転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

196 / 196



※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。





第165話 真実

 

 

 

久しぶりにプラントに戻ったイザークはあまりの変わりように言葉を失った。

キラから護衛隊の統括者に任命された時はプラントのあちこちでは明るい笑い声が響いていた。

道行く人々の顔も明るく、未来への希望に溢れていた。

それが今では街の雰囲気は暗く、笑い声などほとんどなく、活気もなくどんよりとした空気が漂っていた。

 

「どうなっているんだ、これは?」

 

イザークはほんの一年程度しか経っていないのにこの変わりように呆然とするしかなかった。

 

「よっ!驚いたか!」

 

「ディアッカ!おい!どういう事なんだ?この街の様子はなんだ!」

 

「まあまあ、立ち話も何だから、ちょっとこっちへ来いよ」

 

そう言ってディアッカに連れて来られたのは何の変哲もない喫茶店だった。

 

「さて、どこから説明したものかねえ?」

 

「最初から全部だ!全部!」

 

「まあ、いいけどな?」

 

ディアッカから説明されたのは最初のキラのテロは周到に用意され、

アスランとディアッカが護衛を離れた一瞬の隙を突かれたものらしい。

その時点では軽い負傷はしていたものの、重傷というほどのものでもなく、

単なる精密検査という事で病院に収容されていたという事だった。

それをいい事に評議会は勝手に命令を出し始め、名目でしかなかった「遺伝子が優秀な者に従うように」という

キラの命令が都合の良いように使われて現場が混乱した結果が現在のプラントという事だった。

本来であればキラは治療が完了すればすぐに解放されるはずだったが、

そのまま検査を名目にして解放される事もなく、外部との連絡も取れず、

アスランとディアッカが病室に強行突破しようとした時に、

第二のテロに見せかけてキラが暗殺されようとしたという事だった。

 

「じゃあ、議長は無事なのか!」

 

「ああ、無事だ。今はオーブに帰国する準備をしている」

 

「待て!何故議長は復帰しない!」

 

「復帰してどうする?」

 

「決まっている!評議会の連中を糾して議長に復帰してもらう!それで解決だ!」

 

「もうキラは死んだ事になっているんだぞ?

それにこれを解決しても終わりじゃない。

また同じような事が起きるのは目に見えている。

それにもうキラのやつに議長を続ける意欲はない」

 

「何だと!その程度で!」

 

「イザーク。キラがこの一年何をやって来たのか知らないわけじゃないだろう?

あれだけの成果を出してまだ足りないとでも言うのか?」

 

「それは・・・」

 

そう、今までにキラがやってきた事を考えれば、称賛される事はあっても「まだ足りない」という事はあり得ないだろう。

 

「あれだけプラントの為に尽くして、それなのに殺されかけて、復帰しても恐らくまた同じ事が起きるだろう。

キラにそれをやれという気か?アイツはプラントで育った訳でも、本国の生まれでも無いのに?」

 

「・・・」

 

そう、それだけの功績をキラは上げているのだ。

もう議長を引退したいというなら休ませるのが当然だろう。

本人の意思を無視するべきではない。

 

(本当は「早くフレイに会いたい」って駄々を捏ねてるだけなんだが、別に言う必要はないよな?)

 

そんなディアッカの内心も知らず、イザークは自分がどれだけ無茶な事を言っていたのか理解して自己嫌悪に陥っていた。

 

「そうだな。俺は何を勝手な事を言っていたんだ。自分たちで何とかしなければな・・・」

 

「・・・イザーク。俺もオーブに移住する事にした」

 

「何だと!」

 

「お前この国の未来に希望が持てるか?」

 

「それは・・・」

 

ディアッカの言う「未来」とは第3世代以降の出生率低下によるプラントの滅亡だ。

しかしイザークの認識している未来とは現在の評議会によってもたらされる未来だ。

それを知らないイザークにはプラントから移住するという選択はどうしても選べなかった。

 

「俺はこの国に残る!」

 

「この国に未来は無いぞ?」

 

「それでもだ!俺は少しでもこの国の未来を変えていきたい!」

 

