転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
食糧輸送が滞るようになったプラントでは、食糧品は長期保存が可能なものが主流となった。
栄養補給だけを目的とした数粒の錠剤。
薄いプレートにペースト状の食材を盛り付けた、味のしない前時代的な“宇宙食もどき”。
それが、プラントの一般的な食事となった。
護衛隊が同行のついでに持ち込める食糧など、個人レベルの量でしかない。
食糧輸送が改善する見通しはまったく立たなかった。
そんな状況では、食料を確保できる手段を持つ者が権勢を持つようになるのは当然だった。
護衛隊、そしてカーペンタリアとジブラルタルの交代要員。
これらが現在のプラントで最も人気のある職業となった。
何しろ地球に行けば食料が手に入るのだ。
味気ない錠剤や、味のしない“宇宙食もどき”のペーストではなく――
瑞々しい野菜。
もぎたての果実。
焼いたばかりのパン。
プラントでは望むべくもない「ちゃんとした食料」が。
どれだけ高度な技術を持っていようが、どれほど『自分たちは優れた新人類だ!』と自称しようが、
物理的に地球から持ってこなければ食糧は手に入らないのだから当たり前の話だった。
その結果、プラントと地球を往復する護衛隊はともかく、カーペンタリアとジブラルタルの交代要員はプラントに帰るのを拒否するようになった。
プラントに帰れば、再び味気ない錠剤とペーストの生活に戻るのだから当然である。
そこで彼らは、地球で手に入れた食料を上官に送って地球に留まれるようにした。
上官はそれを快く受け取り、さらにその上官へと献上し――
結果としてカーペンタリアとジブラルタルは、正規人員一、交代要員一、予備兵力一と、通常の三倍の人員が常に常駐するようになった。
当然だが、これはプラントの財政を圧迫した。
軍隊は生産に寄与せず、消費するだけの存在である。
しかもカーペンタリアとジブラルタルは護衛隊と違い、食糧輸送に直接関わっているわけでもなければ、治安維持に貢献しているわけでもない。
プラントが地球に目を向ける余力がない現状では、「プラントの軍隊がただそこにいる」以上の意味はなかった。
しかし、『もしもの時の為に』地球との繋がりを断つ事など出来るはずが無い。
結果としてプラントは、カーペンタリアとジブラルタルを維持する力を段階的に縮小していくことになる。
そのため、カーペンタリアとジブラルタルはプラント本国に頼らず、独自に勢力を維持する道を選択していくことになった。
地球各地への治安維持を目的とした駐留である。
娼婦と並ぶ人類最古の職業『傭兵』であった。
需要はいくらでもあった。
特にユーラシア連邦では、デストロイガンダムによるベルリンの破壊のように、自国による自都市の破壊さえ行われていた。
各都市が防衛のための戦力を求めるのは必然だった。
カーペンタリアとジブラルタルは、これらの都市に防衛を依頼されて駐屯することになった。
名目はあくまでも「人道支援」。
ユニウス条約でプラントに認められていないのは「占領」であって、現地から要請された「人道支援による進駐」は対象外――という理屈だった。
そしてカーペンタリアとジブラルタルは代価として食料を求めた。
これを本国へ送ることで、両拠点は本国からの干渉を跳ね除けるようになった。
当然、一部は本国へ送らず独自に確保していた。
兵士たちも今さら本国に戻りたいとは思わず、上層部の判断を支持した。
「本国の干渉を受け付けない独自勢力」
軍閥の誕生である。
もはやプラントの崩壊は、誰の目にも明らかだった。
それでも――
プラントの技術力がある限り、輸入が完全に途絶えることはないはずだった。
少なくとも、誰もがそう信じていた。
最初に異変に気付いたのは、地球からの受注で成り立っている、とある工場だった。
通常であれば、次回の発注が来るはずの時期。
しかし、その連絡が来ない。
「まあ、たまにはあるか」
そう考えて深く気に留めず、次の仕事に意識を向けた。
だが、同じような現象は他の工場でも起きていた。
特に――高度な技術を必要とし、納期が長期にわたる案件の注文が途絶え始めた。
緊急性の高いもの、特殊技術を要するものは依然として需要があった。
だが、長期的な受注は目に見えて減っていった。
それを“異変”として認識する者は、ほとんどいなかった。
そんな時、理事国から新たな発表があった。
独立したプラントの“代替”が建設される。
すなわち――第2プラントの建設計画である。
プラントはまだ気付いていなかった。
自分たちの立場が、“唯一無二”ではなくなるという事実に。
第2プラントの建設が意味するもの。
それは――地球が、プラントを必要としなくなる未来の到来だった。
技術供給の依頼が減り始めたのは、その準備段階に過ぎなかった。
プラントの多数がその意味に気付いた時には――
すべてが手遅れだった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。