコンマ数%の違いによって「選ばれた者」と「劣った者」が選別された。

「劣った者」とみなされた者の意見は顧みられる事はなく、「選ばれた者」からの指示でしか動く事を許されなくなった。

「選ばれた者」の指示はより上位者の言う事の方が優先された。

指示を無視された者はその不満を「劣った者」にぶつける事で自分のプライドを保った。

現実的な問題として、基本的に独立後のプラントはナチュラルを受け入れていなかった。

つまり彼らの「劣った奴隷階級」への蔑視が、彼らの中の「劣った者」に向けられる事になるのは当然だった。

彼らはそれが『技術が進歩した結果の未来の姿』であり、『自分自身の事』だと気付く事はなかった。

 

『一方的な理由で他者を支配する』という現実が『優れた遺伝子を優遇する』事の本質をこれ以上ない形で証明していた。

だが、現実を認めようとしないプラントに現状を変えようとする意思は存在しなかった。

 

現実が変わらない限り、訪れる未来が変わるはずもない。

そしてその結果『当然の未来』が訪れる事になるのは必然でしかなかった。

 

 

 

 







※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

次回お楽しみください。

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