ディアッカは未来を変えようとするイザークに一瞬『プラントの未来』を告げようと思った。

イザークが何をやろうとも、既に『プラントの未来』は確定している。

しかし、イザークはプラントの未来を変える為に自分を省みる事無く、自分の全てをつぎ込もうとしている。

彼は救いのない現状を認識し、破滅が迫る未来を確信しながら、それを変える事に全力で挑もうとしている。

もし自分がイザークに『プラントの未来』を告げれば、それはイザークが未来に抗おうとしている理由を奪う事になる。

そしておそらくイザークは『プラントの未来』を告げられても意に介さず、それを変える事に全力を注ぎ込むであろう事がディアッカには容易に想像できた。

自分の全てを『プラントの未来』に捧げようとしているイザークに『お前のやろうとしている事は無駄だ』と告げる事は彼にはどうしてもできなかった。

それはプラントの為に全てを投げ打とうとするイザークの誇りを踏み躙る事になる。

彼に出来るのは、せめて友が『自分が信じる信念』のために戦う誇りだけは残してやる事だけだった。

 

「・・・そうか。じゃあこれ以上は何も言わねえよ。また次に会うまで元気でいろよ?」

 

「ああ、お前もな!」

 

歩き去って行くイザークの後ろ姿を見つめながら、ディアッカは最後まで友に真実を告げる事が出来なかった事を悔やみ続けた。

 

正式にプラントによる食糧輸送船団の護衛隊の縮小が決定されたのはこの直後だった。

この時、プラントが自分で亡国の歩みを始めた事を知る者はほとんど存在しなかった。

 

 

 






※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

次回お楽しみください。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

戦犯にはなりたくない!(作者:蒼天)(原作:ガンダム)

一年戦争の初日にコロニーに毒ガスを注入してしまったオリ主(ニュータイプ)が、戦犯にならないためにいろんなガンダム作品のキャラクターたちと交流しながら奔走するお話。▼※一部原作キャラクターの設定を変更しておりますので、ご注意ください。


総合評価:1198/評価:7.7/連載:68話/更新日時:2026年06月24日(水) 18:00 小説情報

コズミックイラのマチュ ~ロリニュータイプの日本再興記~(作者:アキ山)(原作:ガンダム)

拙作、『ダイクン家の二女はアホの子』に載せていたコズミック・イラの話を独立させました。▼ マチュことマリ・ヤマトはハルマ・ヤマトとカリダ・ヤマトの間に生まれた一粒種。▼ 兄のキラと仲良く暮らす元気いっぱいのゲーマー小学生だ。▼ しかし、彼女には兄には話せないもう一つの顔があった。▼ その身に流れる高貴な血の運命と祖国再興という命題。▼ コズミック・イラという…


総合評価:1311/評価:7.86/連載:7話/更新日時:2026年04月13日(月) 13:52 小説情報

妹に撃たれない方法(作者:Brooks)(原作:ガンダム)

ア・バオア・クーでキシリアに射殺されたギレン・ザビは、目を覚ますとジオン・ダイクン逝去の当日に戻っていた。次は絶対に妹に殺されたくない。その一点だけを現実的な目標に定めた彼は、戦争より先に家族会議を整え、暗殺より先に議事録を作り、歴史より先に妹の機嫌を取りにかかる。しかし未来を知るのは彼だけではなかった。動乱へ傾くサイド3で、兄妹は奇妙な休戦に踏み込む。笑え…


総合評価:517/評価:6.19/完結:226話/更新日時:2026年05月06日(水) 19:56 小説情報

偽書・ガンダム機動戦記(作者:雑草弁士)(原作:ガンダム)

宇宙世紀0079、サイド7ノアの1バンチコロニーグリーンノア在住のアルバイター、エグザベ・オリベは難民である。故郷であるサイド5ルウムを地球連邦とジオンの戦争で破壊しつくされた彼は、どうにかサイド7に流れ着き、ジャンク屋で働きつつ生活を立て直そうとしていた。しかし0079の9月18日、ジオン軍の英雄シャア・アズナブル少佐率いる特殊部隊がサイド7を急襲。エグザ…


総合評価:1831/評価:8.67/連載:54話/更新日時:2026年03月11日(水) 05:39 小説情報

俺、転生先はチートハーレムって言ったよね??(作者:むにゃ枕)(原作:ガンダム)

チートハーレムしたかったのに宇宙世紀に転生ですか? え? ここから入れる保険って有りますか?▼なお、普通にチートハーレムする模様


総合評価:2159/評価:7.52/連載:6話/更新日時:2026年01月31日(土) 18:30 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>